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文化庁月報
平成24年12月号(No.531)

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連載 「言葉のQ&A」

「雨模様」の空から,雨は降っているか?

国語課

 「今日はこのとおり,朝から雨模様です。」とお天気キャスターがテレビで話しています。さて,雨は降っているでしょうか,それとも,降っていないのでしょうか。

  • 問1 「雨模様」とは,本来どのような意味でしょうか。
  • 答 雨が降りそうな様子,という意味です。

 「雨模様」を辞書で調べてみましょう。


「日本国語大辞典 第2版」(平成12〜14年・小学館)

あめもよう【雨模様】雨が降り出しそうなようす。あまもよう。雨催(あまもよい)。

「岩波国語辞典 第7版新版」(平成23年・岩波書店)

あめもよう【雨模様】今にも雨が降りそうな空の様子。あまもよう。あまもよい。 ▽雨の降る様子を言うのは誤用。

 辞書が示すように,本来,「雨模様」は「雨が降りそうな様子」を示す言葉です。元々は「あまもよい」「あめもよい」と言われていました。「岩波国語辞典」には,「雨の降る様子を言うのは誤用」との解説もあります。
 また,いずれの辞書も,「あめもよう」と「あまもよう」の二つの読み方を採用しています。上に挙げた辞書は,「あめもよう」を主な見出しにしていますが,例えば,「新明解国語辞典 第7版」(平成24年・三省堂)では,「あまもよう」が主になっており,「あめもよう」で引くと「あまもよう」を参照するよう導かれます。
 なお,下記のとおり,「最近の言い方で」と断りながらも,「雨が降っている様子」という意味を加えている辞書もあります。

「明鏡 第2版」(平成22年・大修館書店)

あめもよう【雨模様】(3)〔最近の言い方で〕小雨が降ったりやんだりすること。「式典はあいにくの―の中で行われた」

  • 問2 「雨模様」について尋ねた「国語に関する世論調査」の結果を教えてください。
  • 答 本来の意味である「雨が降りそうな様子」と答えた人が4割台前半,本来の意味ではない「小雨が降ったりやんだりしている様子」と答えた人が4割台後半という結果でした。

 平成22年度の「国語に関する世論調査」で,「外は雨模様だ。」という例文を挙げ,「雨模様」の意味を尋ねました。結果は次のとおりです。(下線を付したものが本来の意味。平成15年度調査の結果も併せて示しました。)

〔全 体〕

雨模様  例文:外は雨模様だ。                           平成15年度調査

(ア)雨が降りそうな様子・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 43.3%
38.0%
(イ)小雨が降ったりやんだりしている様子・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 47.5%
45.2%
(ア)と(イ)の両方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  4.8%
 9.4%
(ア),(イ)とは全く別の意味・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  3.2%
 6.3%
分からない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  1.2%
 1.1%

〔年代別グラフ〕

「雨模様」

 全体の調査結果を見ると,本来の意味である(ア)「雨が降りそうな様子」と回答した人の割合は4割台前半で,それを上回る4割台後半の人が本来の意味とは異なる(イ)「小雨がふったりやんだりしている様子」を選んでいます。過去の調査(平成15年度調査)と比べると,本来の意味である(ア)を選んだ人は5ポイント増加していますが,本来の意味とは異なる(イ)の方も2ポイント増加しています。
 年代別に見ると,30代〜50代では,本来の意味ではない(イ)「小雨がふったりやんだりしている様子」を選んだ人の割合が,本来の意味を選んだ人の割合を大きく上回っている一方で,20代以下の若年層と,60歳以上の高齢層では,本来の意味である(ア)「雨が降りそうな様子」と回答した人が(イ)を選んだ人の割合を上回っています。若年層と高齢層で本来の意味を選択する人の割合が高いという傾向は,平成15年度調査でも同様でした。
 「雨模様」の元々の形である「あまもよい」「あめもよい」の「もよい」とは「催す」の意です。「眠気を催す」と言った場合,まだ眠ってはいない状態を示しますから,「雨もよい」も「雨を催す=これから降りそうな」という意味だということになります。「もよい」が「模様」に変化して「雨模様」と言われるようになったことで,「催す」の意味が見えにくくなり,雨が降っていない状況を想像するのが難しくなってしまったのでしょう。

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