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平成25年12月号(No.543)

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12月号特集

ドワーフ(株式会社ティー・ワイ・オー/ドワーフ事業部) インタビュー

長官官房著作権課

インタビューをお受けいただき,ありがとうございます。早速ですが,貴社ではどのような事業を展開されているか教えてください。

松本:私たちは,もともとTYOという会社で,CMを作っていました。ですから,グッズ用のキャラクターを作るというよりは,NHKの「どーもくん」(※1),日産の「PLUG」(※2)など,企業と一緒にキャラクターを作って,キャラクターをただのマークということではなく,そこにある世界観や,キャラクターのバックグラウンド,物語のようなものをきちんと育てていくことをやっています。
 弊社は「どーもくん」から始まったチームのようなところがありますので,絵だけではなくて,ストーリーのある映像も作っていくという形でやっています。また,「こまねこ」(※3)のように広告や企業のためにキャラクターを作るのではなく,映画を先行して作るという全くのオリジナルコンテンツも制作しています。
 CMの仕事もいろいろあります。新しいキャラクターを作ることもありますし,既にある企業のキャラクターを活用することを提案することもあります。広告のほかでも,「リラックマ」のように,ほかの方が作ったキャラクターを動かすこともあります。槇原敬之さんのPVを作ったり,「スコット&リバース」という海外のアーティストが日本で活動するときのキャラクターやPVを作ったり,「こまねこ」に,海外のアーティストに曲を書いていただいたりと,いろいろなコラボレーションも行っています。また,オリジナルで絵本を作ったりもしています。
 キャラクターを作り,物語を考え,映像の演出する合田と,天才的ストップモーション・アニメーターの峰岸を軸に始まったチームですが,今では若いクリエイターも活躍しています。
 キャラクターとアニメーションに軸足を置きながらも,今はメディアも国も関係なくそれらを形にしていくようなチームになってきているように思います。

「どーもくん」

「どーもくん」

※1「どーもくん」1998年12月,NHK-BS放送開始10周年記念キャラクターとして誕生。2004年にはNHKのキャラクターとなり,広報大使,番組宣伝大使などとして活躍中。「どーもくんTVシリーズ」は170を超える国と地域で放映されている。

(C)NHK・TYO

「PLUG」

「PLUG」

※2「PLUG」2011年8月,日産自動車と共同開発し「ゼロ・エミッション社会」をグローバルに伝えるキャラクターとして誕生。ゲーム型サイト「THE PLANET ZERO」はFavorite website awardsでSITE OF THE DAYを受賞。

(C)NISSAN/dwarf

「こまねこ」

「こまねこ」

※3「こまねこ」2003年,東京都写真美術館の公開制作プロジェクトで誕生。2006年には長編映画「こま撮りえいが こまねこ」が全国公開。2009年よりフランスでの公開も始まり,現在もロングラン上映中。文化庁メディア芸術祭(第7回)でアニメーション部門優秀賞を受賞。

(C)TYO/dwarf・こまねこフィルムパートナーズ

一つの作品の開発期間,人数等について教えてください。

合田:事前にかかる時間はそれぞれまちまちですけれども,キャラクターをデザインして,それから絵コンテを作って,そこからいろいろなスタッフが集まって実際の作業が始まります。撮影は,何せ少しずつ動かしていくので,1日5秒分を撮影することが平均的で,30秒の作品を撮ろうとなると1週間ぐらいかかる,ということになります。
 スタジオに集まるのは,ディレクターの僕と,プロデューサーや制作という進行スタッフ,アニメーター,アシスタント,小道具やセットを作る美術さんと撮影照明のスタッフなどです。ですので,10人ぐらいが絶えずスタジオにいます。それ以外には,人形作家の方がいて,この方と美術さんは,ドワーフにはいないので,外部にお願いしています。それらが映像に関わる人数で,「どーもくん」のテレビシリーズや「こまねこ」の映画などの大きい作品は,1班だけで作ると時間がかかってしまうので,時間を短縮するために2班,3班体制になります。そうなると人数が当然増えてきますが,「こまねこ」などは20人ぐらいで制作しています。それプラス,編集や音声など仕上げのスタッフが必要になってきます。

