HOME > 文化庁月報 > 特集 「第28回国民文化祭・やまなし2013(富士の国やまなし国文祭)について」
文化庁月報
平成25年6月号(No.537)
特集 「第28回国民文化祭・やまなし2013(富士の国やまなし国文祭)について」
全国初の通年開催〜冬のステージを終えて
目次
- 1 はじめに〜全国初の通年開催
- 2 冬のステージ「ふるさとの祈り,息づく。」
- 2.1 県主催事業
- 2.2 市町村主催事業(分野別フェスティバル)
- 3 誰もが気軽に参加〜通期事業
- 4 通年開催の国民文化祭を支えるボランティアスタッフ
- 5 春のステージ「いのち,萌えたつ。」から,夏・秋のステージへ
1 はじめに〜全国初の通年開催
「富士の国やまなし国文祭」は,全国で初めて年間を通して開催する大会となります(会期:平成25年1月12日から11月10日までの303日間)。
山梨県は,四季折々の豊かな自然や景観,風土,そしてこれに育まれた独自の文化を持っています。「山梨のあるがままの姿に触れ,本来の地域文化を楽しんでいただきたい。」との思いから,会期を1月から11月までと設定し,皆様をお迎えします。
「富士の国やまなし国文祭」では,会期を冬・春・夏・秋の四つのステージに分け,各ステージの始めにオープニングウィーク,秋には最終週にグランドステージを設け,それぞれに季節感のある象徴的なイベントを展開します。
また,各市町村では,これまでの大会から継続して実施されている分野に加え,県内各地の伝統や産業に根ざす「道祖神祭礼」「鵜飼」「花火」「祭り」「山岳」「ワイン」など,過去から引き継がれてきた地域文化を取り入れながら,年間を通して多彩なイベントを展開していきます。
さらには,ふだんは文化や芸術に触れる機会のない人にも国民文化祭を気軽に楽しんでもらうため,会期を通じて誰もが参加できる「やまなしフットパス」「まちなかステージ」「やまなし造形遊び」「やまなし食のカレンダー」の四つの通期事業を富士の国やまなし国文祭の特徴的な事業として実施します。
「富士の国やまなし国文祭」の全体概要については,当月報の平成25年1月号(No.532) 文化庁ニュースをご覧ください。
2 冬のステージ「ふるさとの祈り,息づく。」
「富士の国やまなし国文祭」は,山梨に古くから残る「道祖神祭り」の時期に合わせ,冬のステージから開幕しました。
1月12日から20日までのオープニングウィークを中心に開催した県主催事業を始め,3月末までに県内5市町で八つの市町村主催事業が開催されました。
2-1 県主催事業
「前夜祭」(1月11日)
甲府城跡鉄門前
1月12日のオープニングイベントに先立ち,11日には前夜祭として国文祭の開幕に合わせて竣工した「甲府城跡
厳冬期の夕刻から始まるイベントでしたが,開幕を前日に控えた国文祭への期待から約250人の観客が集まり,幻想的な能の世界を堪能しました。
「冬のステージオープニングイベント」(1月12日)
コラニ―文化ホール
1月12日の冬のステージオープニングイベントは,約1,200人の観客を集め,季節のステージを貫くストーリー「いのち輝く
「どんど焼き in 穴切」(1月13日)
旧穴切小学校
翌13日には,学術的観点に沿ったシンポジウムと観覧者参加型のパフォーマンスからなる「やまなし発見フォーラム」を開催しました。
「やまなし発見フォーラム」は,季節ごとにテーマを設け,冬は「山梨から考える日本の道祖神〜盛りあがる行事にみる人びとの願い〜」として,県内各地の伝統芸能などのパフォーマンスを交え,親しみやすいイベントとしました。
道祖神とは,五穀豊穣や子孫繁栄などを願う人々の祈りを受け,地域に根づいている,路傍の神です。集落の境界などに祀られ,村の守り神としても信仰を集めてきました。
また,当日開催した道祖神行事「どんど焼き in 穴切」では,甲府市穴切地区で約140年ぶりに「どんど焼き」を復活し,併せて約900人の来場者が道祖神の世界に浸りました。
「ウェルカムイベント」(1月12日〜20日)
甲府駅北口よっちゃばれ広場
12日から20日までの間に甲府駅北口よっちゃばれ広場で開催された「ウェルカムイベント」には,同時期に開催された「文化庁メディア芸術祭山梨展」との相乗効果もあり,約9,000人の来場者に多彩なステージパフォーマンスや食のイベントを楽しんでいただきました。
