会長あいさつ（安藤会長）

　本日ここに国語審議会第15回総会を開き各位の御審議を願いますのは，主として中国の地名・人名の書きあらわし方に関する件であります。
　由来，中国の地名・人名には，見なれない漢字，むずかしい漢字が相当に多く出てまいります。当用漢字表，同音訓表の範囲をはずれるものが少なくないのであります。そういう場合の処理をどうすべきかについては，本会の漢字に関する主査委員会において，かねて調査検討を重ねていたのでありますが，今回ようやく一応の見とおしがつくようになりましたので，ここに案を具して御審議を願うことになった次第であります。詳細にわたりましては，主査委員長から御報告申し上げることになっております。よろしくお願いいたします。
　本日はまた，別に各位の御協議をわずらわしたい重要な案件があるのであります。それは国語審議会の将来に関する件であります。御承知のように，先般国立国語研究所設置法が公布され，それによって国語研究所の発足をみるに至りました。ついてはこの際，国語審議会において国語審議会の将来をいかにすべきかを問題としてとりあげ，新しい構想の下にその体制を強化し，これと呼応する方途を講ずることが必要となるのではありますまいか。これについては文部省当局の御意向もうかがわなければなりませんが，審議会自身はよろしく自主的にこれを考え，これが実現をはかるべきであろうと考えます。幸に各位の御同意が得られますならば，後刻，時間の許す限り，この問題について，じゅうぶんに各位の御意見をうかがい、善処の方法をも講ずるようにいたしたいと存じております。この点あらかじめおふくみを願っておきます。