国語施策・日本語教育

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U日本語の国際化を進めるための方針

3 国際化に対応する日本人の言語能力の伸長

 日本語は,それを用いる日本社会の歴史の中で現在の姿に整えられ,日本人の伝統的なコミュニケーションの特色を反映した形で用いられてきたものである。国際化の進展や日本語の国際的な広がりを踏まえ,国際社会へのより積極的な参画を視野に入れて,現在の日本語の運用実態や日本人の言語能力の現状を見直し,改善を図っていく必要がある。

(1)国際的な視点から見た日本人の言語運用の特徴と問題点

 日本人同士の意思の伝達は,世界的な視野で見ると,場面や人間関係などの共通理解に基づく察しが言語表現を補う形で行われる傾向が強い。また,「以心伝心」のような言い回しが使われることに表れているように,日本人は伝統的に,言葉で言い尽くさずに互いに察し合うことに価値を置いてきた。これは,我が国の歴史の中で培われた,日本人同士が共有する感性,思考方法,行動様式などにわたる種々の同質性を前提に,少ない言葉で効率的に意思の疎通を図ろうとする習慣に伴うものである。
 しかし,異なる文化的,社会的背景を持つ人と接する場合には,相手の察しに頼る従来の日本的な表現方法では意思が通じにくく,誤解を生みやすい。したがって,外国人とのコミュニケーションの場においては,状況に応じて適切に言葉を用いることにより,明確に自己の考えを表現する必要がある。

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