国語施策・日本語教育

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次第・議事要録 委員会の設置について

坂本会長

 続いて,本日の議事に入りたい。前回の総会では,今後の審議の進め方などについて意見交換を行ったが,当面の日程と,問題を整理して専門的な検討を行うために甲乙二つの委員会を設置することについて,大筋のところ御了解をいただいた。そこで,本日は,これらの委員会の設置について具体的にお諮りしたいと思う。
 実は,最前運営委員会を開いて御相談したところであるが,第1委員会,第2委員会という形で二つの委員会を設置することが,この際適切であろうということになったわけである。所属委員は,第1委員会は12名,第2委員会は14名ほどの方にお願いしたいと考えているが,従来この種の委員会がそうであったように,今回も所属委員以外の委員も随時御出席いただけるような仕組みにしてはいかがかということである。
 このことについて,お手元に資料1としてお配りしてあるので,これも事務局から説明していただこうと思う。

韮澤国語課長

 それでは,資料1の第1委員会,第2委員会の設置要項について御説明申し上げる。
 ぺーパーに設置要項の(案)が出ているが,基本的には,19期の審議会に問題点整理委員会があったわけだが,それを今回二つ作るということで,内容等についてはほぼ同じである。
 以下,朗読させていただく。


〔資料1朗読〕

坂本会長

 ただいまの事務局の説明について御質問があれば,どうぞ御発言をいただきたい。御意見でも結構である。いかがか。
 これは従来のやり方に大体即しているように承知しているけれども,このような仕組みでよろしいか。
 御異議がないようであるので,第1,第2両委員会の設置については御承認いただいたということにする。
 次に,それぞれの委員会の所属委員であるけれども,ただいまの資料の第3項にあるように,これは先例に従って会長から指名させていただくという形になっている。前回の総会で,甲乙いずれかの委員会への参加について,特に御希望があれば事務局の方に御連絡いただくようにお願いをしたが,そうした御希望も考慮して,また運営委員会でも御相談した結果に基づいて,これから申し上げる方々にお骨折りをいただきたいと思う次第である。
 念のために事務局から名簿を配ってもらうが,それを配り終えた段階で,私からお名前を読み上げさせていただくつもりである。


〔名簿配布〕

坂本会長

 それでは,五十音順にお名前を読ませていただく。
 第1委員会は,石井委員,押上委員,菅野委員,北原委員,斎賀委員,俵委員,寺島委員,中西委員,野元委員,水谷委員,山口委員,渡辺委員,以上12名の方である。
 第2委員会は,浅野委員,石綿委員,片倉委員,加藤委員,輿水委員,阪田委員,谷口委員,西尾委員,野元委員,林(巨樹)委員,水谷委員,三次委員,森山委員,山崎委員,以上14名の方である。
 それぞれの委員会の先生方には,大変お忙しいところを御苦労をお掛けするわけであるけれども,よろしくお願い申し上げたいと思う。
 両委員会とも,差し当たって4月中に第1回の委員会を開いていただくことになると思うが,具体的なことは事務局と相談して,追って御通知を差し上げるということで御了解いただきたい。
 ここで,次の議事に移る前に,本日の配布資料のうち,3の予算に関することについては事務局から,また国語研究所に関する分については水谷所長から御説明を伺いたいと思う。よろしくお願いする。