撮影された映像の編集等にも,別途,お時間はかかりますか。

合田:昨今,時間はそれほどかからないのですけれども,物にもよりますが,社内でオフライン編集をすませて,その後外の編集スタジオに入って()を仕上げていきます。そこで,例えば30秒の作品でしたら編集作業は2日ぐらいです。加えて,音楽や効果音,後は声を録音したりといった作業も入ります。これらの作業が撮影の後,1週間ぐらいかかります。

30秒の作品であれば,1週間程度撮影をされていて,撮影の後に音を入れたりですとか,画像の編集等に1週間程度かかるということでしょうか。

合田:そうですね。そこから遡って,例えば新たなキャラクターを作るということになると,僕らはこま撮りという撮影方法を採っているので,それ用の人形を作らなくてはいけません。キャラクターをデザインして,人形作家の方に発注して,人形が出来上がってくるまでに1か月ぐらいかかります。

撮影用の人形は何パターンか制作を依頼されるのですか。

合田:基本的には1パターンです。たくさんのパターンを作って,それを置き換えていくというアニメーションもあるのですが,ドワーフが多く行っているのは,人形の中に関節が入っていて,その関節を使って人形を動かしていくというやり方が多く,基本は一つの人形を動かして撮影しています。

こま撮りは制作に非常にお時間がかかると伺っておりますが,こま撮りならではの魅力や御苦労があれば教えてください。

合田:魅力という意味では,やはり,全部手で動かしているというところです。コンピューターで計算して動かしているわけではなく,1コマずつ人間の手で動かしていますので,この制作でしか出せない独特の味わいがあります。それは見ている人をホッとさせたり,ある種の懐かしさのようなものとか,楽しさのようなものになっていくのかなという気がします。
 難しさでいうと,何せ時間がかかるものですから,時間と予算との戦いが,毎回起こります。これはどのような技法でも同じことなのかもしれないですが,毎回つきまとう問題です。

「どーもくん」などの作品は1秒間24コマで制作されていると伺っております。1秒間24コマはとても多いコマ数に感じますが,1秒間12コマや8コマでは表しにくい表現があったりするのでしょうか。

合田:もちろん1秒間12コマでやる良さもあったり,1秒間8コマでやる良さもあったり,それはどっちがいい悪いではないと思うのですけれども,1コマ(1秒間24コマ)ずつやっていく狙いとしては,より感情表現が細やかにできていく。一番はそれかなと思いますね。
松本:生きているみたいに,1コマ(1秒間24コマ)打ちすると,それは生き物になって,2コマ(1秒間12コマ),3コマ(1秒間8コマ)打ちになるとアニメーションになります。私はプロデューサーなので,とにかく効率的に,効率的にと思って,クリエーターサイドとケンカになります (笑)。ただ,「こまねこ」や「どーもくん」には,物語があって,その中で生きている子であってほしい。そういうときにはフル(1秒間24コマ)でやることが多いですね。

「どーもくん」や「PLUG」など企業等から依頼を受けてキャラクターを作るときに,オリジナルの作品とは異なった配慮等をされている点があれば教えてください。

合田:広告用のキャラクターなどは,なるべく覚えやすいポイントを作りたい。こういうキャラクターだったよねと思い出せて,すぐ人に伝えられるような要素があるといいなと思っています。「四角い口のやつだよね。」とか,「目が一つだったよね。」とか,何かそういう覚えやすいポイントがあることが大事かなと思います。そのポイントと,企業なら企業の何か訴えたいポイントとが結び付けば一番いいなと思います。かわいいキャラクターは世にあふれているので,かわいいだけだと思われてしまうことに恐怖があって,どこかに強い,覚えやすいポイントを作りたいなと思っています。

企業の方から,一度貴社で作られたキャラクターに対して,例えば,「我が社はこういうコンセプトなので,この部分はもっとこうしてください。」というような依頼はありますか。

合田:ある場合もあります。私は,全然聞いちゃいますね(笑)。もちろん,企業の方たちのために作るところもあるので,希望はなるべく聞くようにしています。
松本:「どーもくん」に関しては,広い公募でしたが, NHKが望んでいたオリエンテーションに綺麗(きれい)に答えているキャラクターではなかったのですね。何か心にひっかかるものはいいものだねということで,みなさんが妙に気になると,気に入ってくださって,決定しました。「どーもくん」も今年15年目なんですけど,NHKと一緒に育てていて,「どーもくん」という世界観の中で,どういうメッセージを出していくかといったことを一緒に考えてもらっている部分もあります。

