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V 国際社会への対応に関すること
4 その他
(2)姓名のローマ字表記の問題
姓名を表記する場合,その国の伝統的習慣として日本のように姓を先にするのは,中国,韓国,ハンガリー等である。これらのうち,中国や韓国では,ローマ字表記する場合にも姓を先にすることが多く,また,日本においても最近は姓を先にする人や組織が出てきている。
姓名をローマ字表記する場合,姓と名のどちらを先にするか,という問題については,今後,各方面で十分議論されることが必要である。以下に,この問題についての論点をまとめておく。
ア これまでのような名を先にする習慣を是とする意見
@ | 特に,現在大きな問題がないのに,今までの習慣を変更することは無用の混乱を生じさせるだけではないか。それが心配である。 |
A | 日本人が自分の姓名をローマ字で表記するのは,欧米圏の言語で姓名を書き表しているわけであり,そうだとすれば当然のこととしてその言語の習慣に合わせるべきである。 |
B | こうした習慣は,相手の立場を尊重し相手の習慣に合わせていこうとする日本人的な思いやりの発想に基づくもので,伝統的な日本的行動様式として,これからも守っていくべきである。 |
イ これまでの習慣を見直すべきであるという意見
@ | 姓名というのは,その人の人格と深く結び付いており,それをひっくり返すということは自らの文化的アイデンティティーを否定することになる。むしろ,国際社会の中では自らの文化的アイデンティティーをきちんと主張していくべきである。 |
A | 中国や韓国などは,姓を先にする自分たちの文化的な習慣を国際社会の中でもおおむね貫いているのだから,日本も無理に欧米圏に合わせる必要はない。 |
B | 欧米的な習慣を持たない国々との交流も考えていくならば,欧米圏偏重の習慣は考え直すべきではないか。 |
なお,今期の国語審議会の論議においては,「姓一名」の順が望ましいという意見が多かった。