2-2 市町村主催事業(分野別フェスティバル)
市町村主催事業の開幕を飾ったのは,甲州市道祖神まつりです。甲州市の特徴ある小正月行事である道祖神祭りを取り上げました。道祖神祭りはそれぞれの地域において古くから受け継がれてきた伝統行事です。
田野十二神楽は,山梨県指定無形民俗文化財となっており,甲州市大和町田野地区に受け継がれてきた行事です。明暦2年(1656年)頃,当時流行していた伊勢参りができない人のために,伊勢の国から移したものといわれ,伝説では,天照大神が岩戸に隠れたとき祈祷に舞った神楽とも伝えられています。十二神楽の呼び名は,神楽の舞が十二段にわたって構成されているところから名付けられています。毎年1月の第2土曜日の道祖神祭りに民家で上演されていますが,今回初めて場所を大和ふるさと会館に変更して大勢のお客様の前で演じました。
「藤木道祖神祭太鼓乗り」(1月14日)
甲州市
また,1月14日には明け方から降り積もった雪が残る中,藤木道祖神祭太鼓乗りが開催され,多くの来場者が訪れました。
藤木道祖神祭太鼓乗りは,甲州市塩山藤木地区に伝わる小正月行事で,高橋山放光寺の駐車場を会場に,上藤木,下藤木,西藤木の役者が太鼓に乗り,歌舞伎狂言の一場面を演じるものです。
「地歌舞伎の祭典」(1月19日)
南部町
翌週の1月19日には,南部町において地歌舞伎の祭典が開催され,地元南部町からは内船歌舞伎が出演したほか,島根県からは出雲歌舞伎むらくも座が,愛媛県からは久谷地区伊予八百八狸保存会が出演し,多くの来場者が訪れ,立ち見客も出るなか,盛大に事業が開催されました。また,地元の子どもたちが演じた絵本太功記十段目では,多くの拍手が贈られました。
「和太鼓の祭典」(1月19日,20日)
富士川町
富士川町で開催された和太鼓の祭典には,1月19日,20日の2日間にわたり県外から21団体,県内から14団体の合わせて35団体が出場しました。力強い太鼓の響きが訪れた方々を魅了しました。場外では,祭典横町イベントひろばを開催し,原木太鼓の体験コーナーや和太鼓体験ショップを開催するなど,両日とも大勢の来場者で賑わいました。
「民俗芸能の祭典」(1月20日)
甲州市
甲州市において1月20日に開催された「民俗芸能の祭典」では,東日本大震災の被災地である岩手県からの2団体を含め,県外7団体,県内1団体が出演しました。国の重要無形民俗文化財で800年前から豊作祈願のお祭りとして伝えられた八戸えんぶりを始め,8団体が公演し,最後に地元甲州市から一瀬高橋の春駒が披露されました。満員となった会場から盛んに拍手が贈られました。
「秀麗富嶽十二景写真フェスティバル 写真セミナー」(2月24日)
大月市
富士の眺めが日本一美しい街といわれている大月市では,「秀麗富嶽十二景写真フェスティバル」を開催。2月17日から3月3日まで大月市民会館市民ギャラリーにおいて,20回目を迎えた写真コンテストの優秀作品の展示を行ない,この時期に合わせた写真を展示しました。6月,10月にも展示を行ないます。
2月24日に行なわれた「写真セミナー」では,山岳写真家の白簱史朗氏の講演に続き,シンポジウム「森に遊び 森に学ぶ」が行なわれ,県内外から大勢の方々に参加していただきました。
「北杜24景フットパス『スノーシューで歩く清里の森』」(1月19日)
北杜市
「北杜24景フットパス」は,1月から11月までに10回にわたり,北杜市内の24景をめぐるツアーを実施します。
1月19日に第1回「スノーシューで歩く清里の森」でスタートしました。スノーシューとは,雪の上を歩く日本の「かんじき」の西洋版です。
当日は天候にも恵まれ,白銀の清里をスノーシューで歩き清里の自然を満喫しました。
11月まで毎月北杜市内の魅力的なルートを歩きます。四季を通じて見所がいっぱいです。
「フットパス・朝市とワイナリーめぐり『甲州街道勝沼宿コース』」(3月3日)
甲州市
2月3日から毎月第1日曜日に甲州市で開催する「フットパス・朝市とワイナリーめぐり」は,朝市会場を起点にワインの歴史コースなど三つのコースを月替りで楽しむものです。各コースとも日程にワイナリーが入っているのも楽しみです。
「甲州ワインフェスタ」(3月2日)
甲州市
