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文化庁月報
平成25年9月号(No.540)

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日本の宗務行政

解説 宗教統計調査と『宗教年鑑』

文化庁文化部宗務課

 現在,日本には,系統の異なる多くの宗教団体があります。その規模と形態は様々でありますが,これらの中で宗教法人の認証を受けている団体も少なくありません。
 本課では,宗教統計調査を毎年行っています。その結果は,『宗教年鑑』にて公表しています。ここでは直近の平成24年版(平成23年12月31日現在)に掲載された数字を中心に,宗教統計調査と『宗教年鑑』の概要を御紹介します。

1 宗教統計調査の歩み

 明治以降から,社寺や教会,教師数などの数値を行政に報告することが,法令で定められていました。しかし戦後,信教の自由と政教分離の原則を定めた日本国憲法が施行され,自由な宗教活動を保障するために,行政側は宗教団体の監督と保護を行わなくなり,宗教団体の法人格取得に関する法律の分野のみ,関与することになりました。
 他方でこの頃は,宗教団体法に代わって施行された宗教法人令によって,新たに設立された宗教法人が増加していった時期でもありました。教育や文化活動での関心から,宗教に関する資料の問い合わせが多く寄せられました。
 その結果,昭和24年に,宗教法人令による宗教法人であった教派,宗派,教団の主管者と協議の上,本課の前身である文部省大臣官房宗務課が文化資料とすることを主な目的として,毎年12月末現在での統計報告を取りまとめることになりました。単立宗教法人については,それを所轄する都道府県が取りまとめて,宗務課に報告されることになりました。
 この時から,毎年文書によって宗務課から宗教団体に依頼を行う慣例ができたのです。現在では我が国の宗教事情を知ることができる統計調査として,宗教界をはじめ各方面からデータが参照されています。
 このように宗教統計調査は,宗教団体からの積極的な協力により調査結果が得られています。

2 調査対象の範囲

 宗教統計調査は,文化庁から直接あるいは各都道府県を通じ,単位宗教法人を包括している包括宗教団体(法人を含む)を対象に,包括する団体数,法人数,教師数,信者数について尋ねる調査と,どの包括宗教団体にも包括されていない単立宗教法人を対象に,教師数,信者数について尋ねる調査の2つからなっています。
 特に宗教団体に属する教師や信者数については,宗教団体の自主的な協力が得られる場合にのみ報告してもらっています。
 文化庁文化部宗務課では,この調査の結果を毎年,『宗教年鑑』として公表しています。『宗教年鑑』を作成するための調査では,包括関係において,何らかの形で宗教法人と関係しているもの,すなわち次のうち何れかに該当する宗教団体(法人)が対象となります。

(1)それ自身が宗教法人(単位宗教法人,包括宗教法人)である宗教団体(単位宗教団体,包括宗教団体)。
(2)被包括団体の中に宗教法人を有する,法人となっていない包括宗教団体。
(3)包括宗教法人もしくは(2)の団体に包括されている,宗教法人となっていない単位宗教団体。

 本稿で宗教団体という場合には,この調査の対象となっている以上のような宗教団体を指します。その宗教団体の包括関係を示すと図表1のようになります。

図表1 宗教統計調査の対象となる宗教団体の包括関係

図表1 宗教統計調査の対象となる宗教団体の包括関係

3 宗教団体と宗教法人

 宗教統計調査によれば,神社,寺院,教会などの単位宗教団体は,平成23年12月31日現在で,全国に22万1189団体が存在しています。
 そのうち所轄庁の認証を受けて宗教法人となっているものは,18万1855法人であり,その内訳は,神道系は8万5086法人(46.8%),仏教系は7万7421法人(42.6%),キリスト教系は4507法人(2.5%),諸教は1万4841法人(8.2%)となっています。
 このうち諸教とは,神道,仏教,キリスト教の三つの系統の何れにも入らないと見なされる宗教を指しています。
 また単位宗教法人の18万1855法人のうち,一つの都道府県内で活動する都道府県知事所轄の法人は18万1151法人,複数の都道府県で活動する文部科学大臣所轄の単位宗教法人は704法人です。
 図表2のように,我が国の単位宗教法人は,神道系と仏教系が多いことが分かります。

図表2 我が国の社寺教会等単位宗教法人数 (平成23年12月31日現在)

図表2 我が国の社寺教会等単位宗教法人数(平成23年12月31日現在)

 また教派,宗派,教団などの包括宗教団体は476団体あり,そのうち宗教法人格を持つのは398団体です。

4 教師について

 教師とは,具体的には,神道では神職,神主,仏教では僧侶,キリスト教では司祭,牧師などを指します。
 宗教上の教師は,それぞれの宗教団体によって教師資格が異なっており,各宗教団体に共通する一定の基準はありません。文化庁の宗教統計調査では,宗教教師数として,「貴宗教法人(団体)で定める宗教教師の資格を有する者」の数を各宗教団体に求め,その報告に基づいています。
 この統計によると,平成23年12月31日現在の宗教教師数は,65万4297人となっています。系統別の宗教教師数では,仏教系と諸教の占める割合が大きくなっています。

5 信者について

 信者とは,具体的には,神社では氏子,崇敬者,寺院では檀徒(だんと),門徒,信徒,キリスト教会では信者,教会員などと呼ばれるものを指します。文化庁の宗教統計調査では信者数として,「貴宗教法人(団体)で定める信者の義務を果たしている者」の数を各宗教団体に求め,その報告に基づいて集計しています。
 各宗教団体の信者数を合計すると,平成23年12月31日現在の信者総数は,1億9689万529人となっています。その系統別の内訳は,図表3のとおり,神道系1億77万882人(51.2%),仏教系8470万8309人(43.0%),キリスト教系192万892人(1.0%),諸教949万446人(4.8)%となっています。

図表3 我が国の信者数(平成23年12月31日現在)"

図表3 我が国の信者数(平成23年12月31日現在)

6 おわりに

 宗教統計調査と『宗教年鑑』について,簡単に紹介してきました。これまで取り上げた数字をまとめると次のようになります。

図表4 我が国の宗教団体数・宗教法人数・教師数・信者数(平成23年12月31日現在)
項目 宗教団体(宗教法人含む) 宗教法人 教師 信者
包括宗教団体 単位宗教団体 包括宗教法人 単位宗教法人


系統
476 221,189 221,665 398 181,855 182,253 654,297 196,890,529
神道系 158 88,804 88,962 132 85,086 85,218 77,434 100,770,882
仏教系 197 85,343 85,540 167 77,421 77,588 332,971 84,708,309
キリスト教系 85 9,281 9,366 68 4,507 4,575 29,160 1,920,892
諸教 36 37,761 37,797 31 14,841 14,872 214,732 9,490,446

 過去の宗教統計調査の結果と近年の宗教年鑑は,文化庁のホームページに掲載されていますので,御参照ください。

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