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文化庁月報
平成23年10月号(No.517)

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連載 「文化交流使の活動報告」

津軽三味線が国境を越えた日墨交流

財団法人日本余暇文化振興会

 平成22年10月22日,青森県弘前市を拠点に活動する津軽三味線まんじ会一行は,青森空港を飛び立ち,ソウル・ロサンゼルス経由でメキシコシティーへ向かいました。衣裳の入ったスーツケースが半分以上到着せず,翌23日公演30分前に到着した衣裳を慌しく身に着け,満足なリハーサルができないままの不安なスタートとなりました。

 短期指名型文化交流使として交流先に選んだのは,メキシコシティーで最も権威のある音楽学校「エクスエラ・スーペリオアール・デ・ムシカ音楽学校」の生徒たちです。日本を代表する5大民謡<津軽じょんから節・津軽あいや節・津軽よされ節・津軽小原節・津軽三下(さんさが)り>とアンコール曲の工藤満次オリジナル<津軽の香り・じょんから合奏曲>の合計7曲は,津軽三味線の2大演奏法「叩き奏法」(もう一つ「つま弾き奏法」がある)を代表する演奏者工藤満次率いる「津軽三味線まんじ会」一行により国際交流の架け橋としてメキシコの地でその音色を奏でたのでした。

音楽ホールにおいての演奏風景

音楽ホールにおいての演奏風景


公演後のワークショップ・実演教室

公演後のワークショップ・実演教室


在メキシコ日本大使館にて小野全権大使と懇談

在メキシコ日本大使館にて小野全権大使と懇談

 伝統ある「アンヘリカ・モラーレス音楽学院ホール」は立ち見が出るほどの盛況で,メキシコではほとんど前例がないという「津軽三味線の演奏」は生徒,父兄の皆様の喝采と賞賛の嵐に包まれ,ワークショップでの実技指導は長蛇の列となり,その後の記念写真撮影にも観客があふれ,日本の伝統文化の紹介をとおして多くの皆様と交流を深めることができました。

 日本を代表する「弦楽器」である三味線は,本州最北端の地,青森県津軽地方で独自に進化し,「津軽三味線」として知られるようになりました。民謡の単なる伴奏楽器としての三味線から,即興的な自己表現演奏に価値を置く「津軽三味線」は楽譜もあまり使われず,弾く人の感性・技巧により音色も異なり,弾き手の人格までも表現する人間の感情をもった音楽として独自の文化を築いてきました。

 そんな「津軽三味線」が国境を越えてメキシコの地で,「アンコールのシュプレヒコール」の大歓声に包まれることに,演奏する皆さんも感動すら覚える程でした。音楽に国境は無いということを,日本の伝統芸能をとおして実証できた瞬間でもありました。

 在メキシコ日本大使館小野全権大使にも「非常に内容の濃い文化交流をされましたね」とのお言葉も賜り,地元ラジオ局や新聞社の取材などその反響の大きさに,文化交流の大切さをあらためて感じたこの度のメキシコ訪問でした。

 日本の多くの文化交流事業を通じて広く世界の人々と,絆を深め理解を深め,立場や価値観を超えて世界平和に貢献できるよう切に願って止みません。これからも末永く文化交流事業が続く事を願い,ご報告とさせていただきます。

(法人名) 財団法人日本余暇文化振興会


【経歴・活動欄】
昭和48年12月設立許可(主務官庁:文部科学省)
 生涯学習の理念を基調として,余暇を活用した学習活動に関する研究調査を行うとともに余暇を活用した生涯学習活動を推進のための事業を通じ,豊かな人間形成と社会創造に寄与する事を目的に設立されました。
 文化交流事業は,国際間の相互理解の促進と異文化体験に触発される学習意欲,豊かな生涯学習社会づくりに資するという観点で設立当初から取り組み,数多くの交流事業の実績を残してきました。
 近年の交流事業では,
平成17年 日本・EU市民交流年(東儀秀樹イタリア公演)を後援
平成18年 日豪交流年 大地の祭り(氷見神楽他公演)を後援
平成19年 日本・中国交流の翼2007(タケカワユキヒデ西安公演)を主催
(文化庁,平成19年度国際芸術交流支援事業)
平成21年 日本・ベトナム交流の翼2009(佐渡文弥人形ハノイ公演)を主催
(文化庁,平成21年度国際芸術交流支援事業)
以上が挙げられます。

 これからも,日本の多くの伝統芸能交流,芸術文化交流を広く世界に紹介し相互理解を深め,平和への貢献を祈願とし活動を推進してまいりたいと願っています。

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