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次第・議事要録 第1委員会の審議状況について

坂本会長

 続いて,本日の議事に入りたいと思う。前回の総会では,第1,第2の両委員会から,それぞれ発足以来の論議の概要について御報告を伺ったわけであるが,本日は「第1委員会・第2委員会における審議について(報告)(案)」という,従来の両委員会の論議の概要を一つにまとめたものがお手元に提出されている。
 まず,両主査からそれぞれの部分について御説明を伺い,その後,協議に入らせていただきたいと思う。
 なお,審議会の今後の運びについてであるが,先ほど運営委員会で御相談したところであるけれども,本日の御意見を基に第1,第2両委員会で御検討いただき,最終的に「第20期国語審議会審議経過報告」という形でまとめたものとして,次回,最終総会において文部大臣に提出するという運びにしたいと考えている。したがって,本日はこの「報告案」について委員の皆様の意見を十分に伺わせていただきたいと思う次第である。
 それでは,恐縮であるけれども,野元主査からひとつお願いする。

野元(第1委員会)主査

 第1委員会の審議について御報告するが,きょうは「審議について」という配布資料のそれぞれのところを事務局に読んでいただいて,それに対して主査から説明をするという形にしたいと思っているので,よろしくお願いする。


〔浅松主任国語調査官 第1委員会関連部分を朗読〕

野元(第1委員会)主査

 以上が第1委員会の方であるが,それについて簡単に説明をする。今回の趣旨は,なるべくたくさん御意見をいただくということで,私からの説明は簡単にしたいと思う。
 1の「基本的な認識」のところで述べていることは,前回の総会の御意見もあり,かなり整理したつもりである。
 1の「付」にあることは,先ほどは朗読を省略したけれども,言語は変化してやまないものであるが,その変化は誤りから出発することもあるということになるかと思う。
 (1)でもそうであるが,(2)以下でも,世論調査の結果はおおよその数であって,細かい数は必要に応じて括弧の中に示すことにしている。詳しくは,とじ込みの中に入っている「国語に関する世論調査」を御覧いただきたいと思う。
 2の「言語環境の整備」の(1)のイ「家庭における言語環境の整備」は,母語の基礎能カは学齢に達する前に確立すると考えられるので,学校より重要であるとも思われる。
 同じくウの「地域社会等における言語環境の整備」に述べてあることは,いわゆる活字離れ対策が必要であるということを示している。
 3の「敬語の問題」の(1)には,「敬語使用に関する意識上の大きな変革が生じたのは第二次大戦後であると言われている」とある。そうすると,「これからの敬語」はその変革の真っ最中に作られたというわけであって,それだけに問題を含んでいるということになるかと思う。
 同じく「(3)敬語の理念及び具体的な語法」のイの「敬語の語法」のA「敬称」のところは,前回総会でいろいろ御意見があったが,第1委員会の考え方は,ここの第2段落で述べているようなことであったと私は理解している。すなわち,同一場面,同一資格においては,敬称を別にしない方がよいのではないかということである。
 C「対話の基調」の第2段落の「形容詞+です」の過去形のところであるが,「おかしかったです」の否定形としては,「おかしくなかったです」もあり得ると思う。
 11ぺージのウの@,「植木に水をやる/あげる」では,「やる」派が意外に多いように私には感じられたけれども,これは知識による建前論のような気がしている。
 4の「その他」の(1)アは,いわゆる「ら抜き言葉」であるけれども,世論調査では,これも意外に「ら」を抜かない人が多いように思われる。一般の基準意識は相当強固であって,このことは書き言葉では出現率が低くなるということにも表れているのではないかと思う。「包丁で切る」の「切る」は,「この虎(こ)徹はよく切れる」のように「切れる」と言えるのに,「洋服を着る」の方は「洋服を着れる」とは言えないということが,一般には,非常に難しいことではないかと思っている。また,「ら抜き言葉」の出現率は否定と肯定とでは違うかもしれない。
 ウのGでは,それぞれスラッシュの前の方が伝統的と思われるものを示している。そのほかも,前の方が伝統的と言えるような並びになっている。
 Hでは,「形容詞「ない」+すぎる」の場合は,例えば「勇気がなさすぎる」と言ったように,「さ」が入る方が普通であるということになっているが,助動詞「ない」の場合はどうか,ということである。
 以上で,非常に簡単であるが,説明を終わることにする。
 先ほど申したように,多くの御意見を伺って,今期の最終報告案を作る上での参考にいたしたいと考えているので,御意見に対して論争するというようなことは避けて,ひたすら御意見を伺うということにいたしたいと思っている。どうぞよろしくお願いする。

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