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文化庁月報
平成25年4月号(No.535)
連載 「鑑 文化芸術へのいざない」
九州国立博物館 文化交流展トピック展示
トピック展示とは,文化交流展示室の一室で行う期間限定の企画展であり,地域文化の掘り起こしや博物館活動の紹介など多彩なテーマで紹介するものです。昨年度は,フィンランドのクレス夫妻が所蔵する印籠を紹介した「江戸の粋,印籠-フィンランド・クレスコレクション」や新潟県津南町出土の火炎土器を紹介した「雪と火炎土器」を開催しました。今回は平成25年度前半に開催するトピック展示の中から次の2つを紹介します。
「江戸のモダニズム 古武雄〜まぼろしの九州のやきもの〜」
緑褐釉櫛目草文大平鉢 17世紀後半
肥前 武雄 武雄市重要文化財
打ち刷毛目花文大平鉢 17世紀末〜18世紀初頭
肥前 武雄 武雄市重要文化財
九州の陶磁器で有名なやきものといえば,唐津焼や伊万里焼の名前が浮かんでくる人が多いでしょう。唐津焼は茶陶として頭角をあらわし,肥前だけではなく九州全体の窯業に大きな影響を与えました。伊万里焼は,いうまでもなく日本で初めて焼かれた磁器で,海外にも輸出され高い評価を得ています。こうした唐津焼や伊万里焼に対して,同じ佐賀県の焼物で江戸時代の武雄で焼かれた独特のやきもののことを知っている人はどのくらいいるでしょうか?
多くの九州の産地と同じく,武雄でもその窯業のはじまりは,豊臣秀吉の文禄・慶長の役で出兵した際に,朝鮮の陶工を連れ帰ったことにはじまります。武雄市の内田地区や黒牟田地区には高麗墓の存在が知られ,また,武雄の陶祖とされる人物に深海宗伝(新太郎)という朝鮮陶工がいたことがわかっています。
深海宗伝がいた内田には,小峠窯など1600年頃の初期の古窯跡が多くあり,朝鮮の陶器の系譜をもつ象嵌などの陶器が生産されていました。有田の報恩寺にある,宗伝の妻の百婆仙の墓には,元和4年(1618)に宗伝が死去した後,有田の稗古場に移り,磁器を焼き始めたと記されています。
深海一族が有田へ移住した後の武雄のやきものはどうなったのでしょうか。器形や鉄絵の技術は唐津焼と同様の技術でしたが,唐津焼がモノトーンの作品を中心としたのに対し,武雄では,多彩な文様表現を行えるように褐色の胎土の上に刷毛目による白化粧土を用いるようになりました。この白いキャンバスを得た事により,新たな文様表現の礎を築いたといえます。
武雄では,銅を原材料に緑色で文様を描く鉄絵緑彩という技法が隆盛を極めます。また,型紙摺りという転写の技術や,象嵌を用いた文様の作品もあります。特に,釉薬をかけ流しただけの意匠は,近年それを「モダン」として評価が高まっています。多彩な技術から生み出された作品は,現代の我々をも圧倒する迫力があります。これが「江戸のモダニズム」などと呼ばれ,美術的な評価がますます高まっている所以でしょう。
朝鮮の技術によって生まれた唐津焼の陶器の技,武雄ではこれを基本としながら,新たな技法を多数生み出すことで,他に類をみない独創的なやきもの「古武雄」を完成させたのです。本展覧会で,ぜひ異彩を放つ「古武雄」の魅力をご堪能下さい。
「江戸のサイエンス−武雄蘭学の軌跡−」
モルチール砲 江戸時代 1835年 高島秋帆作 武雄市重要文化財
佐賀ノ異端児,日本ヲ動カス。
18世紀後半,医学書『解体新書』の翻訳という偉業が達成されました。それ以来,医師を中心に蘭学(オランダ語文献=「蘭書」による近代ヨーロッパの科学・学問)が普及し,文化8年(1811)に江戸幕府は蘭学を公認。さらに外国船の長崎来航事件が続発し,海防の必要性が高まるなかで,九州諸藩の大名が蘭学を積極的に受容しました。名君として知られる佐賀藩主
その名は
本展覧会は,九州国立博物館と武雄市教育委員会が共同で開催するもので,武雄市図書館・歴史資料館に所蔵される武雄鍋島家伝来の蘭学資料の数々を一挙公開し,鍋島茂義が主導した武雄蘭学の軌跡をたどります。
- 関連講演会
- 「武雄蘭学の世界」
日時:平成25年5月25日(土) 13:00〜16:30
場所:九州国立博物館1階ミュージアムホール
聴講料:無料(事前申込不要)
講師:鳥井 裕美子 氏(大分大学教授)
鈴木 一義 氏(国立科学博物館科学技術史研究グループ長)司会:中野 三敏 氏(九州大学名誉教授・文化功労者)
岡部 幹彦 氏(文化庁主任文化財調査官)
川副 義敦 氏(武雄市図書館・歴史資料館学芸員) - 関連講座
- 「もっと楽しむ 江戸のサイエンス」(仮)
日時:平成25年6月15日(土) 14:00〜15:00
場所:九州国立博物館1階研修室
聴講料:無料(事前申込不要)
講師:荒木 和憲(九州国立博物館研究員)
九州国立博物館
〒818-0118 福岡県太宰府市石坂4-7-2
- お問い合わせ
- 050-5542-8600(NTTハローダイヤル 8:00〜22:00)
- 交通
- 西鉄太宰府駅下車後,徒歩で約10分
- 開館時間
- 9:30〜17:00(入場は閉館の30分前まで)
- 休館日
- 月曜日
- 観覧料
- 一般420円(210円), 大学生130円(70円)
※( )内は団体料金(20名以上の場合)
※高校生以下・18歳未満及び満70歳以上の方は無料です。入館の際に年齢の分かるものをご提示ください。
※障害者等とその介護者1名は無料です。展示室入口にて,障害者手帳等をご提示ください。
※キャンパスメンバーズの方は団体料金で入場できます。チケット購入の際に学生証,教職員証等をご提示ください。
※特別展開催中は,その半券でもご覧いただけます。 - ホームページ
- http://www.kyuhaku.jp


