国語施策・日本語教育

HOME > 国語施策・日本語教育 > 国語施策情報 > 第22期国語審議会 > 表外漢字字体表 > T 前文

T 前文

2 表外漢字字体表の性格

(2)対象とする表外漢字の選定について

 常用漢字及び常用漢字の異体字は対象外としてあるが,常用漢字の異体字であっても「阪(坂)」や「堺(界)」などは対象漢字とした。これらは使用頻度も高く,既に括弧内の常用漢字とは別字意識が生じていると判断されることを重視して対象漢字として残したものである。また,これらの表外漢字を対象漢字としたことから明らかなように,固有名詞以外にはほとんど用いられないという理由だけで対象漢字から外すことはしなかった。これは,常用漢字とともに使われるような比較的使用頻度の高い表外漢字を表外漢字字体表で取り上げるという方針に基づき,外すべきではないと判断したことによる。しかし,このことは,上記(1)の「なお」以下で述べている字体表の適用範囲から明らかなように,この表で取り上げていない「常用漢字の異体字」使用をすべて制限しているものではない。
 戸籍法施行規則で定めている人名用漢字については既に述べたように,各分野での取扱い方及び漢字出現頻度数調査の結果などから見て,常用漢字に準じて扱うことが妥当であると判断した。そのため,人名用漢字についても,常用漢字と同様に対象外とした。
 その上で,前述の2回の漢字出現頻度数調査の結果から,日常生活の中で目にする機会の比較的多い,使用頻度の高い表外漢字を対象漢字として取り上げた。また,使用頻度とは別の観点から,表外漢字の字体問題に密接にかかわる「現行JIS規格の「6.6.4過去の規格との互換性を維持するための包摂規準」に掲げる29字」及び「平成2年10月20日の法務省民事局長通達「氏又は名の記載に用いる文字の取扱いに関する通達等の整理について」の「別表2」に掲げる140字」についても対象漢字の範囲に加えることとした。以上を対象漢字の範囲とし,使用頻度から選定した表外漢字については,若干の調整を行った上で,対象漢字を確定した。調整に当たっては,その漢字の造語力,使用範囲の広さ,字体上の問題の有無,使用頻度などを総合的に勘案して判断した。(詳しくは,「付 表外漢字字体表に掲げた漢字(字体表漢字)の選定方法について」を参照)
 なお,表外漢字字体表に示されていない表外漢字の字体については,基本的に印刷文字としては,従来,漢和辞典等で正字体としてきた字体によることを原則とする。これは,常用漢字の字体に準じた略体化を及ぼすことで新たな異体字を作り出すことに対して,十分慎重にすべきであるという趣旨である。

トップページへ

ページトップへ