「どーもくん」は貴社とNHKで著作権を共同で保有されていると伺っておりますが,「どーもくん」が共同著作物になった経緯等を教えてください。

松本:ドワーフは,企業等と著作権を共同で保有することがあります。キャラクターの制作を依頼した企業と,我々は,生みの親(ドワーフ)と育ての親(企業)ではないですが,我々は企業と共に両親のような関係でやっていきたいという考えですので,企業側に著作権を完全に渡してしまうと,キャラクターを育てるという考え方ができなくなってしまうことがあります。企業の担当者が代わってしまうケースもあり,制作に携わった方は思い入れがあっても,次に来た方はさほどでもなく,それでキャラクターが代わってしまうことなどもあるように思います。キャラクターが世の中に定着して,愛されてというのはとても時間がかかるものだと思います。そのことを考えたときに,生みの親である我々も一緒に著作権を持って,ずっと考え続けていけるという形にした方がいいと思っていますし,「どーもくん」に関してはNHKもそこを多分理解してくださったので,共同で著作権を保有しようと言っていただいているのだと思います。キャラクターの制作を依頼した企業としては,とりあえず著作権を全部持ちたいといったケースが多いので,そういったときは,なぜ著作権を双方でシェアした方がいいのかとか,キャラクターの未来の可能性も含め著作権を全部譲ってしまうということがどういうリスクなのかということも含めて分かっていただけるといいなと思いながら,1回,1回,丁寧に説明しています。

コンテンツビジネスを展開するに当たり,自社のコンテンツを積極的に展開していくいわば【攻(攻め)】の部分と,制作した自社のコンテンツを保護していく【守(守り)】の観点からお話を伺いたく存じます。
貴社は「どーもくん」などの人気のあるコンテンツを多数保有されており,そのコンテンツを映像以外にも絵本やぬいぐるみ等にも展開されていると伺っておりますが,具体的にどのような展開をしているか教えてください。

松本:海外,特にアメリカで展開しているのは,「どーもくん」です。アメリカだとTシャツなどはすごい量を作られていて,「どうしちゃったんですか,これ。」みたいなデザインのTシャツなどもあります(笑)。
合田:本来のNHKのキャラクターと考えると,日本ではなかなか展開しづらいところがあると思いますが,海外については,ほかの企業の宣伝をしてはいけないなどの制約がないので,日本から考えるとびっくりするような商品がたくさん出ています。
松本:私たちも最初は「色を変えるなんて!」と,非常に抵抗しましたよね(笑)。「茶色くないと「どーもくん」じゃない。」というようなことを,NHKも一緒に言いました。「スタイルガイド」という「商品化バイブル」を作っているのですが,そこから踏み出したものを作りたいという話が最初にアメリカからあったときも,私たちのキャラクターを監修する立場や,合田の作家としての感情的部分もあって,抵抗感がありました。しかし,私たちライツホルダーに,ある,割り切りの瞬間があった気がします。アメリカでビジネスをするのだから,日本の常識で,日本のマーケットにいうのと同じことを言っても駄目なんじゃないかなと。でももちろん,キャラクターのアイデンティティーは保たねばならないとも思っていますが。

海外でコンテンツを展開する際,日本国内での展開とは異なる観点ですとか,例えば現地のキャラクターの嗜好(しこう)性やローカライズ等の観点から特に注力されている点や難しい点があれば教えてください。