3月2日に甲州市で開催された「甲州ワインフェスタ」は,ワインの産地ならではのワインを身近に感じられるイベントでした。甲州種ワインを家庭料理で気軽に楽しみました。
3 誰もが気軽に参加〜通期事業
文化や芸術にふだん触れる機会のない人にも,国民文化祭を気軽に楽しんでもらうこと,また,山梨県の地域文化に触れる機会を,会期を通じて提供することを目的としているのが通期事業です。
「やまなしフットパス」「まちなかステージ」「やまなし造形遊び」「やまなし食のカレンダー」の四つの事業を,ほぼ毎週,山梨県内各地において展開しています。
「やまなしフットパス」は,県内に設定した約200のコースを,その土地ならではのエピソードを紹介しながら巡るまち歩き事業です。ガイドや案内者(コンシェルジュ等)とともに県内各地を散策し,そこに根ざす文化や伝統,その土地の魅力などを体感,発見していただくことを目的とし,これまでに県内外から幅広い年齢層の方々に参加をいただきました。
「まちなかステージ」は,県内各地で音楽やダンス等のステージパフォーマンスを繰り広げる事業です。出演するアーティストは公募により募集し(山梨県出身又は在勤,在住の方が対象),「やまなしアーティストバンク」に登録された後,まちなかアーティストとして出演をしてもらいます。
現在,130グループ(個人を含む。)が登録されており,県内各地において様々なパフォーマンスを繰り広げ,観客と一体となって「富士の国やまなし国文祭」を盛り上げています。
「やまなし造形遊び」では,甲府駅北口の広場に,間伐材を組んで制作された巨大オブジェ「緑の竜神」が登場し,道行く人々の目を楽しませています。
また,想像力を駆使してさまざまなものを自由に創る「カラーポリ袋で遊ぼう!」では,毎回,自由な発想で制作されたユニークなドレスや人形が誕生し,会場を沸かせています。
そして、山梨の食文化をテーマとした「やまなし食のカレンダー」では,県民から「やまなしレシピ」を公募したところ, 485件もの応募があり,連日,公式ウェブサイトで公開しています(http://yamanashi-kokubunsai.jp/
)。
また,山梨県高等学校家庭クラブ連盟や山梨県調理師会等の協力により,山梨の地場食材を用いた「新やまなしレシピ」の開発を行うとともに,山梨県公立学校食育推進研究会の協力により,本県の食文化や地産地消を推進する「やまなし給食レストラン」メニューをウェルカムイベントにおいて提供し,好評をいただいています。
降雪などによる荒天のため,残念ながら中止となったイベントもありましたが,これまで,多くの方々に参加していただくとともに,事業に関わるスタッフやボランティアのスキルも向上してきました。
今後,これらの経験を踏まえ,更に事業内容の充実を図るとともに,国民文化祭終了後,どのような形でこれらの取り組みを継承していくことができるのかを課題として掲げ,事業に取り組んでいきます。
まちなかステージの様子
やまなし造形遊び「カラーポリ袋で遊ぼう!」の様子
4 通年開催の国民文化祭を支えるボランティアスタッフ
おもてなし講習会の様子
303日間の長期にわたる国民文化祭において,全国からの出演者や観覧者を「おもてなしの心」で温かく迎え,ともに喜びや感動を分かち合える県民総参加による取り組みを推進するため,一般から広くボランティアスタッフを募集しました。
高校生から80歳代までの幅広い年齢層から,350名を超える応募をいただきました。応募いただいた方々に「おもてなしの心」について理解を深めてもらうため,「やまなしおもてなしアドバイザー」であるザ・リッツ・カールトン前日本支社長の高野登氏を講師に迎えて講習会を実施しました。実例を交えながらの楽しくわかりやすい講義は,参加者からも大変好評で,講義終了時には会場が割れんばかりの拍手に包まれました。
冬のステージオープニングイベントにおける活動の様子
冬のステージ,春のステージでは延べ390名の方々が,「オープニングイベント」を始めとする県主催事業の各会場で,受付案内や会場整理などの業務に従事しました。一人ひとりが「国民文化祭の顔」であることを意識し,講習会で学んだ「相手の立場に立って対応する」ことを考えながら活動しました。県内外から訪れた大勢の出演者や来場者を笑顔でお迎えし,「富士の国やまなし国文祭」の盛り上げに大いに貢献しました。
