国語施策・日本語教育

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次第 これまでの審議経過等について(次長説明)

古賀副会長

 それでは,次に吉久文化庁次長からこれまでの審議経過について御説明いただきたい。

吉久文化庁次長

 今日は,今期の審議会の第1回総会であるので,恒例に従い,これまでの国語審議会で御検討いただいた経過及び今後の予定等につき文部大臣のあいさつに若干補足させていただき,御説明したいと思う。
 大多数の委員の方が,引き続き今期の審議会委員に御就任いただいたことでもあり,時間の関係もあるので,恐縮であるが,簡単に御説明申し上げ,質問等があったら,その際に補足をさせていただきたい。
 まず,国語審議会の構成等につき最初にお断りしておきたいことがある。国語審議会は,前期の第13期までは50名の委員で構成されていたが,このたび政府の方針で,一定の比率で委員の数を減らすということになり,国語審議会についてもやむを得ず本年度から1割の委員が減ることになったわけである。
 50名の1割であるから,委員は45名ということになったわけである。ただし従来の審議内容との継続性・一貫性を保つために,原則として全委員を再任することとしたがその結果3名の方には大変失礼であるが,国語審議会令に基づき臨時委員として御就任願い引き続き審議に加わっていただくことになった。したがって,文化部長から申し上げたように,今期は48名ということで発足させていただくことになった。
 ところで戦後の国語改革の問題については,私が改めて御説明するまでもないが,戦後いち早く,昭和21年以来,現代かなづかい,あるいは当用漢字表,同音訓表,同別表等々,一連の国語改革の施策が国語審議会の審議を通じて世に出た。これらのことについては,その後,国語審議会でもいろいろ議論があるし,社会に定着する間にいろいろは反省も出てくるということがあったわけであるが,それらの過程を通じて,とにもかくにも大きな功績があったわけである。
 ところで,昭和三十年代後半ごろから,先ほど申し上げたようなことにつき,戦後の実施の経験にかんがみて再検討すべきではないかというような声が出てきた。その結果,昭和41年6月,文部大臣から国語審議会に対し,一連の国語施策についての見直し,再検討というような観点からの諮問が行われたわけである。
 とじ込み資料の最初から5枚目に,当時の中村梅吉文部大臣からの諮問文がある。諮問事項,検討すべき問題点として挙げられているのは,当用漢字について,送りがなのつけ方について,現代かなづかいについて,その他上記に関連する事項について,の四つである。
 昭和41年にこのような諮問が行われた結果,国語審議会は,まず「送りがなのつけ方について」,それから「当用漢字について」のうちの(2)の音訓の整理に関することの二つに関して,6年間審議された。昭和47年6月,「改定送り仮名の付け方」と「当用漢字改定音訓表」の二つが答申され,翌年,それぞれ内閣告示・訓令されて施行されたわけである。
 その後,昭和47年11月,第11期国語審議会発足以降,当用漢字表,当用漢字字体表の問題に取りかかられ,審議を重ねてこられたわけである。
 2期4年間の御検討の結果,昭和52年1月,中間報告「新漢字表試案」という形で世間に公表し,広く意見を求めた。第13期審議会は,それらの意見をも参酌(しゃく)しながら本格的なまとめの検討に入り,慎重な審議を尽くして「常用漢字表案」という成案を得られたわけであるが,先ほど来のお話のように,最終総会においてなお一層慎重を期するため,中間答申の形で更に世に問い,正式答申までしばらくの期間を置き,今回の第14期国語審議会に決定をゆだねることとされたわけである。
 文化庁は,国語審議会の御意向を十分体し,先ほど文部大臣のあいさつにもあったように,常用漢字表案について,趣旨・内容等の説明を行うとともに,各関係方面の意見を聞くよう現在事を進めているわけである。
 その一つは,全国5地区で説明協議会を開催して,関係者に十分その趣旨・内容の理解を得ると同時に,意見を伺うことにしている。国語審議会の会長,副会長,三根谷委員その他の委員の方に御出席いただき説明していただくという予定である。
 もう一つは,関係機関・団体に広く常用漢字表案を送付し,具体的な意見があれば7月末日までに提出するよう依頼している。寄せられた意見等を8月中に適切に整理して,秋からの本格的な御審議に間に合わせるようまとめたいと考えている。
 いずれにしても,今期の審議会の審議の重要な中身は,常用漢字表案の検討であるが,これらの検討と併せて,先ほど文部大臣からのあいさつにもあったように,話し言葉の問題,その他国語に関する諸問題についても前期に引き続き御審議をお願いした。
 以上,大変簡単であるが,従来からの審議経過等について説明した。大変問題が山積している中で,更に委員の方々の御指導と御協力を賜りたい。国語問題が重要な問題であればあるだけ,十分国語審議会の意を体しながら,私どもも勉強してまいりたいので,何分の御指導,ごべんたつをお願い申し上げる。

室屋国語課長

 ただいま次長から説明があった常用漢字表案の説明協議会及び関係方面の意見の収集の2点に関して資料4に基づいて補足したい。
 まず,「常用漢字表案」説明協議会の開催であるが,新漢字表試案のときと同様,今回も全国を5地区に分けて開催する。北海道・東北地区は仙台,関東甲信越地区は東京(6月7日,霞が関の久保講堂で開催する予定),東海・北陸・近畿地区は岐阜,中国・四国地区は岡山,九州地区は福岡でそれぞれ開催する予定になっている。
 なお,この協議会で御説明いただく方としては,国語審議会の古賀副会長,前期漢字表委員会主査の三根谷委員,同副主査の頼委員,国立国語研究所長の林大委員を考えている。
 次に,「常用漢字表案」に関する意見の収集についてであるが,常用漢字表案を送付し,この趣旨・内容等を吟味の上,意見があれば,文書をもって提出していただきたいということで,依頼先は報道・印刷・出版関係団体,各省庁,都道府県,国語関係学会,国公私立大学等,試案の時と同様に幅広く依頼している。提出期限は先ほど次長からの説明があったとおり,本年7月末であるが,このような形で広く意見の収集に努めてまいりたい。

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