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平成25年12月号(No.543)

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12月号特集

株式会社カプコン インタビュー

長官官房著作権課

インタビューをお受けいただき,ありがとうございます。早速ですが,貴社ではどのような事業を展開されているか教えてください。

<右:株式会社カプコン 総務・法務統括 法務部長 伊達 裕成 氏><左:株式会社カプコン 総務・法務統括 法務部商標著作権チーム長 保田 祐子 氏>

<右:株式会社カプコン 総務・法務統括 法務部長 伊達 裕成 氏>
<左:株式会社カプコン 総務・法務統括 法務部商標著作権チーム長 保田 祐子 氏>

伊達:「ワンコンテンツ・マルチユース」の展開を推進しています。例えば,一つの家庭用ゲームを派生させて,映画や舞台など,様々な場面で活用する事業展開です。
保田:家庭用ゲームやPC用ゲーム,モバイルコンテンツなどの,「デジタルコンテンツ事業」が,弊社の中で一番売上げが大きい分野です。また,「アミューズメント施設事業」,いわゆるゲームセンターですね。弊社では「プラサカプコン」という名称で,全国で35店舗の展開をしております。地域一番店を目指して,主にショッピングモール等に大型店を出店しています。
伊達:最近は,ゲームセンターに行くことが目的のお客様よりも,ショッピングモールに行った際に,立ち寄っていただくお客様が中心になっています。

ショッピングモールでの展開となりますと,以前のロードサイドのゲームセンターとは異なって,子供向けのゲームを多く設置されたりなどの変化はありますか。

伊達:どちらかというと,弊社のゲームセンターはお子様を含め,御家族様向けを意識しています。
保田:また,店舗によっては,お子様に自由に遊んでいただけるキッズコーナーを設けています。一部の店舗では図書館のように本を設置し,読み聞かせができるようなコーナーも設けていまして,御好評を頂いています。
 また,「アミューズメント機器事業」では,ゲームセンター用のメダルゲーム機ですとか,クレーンゲーム機といった機械も作っています。さらに,パチンコ,パチスロ機も,製作しています。弊社の子会社は16社あり,そこの中にパチスロを扱う会社もございます。「アミューズメント機器事業」は最近,一番伸びている分野です。
 「その他事業」として,『バイオハザード』(※1)の映画化や,『逆転裁判』(※2)の舞台化等を行っています。また,ライセンスビジネスとして,キャラクターグッズ等の販売も行っています。先ほど,伊達から「ワンコンテンツ・マルチユース」という話をさせていただきましたが,弊社のゲームキャラクターをよりお客様に知っていただくために,様々な事業展開を実施しております。
伊達:出版事業,攻略本や音楽CDとかもそうですね。
保田:12月に発売予定の3DS用ゲーム『ガイストクラッシャー』についても,ゲームの発売に先駆けて,アニメと漫画を展開しています。

BIOHAZARD 6 (C)CAPCOM CO., LTD. 2012 ALL RIGHTS RESERVED.

BIOHAZARD 6
(C)CAPCOM CO., LTD. 2012 ALL RIGHTS RESERVED.

※1『バイオハザード』シリーズ:1996年にプレイステーションで発売されて以来,シリーズ化され,様々なハードで商品展開されているサバイバルホラーゲーム。海外でも人気が高く,全世界でシリーズ累計6,000万本以上(2013年9月30日現在)を売り上げている。ゲームの世界観を取り入れた実写映画もシリーズ化されている。

逆転裁判 5 (C)CAPCOM CO., LTD. 2013 ALL RIGHTS RESERVED.

逆転裁判 5
(C)CAPCOM CO., LTD. 2013 ALL RIGHTS RESERVED.

※2『逆転裁判』シリーズ:2001年にゲームボーイアドバンスで発売されて以来,シリーズ化されている。弁護士である主人公を操作し,無実の罪に問われている被告人を裁判で無罪にする法廷バトルアドベンチャー。実写映画化や宝塚歌劇での舞台化など様々なメディアミックスが展開されている。

「家庭用テレビゲームソフト(パッケージソフト)」や「モバイルコンテンツ」の平均的な作品の開発期間や,開発にどのくらいの方が携わっているか教えてください。

保田:家庭用テレビゲームもいろいろなハードや,制作方法がありますので,一概には言えませんが,長いものでしたら2〜3年ほどかかることがあります。開発人数が少ないタイトルは数十人ぐらいの少人数で開発しますが,大規模なタイトルになれば100人を超えることもざらです。開発期間の全てにその人数が関わっているわけではありませんが,総人数としては,数百人になる場合もあります。
伊達:他業種で例えると,意外と弁護士事務所が近いかもしれません。弁護士事務所も一つの事件に対して分野に応じた弁護士の方々が対応すると思います。ゲーム制作も似たようなイメージです。
保田:一方,モバイルコンテンツは,少し前は,フィーチャーフォンでも楽しめるカジュアルなゲームが多かったと思います。その場合,開発期間は,数か月ほどで開発人数も数人とか十数人のゲームがほとんどでしたが,最近のネイティブアプリと言われるゲームになると開発規模も大きくなってきます。最近の弊社のタイトルで言うと,『モンハン商店 アイルーでバザール』というモバイルコンテンツがあるのですが,そちらの開発期間は1年程度で,開発人数も数十人規模で制作していました。家庭用ゲームと,ネイティブアプリの垣根が少し薄れてきたと言いますか,開発スタンスが似通ってきたという感じがします。また,「プレイステーション ヴィータ」などでは,タッチパネル操作がありますよね。スマートフォンと同じような形でタッチ操作ができるというのも垣根が薄れてきた理由としてあると思います。

