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V 参 考

1 表外漢字における字体の違いとデザインの違い

〔「表外漢字における字体の違いとデザインの違い」の見方〕
  1.  これは,表外漢字字体表において,字体の違いではなく,デザインの違いと考える字形差を,常用漢字表の「明朝体活字のデザインについて」と対照させて示したものである。

  2.  ここで取り上げたデザイン差は,表外漢字字体表に掲げられた1022字の中に存在するもののうち,必要と思われる範囲に限って示したもので,字体表に掲げられていない表外漢字にまで及ぶものではない。
     また,ここで用いた表外漢字の具体例は,現行の各種明朝体字形を比較するために作成した『字体・字形差一覧』(平成9年,文化庁)から採ったものである。ただし,「」については,上記資料に掲げる印刷局書体とは別の印刷局書体を用いて例示したものである。

  3.  ここで挙げているデザイン差は,現実に異なる字形がそれぞれ使用されていて,かつ,その実態に配慮すると,字形の異なりを字体の違いと考えなくてもよいと判断したものである。すなわち,実態として存在する異字形をデザイン差と字体差に分けて整理することがその趣旨であり,明朝体字形を新たに作り出す場合に適用し得るデザインの在り方を示したものではない。

  4.  全体の構成は,「常用漢字表のデザイン差項目に該当する部分」と「表外漢字だけに適用されるデザイン差項目の部分」から成る。また,表外漢字だけに適用されるデザイン差項目の部分は,常用漢字表においては字体の違いと位置付けているものを,「画数の変わらないもの」「画数の変わるもの」「特定の字種に適用されるもの(個別デザイン差)」に分けて示したものである。

  5.  表外漢字だけに適用されるデザイン差項目のうち,「特定の字種に適用されるもの(個別デザイン差)」とは,ここに示した文字にのみ適用するもので,他の文字に及ぼすことはできない。これは特定の字種において,異なる字形がそれぞれある程度の頻度で使用されていて,かつ,その当該の字形の異なりを他の字種には及ぼせないと判断した場合に,その実態に配慮して,このような扱いとしたものである。
     なお,ここにはもともと別字とされる「(シツ,しかる)」と「(カ)」のようなものもあるが,実態としては,「」字形の方が「」字形よりも高い頻度で用いられていることを重視したものである。

  6.  デザイン差として掲げる具体例の並べ方は,「常用漢字表のデザイン差項目と対照させた部分」については常用漢字表のデザイン差項目における並べ方に従い,「表外漢字だけに適用されるデザイン差項目の部分」については,字体表の例示字形に近い字形を先に並べた。

  7.  表外漢字だけに適用されるデザイン差の中には,「(4画)/(5画)」や「(7画)/兎(8画)」のように明らかに画数の異なる場合であっても,デザイン差と位置付けているものがある。これらは,現在及び戦前の明朝体字形の実態,文字の骨組みという字体の定義,さらに文字認知の上からもデザイン差と位置付けて差し支えないと判断したものである。

  8.  ここでデザイン差項目として挙げている「はねるか,とめるかに関する例」や「点か,棒(画)かに関する例」であっても,「干」と「于」における縦画のハネの有無,「戍」と「戌」における点か棒(画)かなどは,それによって字種を分けているのであり,そのような場合は,デザイン差には該当しない。

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