今後は,夏のステージや秋のステージといった季節ごとの事業だけでなく,会期を通して開催している「通期事業」でも活動していただき,「富士の国やまなし国文祭」を更に盛り上げてもらいます。
また,「国内最大級の文化イベント」へのボランティア参加を契機に,今後のボランティア活動や文化活動への参加意欲が喚起されることが期待されています。
5 春のステージ「いのち,萌えたつ。」から,夏・秋のステージへ
4月6日から14日までの春のステージオープニングウィークの期間に,山梨県最大級のお祭り「信玄公祭り甲州軍団出陣」を舞台に,戦国文化に触れるステージイベントを開催しました。
また,4月から6月にかけて,12市町村で19の市町村主催事業(冬のステージからの継続事業を含む。)が開催されています。
「春のパフォーマンス」(4月6日)
山梨県庁南側道路
4月6日の春のステージオープニングイベントは,通期事業「やまなしフットパス」を多くの方々に楽しんでいただく「大フットパス祭り出発式」と一般道を利用して行った「春のパフォーマンス」「国文祭記念パレード」で「信玄公祭り甲州軍団出陣」に集まった約8万人の観客に山梨の多彩な文化を紹介しました。
「戦国武将No.1トーク合戦」(4月13日)
山梨県立文学館
4月13日には,「戦国武将No.1トーク合戦」として大学生がお気に入りの武将について,“誰が一番優れた武将なのか”を競い合いました。
No.1武将を決める審査には,来場者の他,インターネットによる視聴者を含め,参加型のイベントとして歴史への興味を深めていただきました。
「やまなし発見フォーラム」(4月14日)
東京エレクトロン韮崎文化ホール
翌14日は,タレントの菊川怜さんを迎え,「戦国文化を探る〜甲斐の国に見る武田氏の功績〜」をテーマとした「やまなし発見フォーラム」を開催し,戦国最強と言われる軍団を率いた武田信玄公の実像にわかりやすく迫りました。
また,会場では戦国時代の信玄公の饗宴料理の提供や武者体験などのコーナーも設け,楽しみながら戦国文化に触れていただけるイベントとしました。
「やまなし春の花フェスティバル」(4月6日〜14日)
山梨県立フラワーセンター・ハイジの村
4月6日から14日まで開催した「やまなし春の花フェスティバル」は,甲府市主催事業の「大華道展」と併催しての合同作品の展示など,多くの来場者に作品を鑑賞していただきました。
また,土日に開催した県内各地の花の名所を巡るバスツアーには,約200人の参加があり,山梨の春を楽しんでいただきました。
7月〜9月は夏のステージ。キャッチフレーズは,「山河,きらめく。」です。6月30日には,皇室の御臨席を賜り夏のステージのオープニングイベントが,「富士山」の麓,富士河口湖町の河口湖ステラシアターで,7月6日には「富士山の魅力〜日本文化の象徴として〜」をテーマとしたやまなし発見フォーラムを,富士吉田市の富士五湖文化センター(ふじさんホール)で開催します。
また,夏のステージの期間中は,富士山周辺の市町村を中心に17市町村で30の市町村主催事業(冬・春のステージからの継続事業を含む。)が開催されます。この夏は,世界文化遺産登録が期待される富士山の麓で行われる国民文化祭として,御参加いただいた皆さんの記憶に残ることでしょう。
そして,国民文化祭のフィナーレを飾る秋のステージ(10月〜11月)。キャッチフレーズ「実りの感謝,次代へ。」の下,「総合フェスティバル(開会式)」(10月26日)では,総合プロデューサーの宝塚歌劇団の構成・演出により,ミュージカル形式のパフォーマンスを繰り広げます。また,「やまなし発見フォーラム」(10月27日)では,山梨の 「実りの秋」を,「文化まるごとフェスティバル」(10月25日〜11月10日)では,山梨の文化をたっぷりと体感していただきます。
富士の国やまなし国文祭は,全国初の通年開催です。この機会に多くの方々にご来場いただき,山梨の文化に触れ,山梨の魅力を堪能された皆様が,リピーターとなり,2度,3度と山梨を訪れていただけたら幸いです。
山梨県企画県民部国民文化祭課
〒400-8501 山梨県甲府市丸の内1-6-1(県民会館1階)TEL:055-223-1846
第28回国民文化祭・やまなし2013公式ウェブサイト http://yamanashi-kokubunsai.jp/![]()

