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次第・議事要録 開会/庶務報告/前回の議事要録の確認
清水会長
それでは,第6回国語審議会総会を開会する。
前回総会以後に,この審議会の委員の交代,また文化庁の方の異動があった。
まず,事務局からその紹介をしてもらいたいと思う。
霜鳥文化部長
審議会の委員の御異動があったので,御報告申し上げる。
9月30日付けで今泉委員が御退任になり,後任として,10月1日付けで同じ日本経済新聞社の論説委員である土谷委員が――本日は海外出張のため御欠席ということであるが――就任されたので,御紹介する。
清水会長
そういうことで,本日は海外出張でおいでになっていないが,土谷委員が御就任になった。
土谷委員には第2委員会に所属していただきたいと思うので,御了承いただきたい。
霜鳥文化部長
引き続いて,文化庁の人事異動を御報告申し上げる。
7月1日付けで吉田長官が退任し,後任に文部省学術国際局長から林田長官か就任した。
それから,同じく7月1日付けで,小野次長が文部省の官房長に転出し,後任に文部省大臣官房審議官から遠藤次長が就任した。
清水会長
それでは,早速で恐縮であるけれども長官から一言ごあいさつをいただければ有り難いと思う。
林田文化庁長官
ただ今御紹介をいただきました林田でございます。
ちょうど2年余り前まで文化庁次長を2年間務めさせていただきましたので,その折に,国語審議会の皆様方には大変お力添えをいただきまして心から御礼を申し上げます。
また,改めて長官として皆様方に大変お世話になると思いますけれども,何分どうぞよろしくお願いいたします。
就任後,初めての総会ということでございますので,一言簡単にごあいさつをさせていただきます。
今更私が申し上げるまでもございませんが,国語問題と申しますのは,日本の文化の基盤にとりまして大変重要な課題であると思います。
国民の幅広い生活にもかかわる大変重要な課題であると思いますし,必要な施策につきましては,各方面の方々の御意見をいただいて,適切な対策をとっていかなければならない仕事でもあろうかと思っているわけでございます。
先生方には,昨年からでしょうか,特に敬語を中心とした言葉遣いの問題,ワープロ・パソコンにおける字体の問題というものを中心に御検討いただいているところと伺っているわけでございます。
いずれも国民生活にかかわりの深い,重要かつ大変大きな課題でもあろうと思うわけでございます。
この会は幅広い方々の御出席を得まして,審議をいただく機関でございます。
国民の関心も大変高い課題でございますので,御多忙中,恐縮でございますけれども,十分に御議論いただき,また適切なおまとめをいただきまして,私どもの仕事に有益な指針をお与えいただければ,それに基づきまして最大限の努力をしてまいりたいと思っておりますので,何分どうぞよろしくお願い申し上げます。
清水会長
ありがとうございました。
私どもも一生懸命やらせていただくので,今後ともよろしくお願い申し上げる。
清水会長
それでは,本日配布されている資料の確認と庶務報告を事務局にお願いする。
大島国語課長
それでは,まず本日の資料を御確認いただきたい。
資料1と資料2と二つ資料がある。
資料1は「第1委員会における論議の概要−4」,資料2は「第2委員会における論議の概要−4」である。それぞれ後ほど主査から御報告いただく資料である。
それから,資料番号を打ってはいないが,お手元に配布させていただいているものがある。昨日,国語審議会に対して日本文藝家協会から提出された要望書である。
資料としてお手元にお配りしたのは以上である。
なお,この期の最初の総会で御確認いただいたように,この会議は報道関係の方々にも公開しており,資料もお配りしているところであり,この会議の内容を広く国民の方々に報道していただけるようになっている。
次に,前回の総会以降,本日までに委員の方々にお送りした資料について,念のために申し上げる。
まず,7月23日付けで,国語審議会第1委員会第6回議事要旨と第2委員会第8回議事要旨をお送りした。
そして,9月24日付けで,国語審議会第1委員会第7回議事要旨と第2委員会第9回議事要旨をお送りした。
さらに,9月30日付けで国語審議会第5回総会議事要録をお送りしたところである。
続いて,第1委員会と第2委員会の開催状況について御報告申し上げる。
前回の総会以降,第1委員会は7月10日に第7回,9月19日に第8回を開催した。
第2委員会は7月1日に第9回,9月16日に第10回を開催した。
また,字体小委員会は8月に計6回,8月1日,11日,12日,25日,26日,27日の6日間にわたって開催したところである。
それぞれの委員会における論議の内容については,後ほど両主査から御説明いただくことになっている。
それから,平成7年度,8年度と毎年行ってきた文化庁の「国語に関する世論調査」を,本年度も実施する予定である。調査内容については,今後,第1委員会,第2委員会でも御検討いただきたいと思っている。本年度中に報告書を作り上げる必要があるので,12月に調査を行いたい。
それから,JIS規格の関係で2点御報告したいと思う。
一つは,口ーマ字入力のJIS化の問題である。
工業技術院では,今,ワープロやパソコンのローマ字入力方式についてJIS化を検討しているという情報がある。今後,国語課にも担当の工業技術院の情報電気規格課から御相談があると思うけれども,このことについては課として慎重な対応をしていくことになると思う。先生方にもまた今後御指導いただくことになるかもしれない。その際はよろしくお願いする。
もう一つは,文字コードの問題である。
ワープロ・パソコンの漢字の字体の問題についての御議論に関連して,JISの文字コードの問題についても,これまでその状況を総会に報告したこともある。
3月10日の第4回総会では,『三田文学』に掲観された作家の目木晴彦さんの「日本語が消滅する日」という論文を御紹介した。それは江藤委員からちょうだいしたものであるが,この論文にはJISの文字コードの問題点,JISの文字コードを含む国際規格の問題点の御指摘がある。
