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中国の地名・人名の書き方に関する主査委員会 第1回〜第9回
〔第1回主査委員会〕
昭和23年11月4日 午後1時から 文部省第2会議室で
(議 事)
局長から,国語審議会で,中国の地名・人名の書き方について審議すべき案を提示。
主査委員長互選,原富男委員が委員長となる。
放送協会,鈴木明氏から5社の協議経過について説明。広田幹事から提出資料について説明。
会社名などは含めない。人名については,民国以後に生存した人だけについて論ずる。
5社案を審議の原案とすることを決定。
(共同通信社)全国新聞120社ほどのうち,80社ほどが,すでにかな書きを実行しているが,漢字を併用している。教科書でも,また世間でも使ってもらうようにしたい。
(放送協会)放送局で現地よみを実行している理由は,東洋以外の地方は,ほぼ現地よみとなっている。中国・朝鮮だけが日本よみでは,現地人にもわからないから。国名(中国)地方名(朝鮮)は日本よみであつかう。
◎5社の代表を審議に参加させる。
外務省その他の方面には,その時々に連絡して参加してもらう。
〔第2回〕
昭和23年11月9日 午前10時から 文部省第2会議室で
原案の総則および原則について審議。
〔第3回〕
昭和23年11月16日 午後1時―4時 文部省第2会議室で
原則,および附則について審議。
〔第4回〕
昭和23年11月30日 午後1時―4時 明治神宮絵画館で
原案の附則について審議。
〔第5回〕
昭和23年12月7日 午後1時―4時 明治神宮絵画館で
川,湾の書きあらわし方について,および決定案発表の際の方法について審議。
〔第6回〕
昭和23年12月14日 午後1時―4時 明治神宮絵画館国語研究所会議室で
附則について審議。
〔第6回までの審議結果要領〕
○原則の例外的な読み方について,原案から,大連,浙江,江蘇をはずし広東カントン,油頭スワトウを加える。
○tiをティー,tiuをテュウとする。
○九をチュウとする。
○附則第3項から,度量衡,貨幣単位をはずす。
○中国,中華民国等,国名の場合は国をクオとは読まない。
○鉄道名はカッコにいれて示してもよい。
○教科書では印刷技術上,当分漢字の左にヤンツーツ,ホワンツと注する方法をとってもよい。
○山脈名で「嶺(リン)」とつくものは,それを読みこんで,その下に山脈をつける。
○東シナ海,南シナ海,黄海等,中国の国域外のものは,在来の呼称を改めない。
○辺境地名は,だいたい今までどおりとする。
○渤海は「ボーハイ湾」とする。
○1シラブルの県名は,行政単位のときは,「イー県」のように県を漢字で書くが県域を意味するときは「イーシエン」のように県まで含めて原音であらわす。
〔第7回〕
昭和24年1月20日 午後1時―4時 明治神宮絵画館国語研究所会議室で
原則および附則の書きあらわし方について審議。
○附則第5項は,「民国以前の歴史的な人物,地名,国号,年号その他については,しばらく今までどおりでもさしつかえない。」とする。
〔第8回〕
昭和24年1月27日 午後1時―5時 明治神宮絵画館国語研究所会議室で
案の実施,発表の方法について審議。外務省その他関係方面とさらに深く連絡検討し,5社案を審議会案としてじゅうぶん練りあげるために委員会を増強して,第2読会にはいることに決定。
〔部内打合会〕
昭和24年2月17日 午後2時から 教科書局長室で,
(出席者)稲田局長,釘本課長
安藤会長,原主査委員長,保科幹事長
広田,白石,三宅,細井,林各幹事
松尾事務官,高橋調査員,塩田書記
○総会開催について打合せ
〔第9回〕
昭和24年2月24日 午前9時半―12時 文部省教科書局長室で
「主査委員会では,5社案検討の結果,根本方針として中国の地名・人名をかな書きにすること,かな書きにする場合は現地音をもって書きあらわすという原則を認めたが,その点について審議を願う。」ことと決定。なお,主査委員会として総会に対して「中国の地名・人名かな書き案を,国語審議会案として発表するためには,なお,この件に関する主査委員会を設けて,案の内容,実施法等に関する検討をおこなう必要がある。」と希望をのべることと決定した。
なお,これは総会に報告した結果,新しく,「外国の地名・人名の書き方に関する主査委員会」を設けて,中国の地名・人名のかな書きの実行について審議することとなった。