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文化庁月報
平成25年8月号(No.539)
連載 「鑑 文化芸術へのいざない」
国立西洋美術館
ル・コルビュジエと20世紀美術
ル・コルビュジエ建築の中で見るル・コルビュジエの美術作品
総合芸術家としてのル・コルビュジエ
アトリエのル・コルビュジエ (C)FLC
ル・コルビュジエ(1887-1965)の名は,パリ郊外ポワシーの「サヴォワ邸」やフランス東部ロンシャンに建つ「ロンシャンの礼拝堂」などの建築作品や,インド北部の都市チャンディガールの大規模な都市計画によって,世界に広く知られています。しかし彼は,絵画,彫刻,コラージュ,タピスリー,映像など,幅広い分野にわたって活躍した多才な芸術家でもありました。
午前中は自宅のアトリエで絵画などの制作に集中し,午後からは設計事務所でスタッフとともに建築や都市計画の仕事に取り組むという生活パターンのもとで,彼はきわめて精力的な創造活動を展開しました。ルネサンス時代から,絵画,彫刻,建築はいずれも素描(デッサン)を母にもつ姉妹芸術と見なされていましたが,これらの分野すべてにひとりの人間が挑戦した例は,近代以降には彼のほかにほとんど見当たりません。「諸芸術の総合」を追求したル・コルビュジエは,20世紀の巨匠と呼ぶにふさわしい,傑出したクリエイターでした。
国立西洋美術館とル・コルビュジエ
開設当初の国立西洋美術館 2階展示室 (C)国立西洋美術館
ル・コルビュジエの建築や美術作品に関する展覧会は,いつも世界のどこかで行われているといってよいほど頻繁に開催されています。しかし,国立西洋美術館で今回開かれる展覧会のもっとも大きな特色は,ル・コルビュジエの美術作品を,彼自身が設計した建築空間の中で鑑賞できるところにあります。
第二次世界大戦後にフランス政府から寄贈返還を受けた「松方コレクション」を公開するための美術館として設立した国立西洋美術館の本館は,1955年から57年にかけてル・コルビュジエにより設計され,かつて彼のもとで学んだ前川國男,坂倉準三,吉阪隆正という3人の日本人建築家の協力によって1959年に完成しました。ル・コルビュジエは非常に多くの美術館構想に取り組みましたが,実現に至ったものは数えるほどにすぎません。その中でも,彼独自の「無限成長美術館」というコンセプトに基づいて設計された国立西洋美術館本館は,1950年代の代表的作品のひとつと評価され,現在フランス政府により世界遺産推薦が行われている「ル・コルビュジエの建築群」のひとつに選ばれています。
国立西洋美術館では,2009年に開館50周年を記念して,本館建築の計画とその後の変遷をたどる「ル・コルビュジエと国立西洋美術館」展を開催しましたが,この美術館の展示室にル・コルビュジエ自身の美術作品が並べられるのは,創設後間もない1961年に行われた素描・版画・参考資料による「ル・コルビュジエ展」以来のことです。今回の展覧会は,ル・コルビュジエの建築空間と,彼がみずから手がけた絵画や彫刻作品とのあいだの調和を実際に確かめることのできる,非常に貴重な機会となるでしょう。
ル・コルビュジエと20世紀の芸術家たち
この展覧会は,ル・コルビュジエが残した多数の作品や資料を管理するパリのル・コルビュジエ財団と,ル・コルビュジエの美術作品に関する世界有数のコレクションをもつ大成建設株式会社の特別な協力のもとで開催されることになりました。展覧会の中心を占めるのは,これらふたつの所蔵先から出品されるル・コルビュジエの絵画,彫刻,素描,コラージュ,版画,タピスリーなどです。日本で初めて紹介される貴重な作品を含め,ル・コルビュジエのアーティストとしての全貌を知ることのできる作品の数々が一堂に会します。
また,この展覧会には,彼の活動に深い関わりのある同時代の芸術家たちの絵画や彫刻作品も展示されます。1918年から20年代なかばまでル・コルビュジエの盟友として「ピュリスム(純粋主義)」の絵画を追求したアメデ・オザンファン。1920年代から彼の建築プロジェクトに関わった画家フェルナン・レジェと彫刻家ジャック・リプシッツ。彼が重視したキュビスムの芸術家たち(パブロ・ピカソ,ジョルジュ・ブラック,フアン・グリス,アンリ・ローランス)。さらに彼が高く評価した個性的な画家たち(アンドレ・ボーシャン,ルイ・ステール,ジャン・デュビュッフェ)。これらの芸術家たちの絵画や彫刻をあわせて紹介し,20世紀の芸術に対するル・コルビュジエの非常にユニークな関心のあり方を示すことも,展覧会の狙いのひとつです。
国立西洋美術館
〒110-0007 東京都台東区上野公園7-7
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※入館は閉館の30分前まで。 - 休館日
- 月曜日(休日の場合は開館,翌火曜日休館),年末年始,その他臨時休館
※8月12日(月)は開館。
※9月5日(木)は休館。 - 観覧料
- 常設展 一般420円(210円),大学生130円(70円)
※「ル・コルビュジエと20世紀美術」展は常設展料金でご覧いただけます。
※( ) 内は20名以上の団体料金です。
※18歳未満および高校生以下,65歳以上の方は観覧無料(入館の際,学生証または年齢の分かるものをご提示ください。)
※障害者とその付添者1名は観覧無料(入館の際に障害者手帳をご提示ください) - ホームページ
- http://www.nmwa.go.jp/

