坂本会長

　それでは，議題9の議事に入らせていただくが，議事の第一は，今後の運営についてということである。従来，国語審議会は，御承知の委員もおいでと思うが，数名の委員から成る運営委員会を設けて，審議会の運営上，会長を補佐していただく，そういうことを行ってまいったわけである。今期もそのように，運営委員会を組織していただく方がよろしいのではないかと考えている次第であるが，御意見はいかがか。
　格段の御反対がなければ，運営委員会を組織したいと思う。また，この運営委員会の委員の指名は，先例によると，会長一任ということになっているようであるが，これも先例にならって処置してよろしいか……。
（「異議なし」との声あり。）
　それでは，御反対もないようであるので，私から指名させていただきたいと思う。
　江藤委員，工藤委員，長倉委員，服部委員，林大委員，林巨樹委員以上の委員に，会長並びに副会長が加わって，合計8名ということにさせていただきたいと思う。
　それでは，この際，審議の進め方，あるいは問題点の取り上げ方などについて御自由に御意見を交換していただきたいと思うが，いかがか。今回のこの外来語の問題は，先ほどの事務局の説明を伺っても，いろいろと問題点があるように考えられるので，ひとつよろしくお願いしたいと思う。
　今日のところは，初会合のことでもあるし，一応この程度のことで，今後の審議の進め方を考えさせていただくということで御了解がいただけるようであれば，運営委員会はなるべく早い時期に開かせていただき，そこで今後の審議会の審議の進め方，あるいは問題点の取り上げ方などを検討していただき，次回の総会に御報告して御了承をいただいた上で，更に具体的な審議を進めていくというふうにしていきたいと思う次第である。
　次回の総会は，事務局等のいろいろな事情を勘案して，3月の中旬か下旬を目途に考えたいと思うが，当然それまでの間に運営委員会を開かせていただいて，いろいろと御議論いただくということにしたいと思っている。
　何か事務局の方から，この際，補足していただくことはないか。

前畑文化部長

　せっかくの機会であるので，もしよろしければ，何か意見交換をしていただければと思う。

坂本会長

　事務局の方から，せっかくの機会であるので，今までの説明あるいは今後の進め方等について何か御意見がいただけたらということであるが，いかがか。

村松（剛）委員

　質問であるが，先ほど事務局からも御説明があって，外来語の表記の問題が中心だけれども，それは全般の日本語表記にもかかわってくる。だからそれも含めて審議するというようなお話であったと思うが，ということは，つまり，既にこれまで国語審議会が議論してきて，内閣告示までいっている送り仮名の問題，あるいは常用漢字の問題，それらも検討し得るというふうに判断してもよろしいか。

前畑文化部長

　私どもの説明がちょっと舌足らずであったところがあればお許しをいただきたいと思うが，私どもがこの外来語の表記の問題について御審議をお願いするというふうに考えているのは，従来，この諮問にある漢字の問題とか，あるいは仮名遣い，送り仮名の問題とか，それらを御審議いただいた際に，外来語の表記の問題が常に先生方の中から議論として出されていたので，一応先ほど申し上げた問題点の1，2，3を処理し終わったこの時点で，これからは外来語の表記について御審議をお願いしたい，こういう趣旨である。
　もちろん審議会であるので，大臣のごあいさつでも申し上げたように，その他，国語の問題について大所高所から種々御教示を賜るということは当然あってしかるべきだと思っているが，当面のところは，外来語の表記に絞って御審議をお願いいたしたいというのが私どもの気持ちである。

村松（剛）委員

　ということは，送り仮名，その他については，論議外とするということか。

前畑文化部長

　御論議をいただくことは，それなりにそれぞれのお立場からの御意見であるので，私どもがそれをとやかく申し上げるべきことではないが，今期の課題としてお願い申し上げていることは外来語の表記の問題であって，このことについて御審議をお願いいたしたいというのが私どもの気持ちである。

村松（剛）委員

　外来語の表記の問題を審議していくと，当然のこととして，例えば「ヂ」，これをどういうふうにするかという問題が出てくる。現状だと，全部「ジ」になっていて，その代わりに，Ｄ系の発音は「ディ」を使うということになっている。これは従来の仮名表記の根幹にかかわる問題にさかのぼっていくことになると思う。これは一例であるが，そういうことはどういうふうになっていくのか。

森国語課長

　御指摘のような「ヂ」あるいは「ヅ」といった問題は，外来語の表記に関して確かに出てくる問題であろう。そこで，これからこの第17期審議会において御審議を進めていただく際に，先ほどもこれまでの審議会のやり方について御紹介申し上げたように，まず運営委員会をお開きいただき，その先，次回総会ででも，何か専門委員会というような組織を設けていただいて，そちらの方で，ただ今村松委員の御発言のようなことも含めて，十分に御論議をいただきつつ，先ほど申したような総会中心主義でお進みいただくというようなことに，過去の例からすれば，していただくことになるのではないかというふうに思っている。