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仮名遣い委員会

国語審議会「かな遣い委員会」御中

昭和61年1月10日
国語審議会委員 木内信胤


 去る12月13日の全員協議会に,国語問題協議会が作成した「かな遣ひの問題は,どのやうに扱ふべきか」と題する意見書を提出いたしましたが,時間不足で,御討議を戴くことが出来ませんでした。
 あの案は,世間に周知されれば,強い国民的支持を受ける筈と思ひますので,3月を予定してゐる国語審議会の答申には,“あの案に向っての適度の鞘寄せ”をして戴くことが,事宜に叶ったことと存じます。
 就きましては,以下にその要点を書き連らねますので,どうぞ御研究願いたいと存じます。

現在の案を訂正すべき要点

 現在の案の第2の1,2,3のところ(即ち助詞を,は,へ,のところ)は,素直に,“助詞の「を」「は」「へ」は,歴史的かな遣いに随う”と書く。
 そのあと,“「よう」は 状態 を表はす場合には,歴史的かな遣ひに随って「やう」(例,花のやう)と書いて, 意思 を表はす場合の「よう」(例,行動しよう)と区別する”
“漢字で「居る」と書く場合には,「ゐる」と書いて,「射る」「入る」等の場合には「いる」と書くのと区別する”
 「四つ仮名」については,“「ぢめん(地面)」の「ぢ」や,「いなづま(稲妻)」の「づ」の如く,その漢字を濁らない場合には「ち」であり「つ」であるものは,濁る場合にも「ぢ」「づ」と書く”
 「前文」では,「現代かな遣ひ」の 効用 を,もっと明瞭な言葉で書いた上で“しかし,国民がその好みによって歴史的かな遣いを用いることを排除する必要は少しもない”といふことを明らかにし「併用」といふ現に行はれてゐる事実を 素直に承認する

 是非とも訂正したいと考へる点は以上の通りですが,これらの件の訂正を行ふことになると,現在の案の各部分には,書き直した方がいいところが,多数でて来ます。国語審議会は,思ひ切って,それらの書き直しを行ふべきだと考へます。 申し上げたいことは以上の通りですが,もしも御異存がありましたら,次回の全員協議会の折,十分な討議にかけて戴きたいと存じます。

(以上)

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