韮澤国語課長

 それでは,平成6年度の国語関係の予算の状況について簡単に御説明申し上げる。
 お手元の資料の1ぺージ目であるが,これは文化庁の国語課の関係予算である。
 大きく分けて,国語施策関係と日本語教育関係の両方のことをやっているわけであるが,国語施策関係については,従来と同様,本年度4,800万円ほど計上している。
 その中身は,国語審議会のいろいろな関係経費,それから,国語問題研究協議会は毎年1回の小・中・高等学校の先生方を中心とする研究協議会で従来と同様東西2か所分の経費である。その次の国語施策懇談会はいわゆる1日審議会というもので,今年度から始めているものであるが,これについても今年と同様4か所分の経費を計上している。あと従来どおり,「ことば」シリーズの作成経費,「美しく豊かな言葉」に関するビデオの作成経費も織り込んである。
 それから,日本語教育関係では4,100万円ほどであるけれども,従来と同様,日本語教育に関する実態調査の経費,指導方法の改善のための手引書作成等の経費,さらに一番下にある中国帰国者に対する日本語教育に関する経費は,従来どおり盛り込んである。
 なお,今回新規事業として,「地域日本語教育事業の推進」というものを670万円ほど計上している。近年,国内の日本語学習者が急増している。特に,従来は大都市中心に,いわゆる留学生,就学生といった方々が日本語を勉強してきたけれども,近年,むしろ地域で生活する技術研修生,日系人といった働く方々が非常に増えてきた。主にそういった方々を対象として,日本語教育関係の事業のモデル地域を指定し,そこでいろいろな事業を重点的に行うというものである。
 そういうことで,合計して8,900万円ほどであるが,前年度が8,200万円であるので約690万円ほどの増になっている。
 次のぺージであるが,国立国語研究所の関係の予算である。研究の中身等については,後で水谷所長から御説明いただく予定であるが,簡単に概略だけ申し上げる。
 まず,研究所に関して,新規拡充等を中心に御説明申し上げる。
 上から二つ目の「特別研究経費」で4,600万円ほど計上しているが,この中で,新規として,「文字・表記のシステムと読みの過程の関係についての研究」「言語表現と話者の心的態度に関する対照言語学的研究」の2本を盛り込んでいる。
 3番目の○の「国語大辞典の編集」は,現在国語研究所で準備している大辞典に関するものである。前期の19期国語審議会の報告においても,この事業を更に積極的に進めるべきであるという御指摘をいただいたので,これを踏まえて,従来の2,500万円から3,300万円と約30%増の経費を盛り込んだ。
 次は,従来3人であった客員研究員を4人にするというものである。
 それから,ニつほど○を飛ばして,「日本語コミュニケーション能力に関する国際共同研究に係る経費」を新規に1,000万円ほど盛り込んである。これは外国人研究員を長期に招聘(へい)するための経費である。
 その下に「移転調査検討経費」というのがあるが,国立国語研究所については,政府の方針で23区から立川市の方に移転するということが既に決まっている。平成8年度から着工し,平成12年度以降に移転するということで現在準備が進められているが,それに関する調査の経費である。
 以上,合計して3億3,900万円,対前年度で約2,900万円,率にして9.4%の増となっているわけである。
 次のぺージは,御参考までに科学研究費補助金の状況であるが,平成5年度は約2,200万円ほどである。
 平成6年度については,こういった従来の科研費のほかに,新プログラム方式による研究を予定している。これは学術審議会の議により,国として特に推進すべき研究について,5か年計画科研費,学術振興会特別研究員等の制度を総合的に活用して行う大型研究のプログラムである。平成6年度から「国際社会における日本語についての総合的研究」というものを行う予定となっている。
 以上であるが,研究所については水谷所長からお願いしたいと思う。

水谷委員

 研究所が作られたのは昭和23年で,当時,戦後の混乱の中で日本を復興させるためには,日本語についてきちんとしていくことが大切であるということで,日本語そのもの,日本人の言語生活を科学的に研究する機関を作るべきであるという方針の下に用意されたわけである。現在も,当時とは違った意味で,新しい状況が社会の中には生まれているわけで,その意味では自覚しながら研究も発展させていかなければいけないと思っている。
 予算の説明をしていただいた資料に基づいて,ちょっとお時間をいただいて,今どんな研究をしているかということを報告させていただきたいと思う。
 研究所全体では所員が現在68名いて,その中の15名が庶務系であるから,53名が研究に携わっているという状況である。
 予算のプリントの冒頭のところに「一般研究経費」というのがあり,一般研究はこれによって支えられているわけであるが,様々な形での研究テーマを立てて研究を進めている。
 その下の「特別研究経費」のところに挙がっているのは,割合に大型で特微的であるのでその順に従って説明させていただく。
 最初に,「言語計量調査」というのがあるが,これは今年から新しい研究を出発させたところで,「現代雑誌の用字」というテーマで調査・研究を開始した。随分前に雑誌の用字・用語調査というのはしたことがあるが,時代も変わってきているので,今の雑誌の状態はどうであるか,それをまず用字に限って調査を開始した。
 目標としては,たくさんの雑誌が出ているので,うまくサンプルを取っていくということで,今400種類の雑誌を集めているところである。今年の1月から収集を開始して,これは1年間集めていって,最終的には文字の数にして200万字の資料になるだろうと思っている。
 昨年までの「言語計量調査」は,テレビ放送の用語ということで,東京の6局7チャンネルのテレビ番組を1か月間録画して,5分単位でサンプルを採ったものを材料にして研究を続けていた。今,整理段階に入って,この秋には第1号の報告書が出せる予定である。いろんな意味で工夫をしているが,対象とする言葉は,音声はもちろん,同時に画面に現れた文字の問題も拾っている。それから分析していく方向としては,例えばニュース番組,教養番組,娯楽番組といった番組の内容によって,言葉がどう使い分けられているのかということもはっきりさせようとしている。

