国語施策・日本語教育

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次第 常用漢字表案の提出

(案)

昭和54年3月30日

文部大臣 内藤誉三郎殿

国語審議会会長 福島慎太郎

常用漢字表案について(報告)

 本審議会は,昭和41年6月13日付け文文国第37号をもって文部大臣から諮問された「国語施策の改善の具体策について」のうち,漢字の字種,字体,音訓等の問題について慎重に審議した結果,ここに,別冊のとおり常用漢字表案をまとめ,中間答申として報告します。
 思うに,今回の常用漢字表案は,これまでの漢字問題に関する長い議論や検討に結着がつくこととなる重要な意義をもつものです。このため,本審議会としては,昭和52年1月新漢字表試案を公表して意見を聞くなど,6年間にわたって慎重審議を重ねてきたものではありますが,この際なお慎重を期して,この常用漢字表案を公表し,正式答申に至るまでしばらくの期間をおきたいと考えます。このことによって常用漢字表案が広く国民に受け入れられ長期間にわたって使用されるものとなることを期待します。

福島会長

 国語審議会として,常用漢字表案にこの文書を付して大臣に報告するということになるが,御意見があったら,御発言いただきたい。(意見なし。)
 それでは,常用漢字表案とこの文案とを第13期国語審議会の結論として大臣に報告する。これを公表した上で,なるべく早く正式答申にこぎつけるように諸事取り計らっていただきたい。また審議会もそのつもりであるということにいたしたい。
 以上のような常用漢字表案についての取扱いを総会として御承認いただいたことにさせていただきたいが,よろしいか。
 それでは,御承認をいただいたことにする。文部大臣がお見えになるまで若干の時間があるので,御意見,御感想,また今後に対する御忠告をいただきたい。林(大)委員,どうぞ。

林(大)委員

 先ほどの宇野委員の御発言は今回の報告の注釈として審議会委員全体が考えているものではないということを,確認しておきたいと思う。宇野委員の御意見については,更に第14期においてはまた議論があってしかるべきものと期待している。今日は時間がないから議論はできないが,あのお考えに対しては,まだいろいろ御意見のある方がおられると思う。

福島会長

 最終総会であるので,お考えになっている点について御意見を発表していただきたい。記録にとどめて次期審議会に申し送り,その上で御検討願うということにしたい。何かほかに御意見はないか。

鈴木委員

 実は以前にも申し上げたことであるが,国語が全国民のものであるということが前提である以上,そして本日の全員協議会でしばしば「全国民に一番受け入れられやすい日本語」というような発言があったことから考えると,審議会委員に女性が1人というのは,日本語の話し手の半分を少し無視し過ぎてはいないかと思う。実はこの3期の間,私の知っている限りでは女性の委員はいつも1名であった。男性と同数というのも,今までの日本の社会情勢では無理だと思うが,もう少し女性を委員に加えていただきたい。母親というのは,子供に対して一番言語教育の上で大事な立場にあるのだから,言語に関心を持ってもらうという意味でも,女性をもう少し多く委員に加えてほしいというのが私の希望である。
 それから,日本語を話すのは老いも若きもであるから,もう少し若い委員の方を増やしていただきたい。これも私の希望であり,以前から申し上げていることである。もちろんお年寄りの方がじゃまだとか申し上げるつもりはないが(笑声),ただ私などが最年少ということでは,日本の実際の社会をしょっている30代,40代の人々た自分たちの言語をどう考えているかが分からない。先ほど,若い人のためにという発言は考え方によっては少しおかしいという宇野委員の御意見もあったように,実際,若い人の意見をここで生で聞いてみる必要があるのではないか。したがって,先ほど全員協議会で文化庁長官が,来期は余り委員は変えない方針だと述べられたことで,どういうふうにしたらいいか迷っているが,少なくとも私は委員をやめたいと思っているので,私の代わりに女性か若い人を一人委員に入れていただきたい。そのほか何かの理由で差しかえが可能な場合には,できるだけ女性と,30,40代の若年の方を何名か加えるように考慮していただきたい。

福島会長

 確かにごもっともな御意見だと思う。

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