文化庁月報
平成25年5月号(No.536)
文化庁ニュース
都道府県・政令指定都市等日本語教育担当者研修を開催しました
文化部国語課
文化庁では,都道府県や政令指定都市,中核市等の地方公共団体の日本語教育に関わる行政職員の方を対象とした研修会を平成20年から実施しています。(平成25年度からは全地方公共団体に対象を広げて実施する予定です。)
日本に暮らす外国人が日常生活を営む上で必要となる日本語能力等を習得することができるよう体制を整える必要があります。そこで,日本語教育を担当する職員や教育委員会,国際交流協会の方々に日本語教育に関する国の施策や取組の現状について理解いただき,地域の日本語教育の体制整備に向けた施策や事業の企画立案のために役立つ研修を行っています。
全国各地からの参加者から熱心な質問が
平成24年度都道府県・政令指定都市等日本語教育担当者研修は,全国各地から外国人に対する日本語教育業務に関わる45名の行政職員の方にお集まりいただき,平成25年2月20日に開催しました。
大木文化部長の開会挨拶に続いて,文化庁と文部科学省から日本語教育関連施策について説明を行いました。さらに,文化審議会国語分科会日本語教育小委員会の西原鈴子主査から本年度の審議経過について報告がありました。本年度は,平成19年度から始まった「生活者としての外国人」のための標準的なカリキュラム案等の一連の計画的な取りまとめの最後となる「「生活者としての外国人」に対する日本語教育の指導力評価について」が,研修の2日前の2月18日に国語分科会で承認されたことを受けて,いち早く参加者に配られました。
「カリキュラム案」「ガイドブック」「教材例集」「日本語能力評価について」そして「指導力評価について」の5冊セットを手にした参加者からは,「カリキュラム案の作成の背景や目的,活用方法がよくわかった。」「カリキュラム案等を活用して,指導方法の見直しを行いたいと思った。」「地域,学習者に応じた教育内容を検討することが重要だということが理解できた。」という感想が寄せられました。
参加者が各地域の日本語教育の課題についてディスカッション
文化庁の平成24年度「生活者としての外国人」のための日本語教育事業の取組の事例として,大阪府教育委員会と岡山県総社市による発表がありました。
大阪府教育委員会事務局 市町村教育室地域教育振興課社会教育グループ主任である田中隆博社会教育主事からは,地域日本語教育実践プログラム(B)を活用した「大阪府における識字・日本語学習推進の取組」について紹介いただきました。域内を各ブロックに分け,ネットワーク会議を開催し,日本語教室間の情報や知見の共有を図ることで,各地の支援活動を促進していくことで日本語教育の体制整備につなげていくという取組に対して,「行政・NPO・民間との連携の大切さを改めて感じた。」「連絡会議,コーディネーターの配置など非常に参考になった。」という意見が聞かれました。
次に,外国人集住都市会議の加盟都市である岡山県総社市からは,総社市役所市民環境部人権・まちづくり課西川茂国際・交流推進係長から,「総社市地域参加型生活サポート日本語教育事業の取組」について報告がありました。総社市では,外国人住民への言語生活や日本語学習状況調査を行い,現状把握を行った上で,その分析結果から見えてきた外国人住民のニーズに基づき,地域日本語教育実践プログラム(A)を活用して,日本語教室の設置・運営,日本語学習サポーターの育成・研修,地域密着型日本語教材の作成という三つの取組を実施されました。参加者からは,「カリキュラム案の活用の仕方や,具体的な話で大変参考になった。」「地元に戻って事業の参考にしたい。」という意見が聞かれました。
今回,都道府県レベルの取組と,市区町村レベルの取組についてそれぞれ具体的な取組内容や課題に関する報告があったことにより,参加者は自らが所属する団体・機関における日本語教育の推進に向けた事業を企画立案するためのヒントを数多く得られたようです。
事例報告の後,東京外国語大学多言語・多文化教育研究センターのプロジェクトコーディネーターの杉澤経子先生による「地域における日本語教育の体制づくりに向けて」をテーマにした演習を行いました。
地域日本語教室が果たす役割の1つとして「居場所」を挙げ,「多文化社会型居場所づくり尺度」を使った教室の評価方法の紹介の後,日本語教室を地域に必要な「場」として機能させる上で,有効となるコーディネーターが地域日本語教育の体制づくりに果たすべき役割や機能についてグループディスカッションが行われました。
参加者は,各地の日本語教育に関する取組について情報交換を行い,域内の日本語教育の体制整備を進める上で今後行政職員として取り組むべき課題について議論を深めていました。参加者からは,「各自治体の課題を共有し,情報交換を行う場や,取組の事例から学び,演習で理論的な講義も受けられ,有意義だった。」「コーディネーターの役割と必要性が理解できたので,持ち帰って検討したい。」などの感想を頂き,終日,地域日本語教育について考える充実した研修となりました。
研修資料は文化庁ホームページに掲載しております。
文化庁HP
来年度も本研修の実施を予定しておりますので,地域の日本語教育担当の行政職員の方々に是非ご案内ください。