水谷委員

 二つ目の「言語情報資料緊急整備」というのは,研究所が創設されて以来,例えば方言とか,敬語の調査とか,録音したものがいろいろあるが,その録音テープが老朽化してきて,そのうちにだめになってしまうので,急遽(きょ)これをディジタル録音のテープに移替えをして,将来も続けて使えるような態勢を作る。その意味で緊急整備にかかっているところである。
 それから,「日本語社会における敬意表現の総合的研究」。この場合の「敬意」はいわゆる敬語の問題であるが,広い意味で敬語の問題をとらえていく。今までにも,敬語そのものの研究は,岡崎といったような一定の地域の中での研究,あるいは会社・企業の中での敬語の使われ方,学校の中での敬語の使われ方などをやってきているけれども,敬意の表れ方を広くとらえて,この辺で総合的にまとめの研究をしてみようということで始めたものである。
 次の「日本語研究のための情報システム構築に関する調査研究」であるが,将来,国語研究所は,日本語の研究情報センターとしての機能を発揮していかなければならない。そのための情報システムをきちんと構築していこうということで,最近進めてきているプロジェクトと言うか,仕事であるが,今は,第1段階として,図書館をどのようにシステム化していくかということを課題にしている。
 それから,「文字・表記のシステムと読みの過程の関係についての研究」というのが新規に付いているが,この問題は,実はかなり長く続けて扱ってきている。これもやはり集大成をねらって,表記の内容によって目の動きがどう変わるか,眼球運動を機械で測定するというやり方をしている。今年の場合には,例えばアルファベットで書かれた文字の連続(文)と漢字仮名交じりで書かれた文とでは目の動きがどう違うか――究極的には縦書き,横書きといった問題も含めて扱われる問題点なのだが,そういうことである。
 「言語表現と話者の心的態度に関する対照言語学的研究」というのは,話し言葉に関して二つの側面が大きく分かれて存在する。一つは事実,事柄に対応する要素,もう一つは話し手の心の態度に関連する要素というものがあるわけで,その心の態度に関連するものを日本語とほかの言葉との対照言語学的な研究ではっきりさせていく。コミュニケーション上の摩擦が起こる原因をはっきりさせるのに役立つ研究になるだろうと思っている。
 このように,特別研究というのは割に大型の研究なのだが,それにしても,私どものしている研究は科学的であるべきだという前提もあり,限界を心得て,限定をはっきりさせた形で研究を進めている。国語審議会で進められるこれからの方策に,これがどのような形で貢献できるかということを考えると,やはり部分的な形でしかあり得ないであろう。例えば,言葉の問題をどう考えるかということについては何か役立つであろう。しかし全面的に,この問題はこう処理するといい,こうするべきだということを判断していくには,申し訳ないけれども,科学的な研究というのはそういうものだと思うが,やや距離がある。
 この点の問題は,私どものような基礎的な研究とは違った立場で,例えば放送とか,新聞とか,教育の場とか,物をお書きになる方など,現実に言葉を使っていらっしゃる世界の中での研究,調査,結果の積み重ねというものに依存していかなければならないのではないか。あるいはそういう方々から我々も教わるというような形で,チームワーク,ネットワークを作って貢献していけば,役に立つのではないかなと思っている。
