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文化庁月報
平成25年12月号(No.543)
連載 「鑑 文化芸術へのいざない」
東京国立近代美術館フィルムセンター
映画監督 山田洋次
山田洋次監督半世紀の足跡を振り返る
東京国立近代美術館フィルムセンターでは,昨年度映画監督としては3人目となる文化勲章を受章し,今年は監督50周年記念作品『東京家族』が公開された山田洋次監督のレトロスペクティブを2か月間にわたり開催する運びとなりました。
1954年に松竹大船撮影所に入社,1961年に『二階の他人』でデビューした山田監督は,ハナ肇主演の『馬鹿まるだし』(1964年)に始まる喜劇シリーズなどに手腕を発揮して,1966年の『運が良けりゃ』『なつかしい風来坊』ではブルーリボン賞監督賞を受賞,伝統ある松竹の新たな才能として注目を集めます。
1969年に公開された渥美清主演の『男はつらいよ』は絶大な人気を博し,1995年の『男はつらいよ 寅次郎紅の花』まで四半世紀にわたり計48作を数える,世界にも類のない大シリーズとなりました。また,これと平行して,現代日本への鋭い批評を投げかけた『家族』(1970年),『幸福の黄色いハンカチ』(1977年),『息子』(1991年)などの重厚なドラマは,キネマ旬報ベストワンをはじめとするその年の映画賞を独占し,日本を代表する映画作家として,山田監督の評価を不動のものとします。
山田作品と撮影所の伝統
1970年代以降,日本映画の人材を育成する映画会社の機能が衰退していく中で,プログラムピクチャーと作家的なチャレンジをまたぐ山田監督の数々の名作が,長年の信頼関係で結ばれた「山田組」と呼ばれるスタッフ――共同脚本の森崎東,宮崎晃,朝間義隆,平松恵美子,撮影の高羽哲夫,長沼六男,近森眞史,美術の佐藤公信,出川三男,編集の石井巌等――の緊密なアンサンブルから生み出されてきたことも注目に値します。
さらに,『学校』(1993年)以降は旧日活系のベテランスタッフ(照明の熊谷秀夫)を招き,また,大船撮影所最後の映画となった『十五才 学校IV』(2000年)の発表後,京都撮影所で撮影された初の本格的時代劇『たそがれ清兵衛』(2002年)では旧大映系のベテランスタッフ(美術監修の西岡善信,照明の中岡源権)とのコラボレーションを行い,『武士の一分』(2006年)以降は東宝スタジオへと撮影の拠点を移しながら,90年代以降の山田映画は,松竹の伝統の枠をも越えて,日本映画の高度な技術の継承と,新たな映画表現のスタイルを模索しているように見えます。
35mmプリントで堪能する巨匠の作品世界
小津安二郎監督にオマージュを
『二階の他人』から『東京家族』まで山田監督が繰り返し取り上げてきた家族崩壊のテーマ,ハナ肇の「馬鹿」シリーズと高倉健主演の『
また,本特集は,全作品を35mmプリントで紹介するもので,26本が今回のために用意されたニュー・プリントでの上映となります。フィルム撮影に深い愛着を示してきた一人でもある山田監督の作品世界をオリジナル・フォーマット,フィルムセンターのスクリーンに映し出されるシネマスコープの大画面で御
『隠し剣 鬼の爪』撮影風景 監督/山田洋次(2004年)写真提供/松竹
東京国立近代美術館フィルムセンター
〒104-0031 東京都中央区京橋3-7-6
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- 交通
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JR「東京駅」下車,八重洲南口から徒歩10分 - 開館時間
- 1日3回上映
各回の上映開始時間はホームページを御参照ください。 - 休館日
- 毎週月曜日,平成25年12月28日〜平成26年1月6日
- 観覧料
- 一般500円,高校生・大学生・シニア300円,小・中学生100円
※障害者手帳をお持ちの方(付添い者は原則1名まで),キャンパスメンバーズは無料 - ホームページ
-
http://www.momat.go.jp/