それに関連して,第2委員会に所属なさっている浮川委員の会社で国際規格などの問題を担当なさっている小林さんから,第2委員会で御説明いただいたことについても御報告した。
小林さんのお話では,日本のコンピュータ産業も,国際的ないろいろな規格の会合なり,実質的に影響力を持っているところなりに積極的に参加して,できるだけ漢字文化圏以外のところにも分かるような形で日本側からの提案を行い,規格等に反映させる――そういうふうに努力するのが現実に合ったやり方ではないかと思うという御意見があり,目木さんの論文と併せて,第4回総会で御紹介したところである。
これについて,最近,国内のJIS規格あるいは国際規格に新たな動きがあるので,この場を借りて少し御紹介させていただきたいと思うが,文字コードの問題というのがやや分かりづらいのではないかなと思うので,まず最初に,そもそも文字コードというものはどういうものかというのを若干御説明したいと思う。
大島国語課長
漢字をコンピュータで処理するために,コンピュータの中では,究極的に信号はすべて二進数の0か1で処理されるという関係があって,そういう二進数に直すことのできる数列をコードと言っているが,そのコードを文字に振って漢字をコンビュータで処理できるようにする。
国内においては,その文字コードの標準化に関して,JISの方で共通コードか定められており,第1水準,第2水準と言っている6,355字の規格がワープロ・パソコンに現在載っているが,それ以外に,補助漢字として5,801字のコードがJISで定められている。
一方, 国際規格では,ISO(国際標準化機構)とIEC(国際電気標準会議)が合同で審議をしており,そこでJIS規格も包含した国際規格が制定されている。この国際規格は,日本,中国,韓国,台湾のコードを統合した2万902の漢字コードである。統合したというのは,それぞれの字種に対応する各国の字体に対して同一のコードが割り当てられているということである。
簡単に文字コードについて説明をしたが,現在の動きとして御紹介したいのは,この国内規格と国際規格双方において,大幅な漢字コードの拡張計画が検討されているということである。
国内規格については,以前も御紹介したところであるが,現在,第1水準,第2水準の規格6,355字のほかに,JIS規格としては約5,000字拡張する。
それから,これは初めてのお話になるかと思うが,国際規格の方では,当面は約6,500字の拡張の方向で作業中である。そして,次の動きとして,これに加えて約6万5,000字の範囲で,可能な限り多くの漢字を取り入れる方向で検討がなされている。
これに関して,国際規格にどういう漢字を取り入れるかということについて,通産省から調査研究を委託された社団法人の情報処理学会が情報を募集中であるということである。情報を募集中であるということは意外と世の中に知られていないので,この場を借りてお伝えしたいと思ったわけである。ただ,この情報処理学会に情報提供してほしいという一応の期限が,今月末までということなので,余り世の中に知られてないということは,ちょっと心配しているところである。
文字コードの状況について,簡単に御報告させていただいた。
最後に,昨日提出された文藝家協会からの要望書をお手元に配布させていただいているので,これを簡単に御説明したいと思う。
お手元の資料の2枚目を御覧いただきたい。
そこで言われていることを要約して申し上げる。第20期の国語審議会の「審議経過報告」で,字体の問題について「康熙字典体を本則」とするという「考え方」の方向が示されているけれども,『康熙字典』には約4万2,000字,さらに『大漢和辞典』には4万9,000字の漢字が収録されている。文芸家が実際に使う漢字の背後には,少なくともこれだけの文字文化の遺産がある。そして,ワープロ・パソコンの普及に伴って,これらの機器に搭載されている漢字の字数と字体に関して問題が生じている。
さらに,国際規格の制定においても,漢字が英語圏の文字であるがゆえに外国の有力企業の恣(し)意によって,いわれのない字数の制限なり,字体の改変等を余儀なくされるおそれもなしとしない。
こういうことを踏まえて,国語審議会が我が国の今後の言語政策を誤りなく進められるように,文化庁をはじめ関係各方面に積極的に提言されるよう要望するというものである。
後ほど第2委員会の論議について御報告があるが,国語審議会では,現在ワープロ・パソコンの普及に伴い生じてきた問題のうち,いわゆる表外字の字体の在り方について検討中であり,これについては,答申を取りまとめることになるわけである。
一方,この文藝家協会からの要望書の中には,先ほど少し説明したJISの文字コードの問題や,コンピュータ産業が文字コードの振られた漢字をどこまでコンピュータに搭載するかという問題も含まれており,それはJIS規格を担当する通産省や関連業界とのかかわりが深いけれども,ワープロ等の字体問題の議論にも関連するというところである。
審議事項に関連する文字コード問題については,その都度,第2委員会や総会で御報告してきたところであるが,そういうふうなことについて,改めてまた国語審議会に対しても要望されているということである。
以上である。
清水会長
ただ今最後に報告があった要望書は,第2委員会でいろいろ御議論いただいていることに関係するわけであり,先ほど長官からもお話があったように,漢字圏の,正に日本の文化の中核になるもので,そういった意味からも文藝家協会から要望が出てきたと思う。
業界とのかかわりもいろいろあるかと思うけれども,こういったこともひとつ十分視野に入れて,今後第2委員会の方で御議論いただければ有り難いと思うわけである。
それでは,先に進ませていただく。
前回の議事要録の御確認をいただきたいと思う。先ほど御説明があったように,既に議事要録をお送りしてあるので,お読みいただいたかと思う。御自身の御発言の中で,もし修正する箇所があればおっしゃっていただきたいと思うが,細かいことであれば, 後ほど事務局の方へ御連絡をいただくということでお願いしたい。そういうことを前提に,議事録の御確認をいただいたということにさせていただいてよろしいか……。
それでは,そのようにさせていただきたいと思う。
次に,議事に入りたい。