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文化庁月報
平成25年4月号(No.535)
連載 「鑑 文化芸術へのいざない」
新国立劇場 2013/2014シーズンのラインアップ(オペラ,バレエ,ダンス,演劇)が発表されました。
新国立劇場
は1997年に開場した,オペラ,バレエ,ダンス,演劇という現代舞台芸術のための日本で唯一の国立劇場です。現代舞台芸術の創造,振興および普及を目的として,常に高い水準の公演を自ら企画,制作しており,国内外から高く評価されています。毎年9月に始まり翌年7月に終わるシーズン制を取り入れており,毎年1月に発表されるその年の9月からのシーズンのラインアップ(上演演目)は広く注目を集めています。このシーズンごとのラインアップを決定するのは,オペラ,舞踊,演劇の3人の芸術監督です。
今年は1月18日に,2013/2014シーズンのラインアップ説明会が行われ,尾高忠明オペラ芸術監督
,デヴィッド・ビントレー舞踊芸術監督
,宮田慶子演劇芸術監督
が,ラインアップに込めた想いについて熱く語りました。尾高オペラ芸術監督,ビントレー舞踊芸術監督にとっては,4年間の任期の締めくくりのシーズンです。100名近い報道関係者や評論家の方々がご参加くださり,関心の高さがうかがわれました。
(ラインアップ一覧はこちらから
)
尾高忠明オペラ芸術監督

尾高忠明オペラ芸術監督
2013年はヴェルディ,ワーグナーの生誕200年,そしてマスカーニの生誕150年にあたります。シーズンのオープニングはそのヴェルディの「リゴレット」
。ミュンヘンでの「ニーベルングの指環」も大変好評だったアンドレアス・クリーゲンブルクの新演出が楽しみです。その後は劇場が大切にしていくべきレパートリー「フィガロの結婚」
「ホフマン物語」
「カルメン」
「蝶々夫人」
をいずれもすばらしい指揮者,出演者のみなさんで再演いたします。
続いて,これから世界中のみなさんにどんどん聞いていただきたい作曲家,コルンゴルトの「死の都」
です。ナチスによる演奏禁止などで演奏機会が少なかったですが,近年脚光を浴び始めています。
そしてクリーゲンブルクの演出が話題を呼んだ「ヴォツェック」
,新演出で生誕150年のマスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ/道化師」
と続きます。演出は震災でやむなく中止になった「マノン・レスコー」のジルベール・デフロです。続いて私の就任最初の演目「アラベッラ」
です。特別な思いのあるこの作品で皆様に微笑んでいただきたいと思います。
シーズン締めくくりは日本オペラ「鹿鳴館」
。私の夢は,「夜叉ヶ池」「沈黙」「夕鶴」そしてこの「鹿鳴館」など,日本の作品が世界のオペラハウスに取り上げられ,レパートリーになることです。この作品の初演では本当に感動しました。どうぞご期待ください。
デヴィッド・ビントレー舞踊監督

デヴィッド・ビントレー舞踊芸術監督
このラインアップは私のここでの日々や,バレエ団の進むべき方向性も考えたうえでのものです。まずシーズンの幕開けは私が青年時代に心惹かれた20世紀を代表するバレエリュスの作品,中でも最も大きな冒険を果たしたストラヴィンスキー作曲による「火の鳥」「アポロ」「結婚」
で幕開けします。すばらしい振付家による振付のみならず,音楽的にも非常に充実した内容になっています。
クリスマスの定番「くるみ割り人形
」,そして「白鳥の湖
」も大切なレパートリーとして上演します。
続いてもう一つのトリプルビル「シンフォニー・イン・3ムーブメンツ」「大フーガ」「Jessica Lang新作」
をお送りします。ジェシカ・ラングはいま最もホットな振付家で,現代舞踊で高い評価を受けていますがクラシックにも卓越しています。ぜひ新国立劇場バレエ団に振りつけて欲しいと依頼し,実現しました。
その後はバレエ団と私の出会いである「カルミナ・ブラーナ」
と私の最新の1幕物「ファスター」の二本立て。そして最後を飾るのは「パゴダの王子」
です。これはバレエ団と私の最も大切な作品です。英国人の目から見た日本というものを皆様が受け入れてくださったのを大変うれしく思っています。
現代舞踊も大きな進歩を遂げました。大好きな2人の振付家,中村恩恵の「中村恩恵×首藤康之」
と小野寺修二の「ある女の家」
を上演します。それとバレエ団による振付への挑戦「Dance to the Future〜Second Steps〜」
。そして舞踊というジャンルは記録を残すことが今後の課題ですので,日本の黎明期の舞踊を復活させる試み「「ダンス・アーカイヴ in Japan」
を上演します。
宮田慶子演劇芸術監督

宮田慶子演劇芸術監督
演劇は年間8作品,うち3,4作品を一つのテーマでまとめていますが,新シーズンは「Try・Angle」というテーマを立てました。本来は三角形という意味ですが,期待の“3人の演出家”“挑戦(トライ)”“視点(アングル)”,という3つの意味をかけました。
シーズン開幕は「Try・Angle」の第一弾「「OPUS/作品」
。2006年にアメリカで初演された作品で,今注目を集める女性演出家・小川絵梨子さんを招きます。第二弾はマーロウ作「エドワード二世」
。シェイクスピアと同年代の作家の傑作を「ゴドーを待ちながら」で評価を得た森新太郎さんが演出します。第三弾はサルトル作「アルトナの幽閉者」
。自己と社会の関係性という,サルトルが抱えてきた問題が最後に凝縮された作品で,演出は上村聡史さんです。
「Try・Angle」の演出家は3人ともまだ30代です。日本の演劇界は,小劇場時代以降,作・演出を兼ねる演出家が非常に多く,その中で「演出」という職能を専門的に考え,他人の作品を取り上げていくことができる演出力を持った彼らに,存分に腕をふるってほしいと思っています。
11・12月には中劇場でバーナード・ショー作「ピグマリオン」
を私の演出で。「マイ・フェア・レディ」の原作ですが,ミュージカルとは違うショーの諧謔性に満ちた,皮肉屋な部分が発揮された面白い作品です。
来年4月は研修所の修了生を積極的に起用する「マニラ瑞穂記」
。続く中劇場の「テンペスト」
はシェイクスピア最後の作品。演出の白井晃さんが幻想的な世界を見せてくれるでしょう。6月の「十九歳のジェイコブ」
は中上健次の小説を松井周さんの脚本,松本雄吉さんの演出で舞台化。ジャズがモチーフの作品なので,音楽監修に菊池成孔さんを招きます。
シーズン最後は「永遠の一瞬(仮題)」
,2009年発表のマーグリーズの新作。イラク戦争に向かったジャーナリストのカップルが題材で,世界の紛争に対し何ができるのか,私も強く感銘を受け演出したいと思った作品です。ぜひご来場ください。
左から,宮田演劇芸術監督,尾高オペラ芸術監督,ビントレー舞踊芸術監督
新国立劇場
〒151-0071 東京都渋谷区本町1-1-1
- チケットのお申し込み
- 新国立劇場ボックスオフィス
03-5352-9999 (10時〜18時) - 交通
- 京王新線 初台駅直結(新宿駅より1駅)
- ホームページ
- http://www.nntt.jac.go.jp


