国語施策・日本語教育

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〔活字字体整理に関する協議会第1回総会〕

昭和22年7月23日  午前10時から  文部省3階,文教文化委員連絡室


(出席者)協議員のほか
久世,小山,吉田,岩淵,林各事務官,保科,三宅,斎藤各嘱託


(進 行)
1 教科書局長あいさつ
2 国語課長あいさつ
3 座長を局長に決定
4 準備会で打ち合わせたことの報告
5 懇  談

(1)術語について

字体  筆画の組合せから成る,1字としてのまとまった形
書体  1850字(あるいは漢字全体)を通じて一貫する様式の体系
筆写では,かい書,行書,草書,てん書,れい書等
活字では,明朝,清朝,宋朝,ゴシック等
字画  筆画の単位の数(画数と呼ぶ方がよい。)
筆画  字形を構成する点や線(点画)
字形  1字の字体を構成する要素としてまとまった筆画の組合せ(構成要素)。
永字8法のようなものについては,専門用語をとりあげる必要はない。

(2)書体の問題について

イ  書体については,普通の活字体として明朝体にいちおう限ることとし,この協議会の範囲から除く、しかし,ひらがなとのつりあいを考えてくると,書体を考慮しなければならなくなるであろう。
ロ  筆写体との差を少なくすることは,書体に関連するところが大きいが,教育的に重要である。ことに義務教育の国語で教えられる筆写体の漢字は700字前後になるはずであるから,活字を見て容易に筆写体を類推することができるようでなければならない。
 そのためには,活字の字体を筆写体の方へ近づけたい。また,明朝体と筆写体とのちがいの原則的なものを何箇条かにまとめておく必要がある。

(3)簡易字体その他について

 活字字体の体系は,画数よりも筆画の組合せ方に要点があるであろう。とすれば,活字の画数は,現行の明朝体を基準とせず,相当自由に歴史的にも根拠のあるかい書体に従って増減すべきである。小学校の読本のかい書でもなく,明朝体でもないもので,筆写に実用され,しかも歴史的根拠のあるもの,さような字体も考慮したい。
 当用漢字の簡易字体131字は,国語審議会でのさかんな論議の結果,現状で一般にさっそく行われると考えられる最小限度を定めたものであって,できれば,もっと簡易字体をふやしたいものである。
 字体整理は,まず,うそ字の整理からはじめたい。

(4)実施について

 この協議会の案は,国語審議会に提示し,その議を経て文部大臣から発表するようにしたい。内閣にも連絡して,政府として公に認められるように運びたい。
 教科書では,さっそく実施したい。
 印刷会社・新聞社などでは一時に全部を切りかえることはむずかしいかも知れないが,わりあいに簡単に実施にうつることができるであろう。
 印刷局としては,官報で発表されるようになれば,非常に効果があると思われる。しかし,1850字のうちに1,000字以上も改まるというのであると,実行がむずかしくなるかも知れない。
 どんな活字でも,1本の活字でも急速に注文に応ぜられるよう,活
字製造の方面に望みたい。(新聞社などでは,急に活字を改めることが自体でできるが,一般の印刷業者のために。)
 タイプライタの字母鋳造の方面にも協力を求めないと,官庁等での実行が円滑にゆかないおそれがある。

(5)今後の計画について

第2回総会   8月6日  午後1時から
小委員会    7月28日からはじめて毎週月水金午後1時から国語課で。小委員会委員としては,原,楓井,山上,小林,山岡,岩田,村瀬,金田の各氏を推す。他の協議員も,都合のつき次第出席することとする。
 
    (第2回総会以降の記録略)

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