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文化庁月報
平成25年8月号(No.539)

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イベント案内

奈良文化財研究所飛鳥資料館
平成25年度夏期企画展「飛鳥・藤原京を考古科学する」

会期:平成25年8月1日(木)〜9月1日(日)
会場:奈良文化財研究所飛鳥資料館
考古科学の調査機器類と高松塚古墳版築層はぎ取り

考古科学の調査機器類と高松塚古墳版築層はぎ取り

文化財の調査研究に果たす「考古科学」の役割

 今日,各地で遺跡の発掘調査や文化財の調査研究がおこなわれています。これらをすすめる上で,「考古科学」が重要な役割を果たしているのはご存じでしょうか。
 「考古科学」とは,自然科学・理化学的手法を応用した文化財の調査・研究法を指します。たとえば,遺物の材質・構造を知る,遺跡の保存環境を調べる,動物の骨や花粉から当時の環境を復元する,木材から年代を測定する,機器を駆使して遺跡の計測や探査をおこなう,といった手法が「考古科学」の代表的な例です。また,脆弱(ぜいじゃく)な遺物や土層断面を固めて取り扱えるようにしたり,劣化しやすい文化財の保存処理をすることも考古科学が力を発揮する場面のひとつです。奈良文化財研究所では,埋蔵文化財センターが中心となって考古科学の研究をおこなっており,国内外の文化財調査で成果を上げてきました。
 奈良文化財研究所が継続的に発掘調査を実施している飛鳥(あすか)藤原京(ふじわらきょう)の調査においても,こうした考古科学の活躍は目覚ましいものがあります。そこで今回は,飛鳥・藤原京を主な舞台に,発掘調査から整理作業,その後の保存・活用まで,さまざまな場面における考古科学の役割と成果を分かりやすく紹介する展覧会を企画しました。実際に調査で用いた各種の機器類とともに,調査の対象となった考古資料もまじえつつ,奈文研における考古科学の最前線を紹介します。

藤原宮大極殿院南門出土平瓶

藤原宮大極殿院南門出土平瓶


平瓶内部のCTスキャン画像

平瓶内部のCTスキャン画像

藤原宮大極殿院南門出土地鎮具の調査

 ここでは展示品の一例をお見せしましょう。この須恵器(すえき)平瓶(ひろか)は,2007年に藤原(ふじわら)(きゅう)大極殿院(だいごくでんいん)南門の発掘調査で掘り出されたものです。
 土坑に納められていたこの平瓶を慎重に取り上げたところ,口縁部には土ととともに銅銭(どうせん)らしき銅製品が詰まり,内部に水がたまっている様子でした。そこで,X線CTスキャンによる内部構造の調査をおこないました。その結果,下の写真のように,内部に9個の水晶が入っていることが分かりました。またCTの断層(だんそう)画面には,銅銭の「富」「本」の文字が見られ,富本銭(ふほんせん)であることが判明しました。かつては,このように出土状態のままで内部の様子を知ったり,重なっていて見えない銅銭の種類を知ることはできませんでしたが,考古科学の発達によってそれが可能になったのです。
 このほかにも考古科学でどんなことを知ることができるのか,貴重な文化財を守り伝えるためにはどんな考古科学が役に立っているのか,さまざまな実例をあげながらみなさまに考古科学の役割とおもしろさを知っていただきたいと思います。
 今年の夏休みはぜひ飛鳥資料館へお越しください。

(学芸室 石橋茂登・丹羽崇史)

奈良文化財研究所飛鳥資料館

〒634-0102 奈良県高市郡明日香村奥山601

お問い合わせ
0744-54-3561
交通
近鉄橿原神宮前駅から「かめバス(周遊)」で「飛鳥資料館」下車
近鉄・JR桜井駅から石舞台行きバスで「飛鳥資料館」下車
開館時間
火曜日〜日曜日 9:00〜16:30(入場は閉館30分前まで)
休館日
毎週 月曜日
観覧料
一般260円(170円),大学生130円(60円),高校生および18歳未満は無料
※( )は20名以上の団体
ホームページ
http://www.nabunken.go.jp/asuka/別ウィンドウが開きます
その他
※ギャラリートーク:8月4日(日)13:30〜,18日(日)13:30〜

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