 次に,「国語大辞典」というのがある。先ほど説明があったように,70年計画で今やっているが,イギリスやフランスにあるような大きな辞書に負けないものを作ろうということで進めている。この辞書の研究は実に地道な研究で,現在は国定教科書の総覧という用例を集めたものを出している。
 一方で,明治30年前後のところで出されている「太陽」という雑誌の用例を今集め始めている。その仕事をしている中で,「全然」という言葉の用法が幾つか出てきた。最近では,ある年齢層以上の人たちは,「全然」という言葉が,否定につながらない言い方は間違っているとか,正しくないというような言い方をよくされる。「全然うれしい」というのはだめだと。ところが,明治期の資科の中には肯定につながる表現が存在しているということが分かった。
 そうすると,ある判断をしていくときに,こういう危険性もある,こういう可能性もあるということについては,地道な研究の中から,貢献できる手掛りが何か出していけるのではないかと思っている。
 次に,「客員研究員に係る経費」というのがあるが,定員を確保していくというのは非常に難しいので,客員研究員という形で,今必要とされている――特に,日本語を外国人に教える仕事に関連する研究を拡充していくということをしているわけである。そこに3人とあるのは,現在まで英語と日本語,韓国語と日本語,夕イ語と日本語の3人は専任がいる。ところが,ほかの言語で,必要だと言われていながら研究に手が付けられない領域があって,スペイン語,ポルトガル語,中国語と日本語との比較対照研究をこの客員研究員によって今行っている。新しく1人付いた4人目の分では,インドネシア語との対照研究をする予定である。
 教材作成については,映画の初級編は今一そろいあるが,時間もたっているので,新しく作り直しをしよう。研修会については,総合研修の形で全国のネットワークを作り上げていこうという努力をしているところである。
 先ほど申したような基礎的な研究というものも絶対に続けなければならないと思っているが,同時に,社会の需要に対する方向性というものも自覚していなければならない。それで,私たちは昨年度辺りから,研究所の活動の一部を新しい方向を見付け出す動きに変えてまいった。
 次にある「日本語・日本語教育国際シンポジウム」というのはその一つで,国語研究所を日本の国語研究所だけではなくて世界の国語研究所にすべきであるという考え方に基づいた具体的な仕事である。これは本年度から予算が付いて,本年度は1月20日に,「世界の国語研究所」というテーマで,各国の言語研究所の所長さんたちに集まっていただいた。
 具体的な国としては,イスラエル,オーストラリア,韓国,中国,ドイツ,ハンガリー,そして日本,それから専門家としてアメリカ,イギリスからも参加していただき,シンポジウムを開催した。予期しないような成果が随分得られたと思っているが,今や一国の言語問題はその国の中だけでは考えられない時代になっている,どこの国でも同じような問題で苦労しているということがよく分かった。
 このシンポジウムに伴って,専門家だけで会議をする分科会も用意したのだが,そこでは,言語の多様性と標準化,言語処理データベースの問題も扱った。