合田:そもそも海外に「どーもくん」を売っていこうなどという話は全くなくて,日本でも人気があるのかないのかよく分からないというときに,日本の週刊誌に,アメリカのとある団体が「どーもくん」の画像を勝手に使っているという記事が出ました。「どーもくん」が悪魔の使いのように勝手に使われていたんです。そのことが週刊誌の記事になって,アメリカの「どーもくん」はどうなってるのかと調べてたところ,個人のファンサイトがたくさんできていて,YouTube等でもたくさん「どーもくん」の映像が見られているということが,このことをきっかけに分かりました。そこから,「どーもくん」は日本のNHKの作品であるとか,そもそも日本の作品であるとかっていうことをちゃんとプレゼンテーションしなきゃいけないということで,映像を作ってプレゼンテーションしたところ,アメリカの代理店の方が「どーもくん」に興味を持って,ビジネスをしたいと言ってくれて,そこから動き出したという経緯です。そうやってアメリカからいろんな「こうしたい。」「ああしたい。」っていうものが届き出すのですが,そうするといろいろな色のものが来たりとか,いろいろなコスチュームの「どーもくん」が来たりと,最初はもちろん抵抗があったんですが,こういうものに触れていくうちに,どうも受け止められ方が日本とは違うことに気が付きました。日本だと,割とほのぼのとしたキャラクターとして,その世界観とともに好きになってもらえることが多いのですけれども,アメリカだと,その「ほのぼの」というところとは違うジャンルにあることが分かってきました。そうなると,自分たちのいつもの監修っていうのではちょっと違う世界にいるなということが分かってきて,これは自分たちで狭く監修していくよりは,そちらに委ねてしまった方が喜んでもらえる人がたくさんいるんじゃないかということになって,彼らの意見をどんどん取り入れていくっていう形になっていきました。こういうこともすごく楽しいなと思えるところもあったので,もしかしたら作者としては乱暴なことなのかもしれないのですが,楽しんでやってしまおうという感じでした。最初はやっぱり戸惑いましたけどね。

ここだけは譲れないという一線,こういったデザインになったら受け入れられないというような点はありますか。

合田:もう既に色も変わっていますし,形もやや怪しくなっています。一番守られている部分は,目と特に口ですね。ここはもう閉じたりしてはいけない,形を変えてはいけないとか,そこはギリギリの最低のラインとしてあります。そこが変わり始めたら,ちょっとおかしな方へ行ってませんかという話になるのかなと思います。

以前,松本さんが,「ライセンス契約は婚姻契約みたいなもので,お互いが子供を育てていくための契約と同じ。」と(おっしゃ)っている雑誌のインタビュー記事を拝読しました。

松本:アメリカのビッグテントというエージェントは,非常に丁寧に熱心にやってくれています。だからこそ,彼らとやり合うこともあります。そんなことだったらアメリカには受け入れられないとか,アメリカのファンはこういう人たちだとか。日本とは全然ファンの地図・属性が違うんですよ。NHKのキャラクターで,ほのぼのとした世界観の日本の「どーもくん」ではなくて,どちらかというともっとファンキーで,歯がガジガジしていて,何か面白いやつという扱いです。アメリカは子供の歯の矯正が一般的なので,キャラクターの歯の矯正も流行(はや)っていて,「どーもくん」が歯の矯正をしているようないじられ方をしたり,「オタクどーも」と言って,眼鏡を掛けたちょっとオタクっぽい「どーもくん」がいたりとか。

 コミコンという世界一のコミックや映画の祭典がサンディエゴであります。スターウォーズなどを好きな人たちが集まるようなお祭りですが,そこで合田はインクポット賞(※4)を受賞しました。アメリカのポップカルチャーに貢献した人がもらう賞です。そういうアメリカのポップカルチャーの近くに「どーもくん」はいるんだよと言われました。ファン層も,ティーンエイジャーや,ネットに興味関心の強い人たちで,日本とは全く違う中で日本と同じことを言ってもしょうがないよなということで。彼らから提案されたプランは,最初から子供も大人もみんな好きみたいなことを(ねら)っても駄目だということでした。アメリカはマーケティングの国なので,「大型店舗には置かず,スペシャリティーマーケット,セレクトショップのようなところにしか置かれないような商品から始めよう。そういうときにはこういうちょっとエッジの効いたデザインのTシャツがいいんだよ。」とか,「コレクタブルな商品がいいんだ。」といったことを,きちんとプレゼンされたので,その提案をやるべきだと思いました。でも,「もういいです,そちらにお任せします。」とは言いません。自分たちもちゃんと見て,理解して進めていきたいと思っています。よく,ほかの日本のライセンサーの方とお会いした時に,「「どーもくん」はもう全然監修していないんでしょう。」と言われるのですが,全部きちんと確認しています。
 合田は「どーもくん」を,「ゆるキャラとして作っているつもりも,癒やしのためにキャラクターを作っているつもりもない。」とよく言うのですけど,そんな合田の中にあるファンキーでポップな部分といいますか,そういう感性ともアメリカのファン層はもしかしたら合致しているのかもしれません(笑)。
 先ほど合田から「口を守る」という話がありましたけど,口は「どーもくん」の重要なアイコンであるとアメリカのエージェントも言ってくれて,今では,「どーもくん」の口だけが形になっているジュエリー,口の部分だけを取り出した剃刀(かみそり)のようなデザインのブレスレットなどもあります。
 「どーもくん」は,物語を引っ提げて世の中に出ましたが,ストーリーの世界観がある上に,非常にキャラクター自体のデザインもはっきりしていると言われました。キャラクターは,デザインからきたキャラクターなのか,ストーリーからきたキャラクターなのか,どちらか発のものが多いのですが,「どーもくん」は両方持ち合わせているから,非常に可能性があるという話もエージェントからされました。
 アメリカのFacebookの「どーもくん」のオフィシャルページには600万人以上のファンからの「いいね!」を押してもらっています。感覚的に,日本よりアメリカはこういったSNSが3年ぐらい先を行っているように感じます。今日本でも盛んにやっているFacebookを使ったマーケティングを,3年ぐらい前に「どーもくん」を使ってアメリカで行っていました。「どーもくん」を通じて,そういった経験をできるのも,面白いですね。600万人のファンがいると,アメリカのマーケティングの戦略上,Facebookをメディアとして,イベントを開催したりすることができるんですね。

