文化庁月報
平成25年11月号(No.542)
イベント案内
国立国際美術館
あなたの肖像―工藤哲巳回顧展
工藤哲巳《あなたの肖像―種馬の自由》1973年
米津画廊蔵
撮影:福永一夫 (C)ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2013
工藤哲巳《マザー・コンプレックス・パラダイス》1980年
高松市美術館蔵 (C)ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2013
「あなたの肖像」は,工藤哲巳が最も好んで使用した題名の一つです。「あなた」とは,作品を御覧になるあなたのことであり,既成の価値観や約束事に縛られた私たちのことです。と同時に,自作の最初の観客である工藤自身をも指します。それはまた,放射能による環境汚染から逃れられない人類の肖像でもあるのです。
工藤哲巳(1935-1990)は,大阪に生まれ,少年期を父の出身地青森で暮らし,1945年に父が早世した後,母の郷里岡山で高校までを過ごしました。東京藝術大学在学中から,読売アンデパンダン展に出品し,篠原有司男や荒川修作らとともに「反芸術」世代の代表格となりましたが,1962年に第2回国際青年美術家展での大賞受賞を機に,渡仏しました。その後,約20年,パリを本拠に,ヨーロッパを中心に文明批評的な視点と科学的な思考とを結び付けた独自の世界を展開しました。
しかし,工藤は,かつての洋行画家たちのようにパリに学ぼうとしたのではありません。性や公害,原子力など人間の生存に関わる根源的な問題やタブーに果敢に斬り込んで,近代ヨーロッパのヒューマニズム(人間中心主義)を批判,攻撃し,挑発的な作品と刺激的なハプニングを通して,ヨーロッパを治療しようとしたのです。
1970年代の中頃からは,攻撃の目標が芸術家自身に向けられ,一転して内省的,自画像的な作品が現れます。1980年代に入ると,「天皇制の構造」の連作を発表して,日本の社会構造を根幹から見つめなおし,1987年には母校東京藝術大学の教授に就任しましたが,1990年11月12日に55歳の若さで他界しました。
近年,フランスやアメリカで回顧展が開かれ,国際的にも再評価されている工藤哲巳の30年余りにわたる活動を,国内外の代表作約200点によって御紹介します。平成26年2月以降,東京国立近代美術館,青森県立美術館に巡回します。
(学芸課長 島敦彦)
国立国際美術館
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毎週金曜日 10:00〜19:00 (いずれも入場は閉館30分前まで) - 休館日
- 毎週月曜日(祝日の場合は開館し,翌火曜日休館)
年末年始12月28日(土)〜1月4日(土) - 観覧料
- 一般850円(600円),大学生450円(250円),( )内は20名以上の団体料金
高校生以下並びに18歳未満,心身に障害のある方及びその付添者1名は無料 - ホームページ
- http://www.nmao.go.jp