水谷委員

 本年度に限っては,予算の始まりだったので,遅れて1月になったが,来年度,この4月以降は毎年6月にシンポジウムを開催する予定である。今度の6月1日には,「新しい言語理論と日本語の問題」をテーマにシンポジウムを開催し,分科会で扱うテーマとしては,日本語とフランス語の音声の教育に関する問題などを予定している。
 そういったシンポジウムの開催と同時に,今度新規に付いた「日本語コミュニケーション能力に関する国際共同研究に係る経費」というのがある。先ほどの説明にもあったように,外国人の研究者に200日間研究所に来てもらって一緒に仕事をする。従来の国際的なシンポジウムなどでは,イベント的な在り方が多過ぎたと私どもは思っている。継続的に研究活動を続けなければならない。その意味では,やはり外国人の研究者と一緒に研究できる状況が欲しい。既に研究所には外国人の研究者が1人,タイ語の人がいるが,この領域は更に拡大していく必要があるだろうと思っている。
 それから,移転経費などがあるが,次のぺージヘ進めさせていただく。科研費の研究テーマがずっと挙がっているけれども,最後のところに,6年度予定として「新プログラム方式による研究」というのがある。漢字で表現すれば,「創成的基礎研究」ということになるが,この研究は5年ほど前から始められたもので,非常に大掛かりな研究であるが,今まではすべてが自然科学系の研究チームによって実施されてきている。私どもの提案した「国際社会における日本語についての総合的研究」は,人文社会系では初めての試みということになるが,この研究そのものは,この審議会でのお仕事とやや関係が深くなるのではないかと思っている。
 目的としては,国際社会の中で,日本語が地球上にどんどん広がっている。国内にも,日本語に接触する外国人が増えてきている。その中で起こっている事態は一体何であるか,それを正確に把握するということが目的である。
 最近,ヨーロッパの新聞などにも,日本語の広告が結構出ているようである。英語のTシャツなどを着て歩いている人を見ると,意味のない英語とか変な英語がくっ付いているが,日本語で,あれと同じようなものがヨーロッパの人たちの中などにも出ている。現実に,そういう状況が一体どうして起こっているのかというようなことを5年間かかってはっきりとさせていきたい。
 日本語がどれだけ普及しているかということだけではなくて,日本語をどう考えているのか――例えば一定の国の中で,その国の人が,ほかの外国語,英語なら英語に対してどう考えるのか,日本語についてどう考えるのかという位置付け,あるいは日本という国に対してどう考えるのかというような,言語そのものだけではなく,ほかの要素,また,ほかの領域の言語と絡み合わせて,日本語の実態,普及についての問題を考えていきたい。これは国内についても同じやり方でやりたいと思っている。
 研究方法としては,社会言語学的な方法,実験言語的な方法といったものも援用しながら進めようと思っている。センサスという形で7か国という予定でいたのだが,今の準備段階では,もうちょっと増やさないとだめだということになってきている。これを開始して,その結果を御報告したら,何かのお役に立てていただけるのではないかと我々自身も期待している。
 少し長くなったが,以上で報告を終わらせていただく。

坂本会長

 ありがとうございました。
 ただいまの国語課長並びに水谷所長の説明について御質問があれば御発言いただきたいと思う。よろしいか。
 また後ほど御質問いただいても結構であるけれども,もしよろしければ,次に,最近の国語をめぐる問題の一つとして,法務省で戸籍事務の電算化を行うということが報道されていたが,このことについても事務局からの説明をお願いしたいと思う。

韮澤国語課長

 それでは,先ほどの国語関係の予算の資料の続きで,4ぺージ目のところであるが,「戸籍事務の電算化について」という資料について御説明申し上げる。
 本年1月31日に,法務大臣の諮問機関である民事行政審議会の方で,コンピュータシステムを用いて戸籍事務を処理するということについての答申が行われ,法務省では,これを受けて戸籍法などの関係法の改正について現在準備中という段階である。
 2番のところであるが,答申の中に「移行について」というのがあって,「移行に際しての戸籍情報ファイルの作成においては,誤字・俗字を解消すべきである。誤字・俗字を解消する場合には,誤字・俗字の正字への対応関係が明らかなものである場合を除き,事前又は事後に本人にその旨を告知するものとする。」という記述がある。現行の戸籍においては,大量の誤字,俗字があるわけで,例えば岡山県の「岡」という字だけでも11ぐらいあると聞いている。今回コンピュータ化する上においては,こういったものを整理統一する必要があるということで,この答申に至ったわけである。
 これについては,3番にあるように,平成3年1月から,新しい戸籍を作る場合,すなわち結婚等によって新しい戸籍を作る場合には,既に同様のことが実施されていて,今回はその趣旨をすべての戸籍に及ぼそうということが眼目である。
 それに先立つ平成2年1月の民事行政審議会においては,国語の先生方もお入りになって,いろいろと御議論がなされたというふうに聞いているわけである。
 基本的には以上のとおりであるけれども,誤字・俗字を解消する中で,例外的に使用できるものがあって,それが次のぺージとその次のぺージに書いてあるものである。
 まず,「別表1」は,法務省の調査で使用頻度が非常に高いという俗字で,これが15字ほどある。その下の「別表2」は,JIS漢字の第1水準の中で俗字的なものが示されているもので,これが142字ほどあるようである。こういった字体については,今後とも使えるというふうになっているわけである。
 なお,この点については今後,情報化,国際化の委員会において,更に詳しく御議論いただければと思っている。

坂本会長

 ただいまの事務局の説明に御質問があれば,どうぞお願いする。よろしいか。

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