※4「インクポット賞」Comic-Con Internationalが1974年に設立した,マンガ・アニメなどのアメリカンポップカルチャー領域において多大な貢献をした作家に与えられる賞。コミコンゲストの中でも特に際立った業績を残した人物に贈られる。日本人では合田氏のほかに,これまで手塚治虫氏(1980年),高橋留美子氏(1994年),宮崎駿氏(2009年)らが受賞している。

最後に,著作権保護について貴社で取り組まれている事例がございましたら教えてください。動画の違法アップロードや,正規ライセンスを得ずに製作されている商品,海賊版の販売等の実態も把握されていましたら教えてください。

松本:実際の著作権保護についてはエージェントを通して行ったり,版権の窓口を通してコントロールしてもらっています。「どーもくん」の海賊品などは問題になってきています。「あれ,この国にライセンスしてたかな。」と思う国で商品がたくさん売られていたりするケースもあります。特にアジアは非常に海賊品が多いですし,アジアからヨーロッパに向けた海賊品を,今は税関で止めるというシステムになっていますので,そういった商品が税関で発見されたという報告もあります。コミコンのようなイベントに行くと,見たことがない商品が売られているようなケースもあります。
 ただ,本音と建前の部分もあって,「どーもくん」に関しては,「どーもくん」が勝手に使われたときに検索をかけたらすごい数の検索結果が出たっていうことで海外展開を決めたということがありましたし,「こまねこ」はメディアと組んで始まっていないキャラクターなので,ファンの方は大体自分でどこかから「こまねこ」を探して好きになってくれているというパターンです。それがネットの情報だったり,YouTube等で映像を見てDVDを買ってくれた人も多いようだとなると,なかなかそこは杓子(しゃくし)定規にもできないところもあるように感じています。
 アメリカでもファンが「どーもくん」のグッズを自分で作っていて,例えばネイルを「どーもくん」にしてるとか,ミュージシャンが,自分で作ったと思われる「どーもくん」のアクセサリーを付けてPVに出てたり等もあります。
 “Domo is viral superstar.”というレポートが数年前,アメリカの調査会社から出たのですが,口コミで伝わって「どーもくん」は有名になったことを考えると,そういった行為を全部オフィシャルだけにしてくださいというと,つまらなくなってしまうのではという気持ちもあります。

左:合田経郎さん 右:松本紀子さん

左:合田経郎氏 右:松本紀子氏

インタビュアー 文化庁長官官房著作権課企画審議係主任 横尾 由美子

合田経郎
 1967年東京生まれ。CMディレクターとして演出家のキャリアをスタート。1998年,NHK-BSキャラクター「どーもくん」のデビューを機に,徐々に活動の場をアニメーションへと広げていく。キャラクターデザインのほか,CM,MV,映画など映像全般の演出を手がける傍ら,書き下ろし絵本なども刊行。最新作はこま撮りアニメーション「こまねこ」シリーズの第4作,「こまねこのおるすばん」。

松本紀子
 1966年東京生まれ。1989年東洋大学社会学部卒業後,(株)ティー・ワイ・オー入社。'95年からはプロデューサーとして,コカ・コーラ,マクドナルドを始め100本以上のCMをプロデュース。'98年から始まるNHK-BS「どーもくん」の誕生以来,スポット制作と展開をプロデュース。

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