デジタル化・ネットワーク化が進み,「パッケージソフト」,「PCオンライン・ダウンロードコンテンツ」,「モバイルコンテンツ」等の市場の規模が変化し,また,販売形態も多様化していますが,このような変化に伴って,新規にコンテンツを開発するに当たっての戦略等がありましたら教えてください。

伊達:どこのゲーム会社も,恐らく今まさに模索しながら戦略を立てているのが実情なのではないかなと思います。弊社の場合は,パッケージとダウンロードコンテンツを併せてワールドワイドで展開していく方向になっていくと思います。
保田:昔でしたら,ゲームソフトは,すぐに中古市場に流れてしまうため,発売から1か月ほどで新品が売れなくなり,商品寿命が短かったわけですが,最近はできるだけ長く皆さんに遊んでいただく(ため)に,ゲームソフト発売後にダウンロードコンテンツ展開を行うこともあります。
伊達:今は,転換期だと思います。ワールドワイドでの展開を考えた時に,日本で売れたコンテンツが必ず海外で売れるわけではありません。逆に,海外で売れたコンテンツが日本で売れるわけでもありません。その国の地域性などの調査がより重要になっていくのではないかと思います。

海外戦略ということで,『バイオハザード』などの国内外でも人気のあるコンテンツを発売される際には,国内外の売上げ比を想定されて,開発等されていますか。

保田:はい。もちろん,各地域での発売本数の計画は立てています。最近ですと,『モンスターハンター4』(※3)を発売しましたが,この作品は圧倒的に日本での人気が高いです。日本では,400万本の出荷を突破しましたが,海外では,日本ほどの売上げはありません。逆に,『バイオハザード』シリーズは海外で非常に人気があり,国内よりも海外の売上本数の方が圧倒的に多いです。
伊達:今後は地域関係なく人気の作品を制作していきたいと考えています。一つの作品を,できるだけいろいろな国で売り上げるというのが,理想ですから。その方法を,各社が模索しているところだと思います。

MONSTER HUNTER 4 (C)CAPCOM CO., LTD. 2013 ALL RIGHTS RESERVED

MONSTER HUNTER 4
(C)CAPCOM CO., LTD. 2013 ALL RIGHTS RESERVED.

※3『モンスターハンター』シリーズ:2004年にプレイステーション2で発売されて以来,シリーズ化されている。雄大な自然の中で巨大なモンスターに立ち向かうハンティングアクションゲーム。「友人と協力して強大なモンスターに挑む」という通信協力プレイが新たなコミュニケーションスタイルを確立し,「モンハン現象」と呼ばれる社会現象を巻き起こした。多くの企業等とコラボレーションを展開している。

コンテンツビジネスを展開するに当たり,自社のコンテンツを積極的に展開していくいわば【攻(攻め)】の部分と,制作した自社のコンテンツを保護していく【守(守り)】の観点からお話を伺いたく存じます。貴社は人気のあるオリジナルコンテンツを多数保有されており,そのコンテンツを多面展開(ワンコンテンツ・マルチユース)に力を入れられていると伺っておりますが,具体的にどのような多面展開を行われているか教えてください。

伊達:分かりやすいところは映画や舞台ですが,パチスロ機などもそうでしょうし,ゲーム性だけではなくて,ゲームの中のキャラクターも含めて,ありとあらゆる角度からライセンスしています。コンテンツを最大限活用するのは,攻めの部分と言えると思います。
中井:多面展開で言うと,攻略本や漫画本,フィギュアの展開もしていますし,ぬいぐるみやTシャツなどを販売したりもしています。高いものだと数万円するような高品質のフィギュアもあります。

『モンスターハンター』のアイルーなどのキャラクターを活用し,いろいろな企業とのコラボレーションを非常に多く展開されていると伺っておりますが,多面展開(ワンコンテンツ・マルチユース)には,ゲームのブランド的な価値を高めたり,ふだんゲームをやらないような方たちにもゲームを知ってもらう,間口を広げていくような意味合いもあるのでしょうか。また,ライセンスを他社に与える際に,気を付けている点はありますか。

保田:はい。間口を広げるという意味はあります。また,作品をよく知っていただいた上で,その世界観を壊さず,更に作品を広げていけるようなものというのを考えています。全くゲームそのままというのは難しいと思うのですけれども,世界観さえ壊さなければいろいろな展開をしていただいて構わないと思っています。例えば,『逆転裁判』を宝塚歌劇の舞台で演じられることなどは,普通に考えたら世界観が全く違うと思うのですけれども,だからといって,原作ファンも失望させることなく,逆に,宝塚の女性ファンの方にゲームをしていただく機会をもたらすということで,ファンが増えています。世界観を壊さず,愛していただけるような展開になるよう気を付けています。

フィギュアやぬいぐるみなどを商品化する際は,色やポーズなど細部についても確認をされていますか。

<右:株式会社カプコン 総務・法務統括 法務部商標著作権チーム 山田 健司 氏><左:株式会社カプコン 総務・法務統括 法務部商標著作権チーム 中井 えみ 氏>

<右:株式会社カプコン 総務・法務統括 法務部商標著作権チーム 山田 健司 氏>
<左:株式会社カプコン 総務・法務統括 法務部商標著作権チーム 中井 えみ 氏>

中井:はい。それぞれのキャラクターに設定や,性格がありますので,そういった部分の表現ができていないと思われる場合は,変更をお願いすることもあります。商品の製作を外部に委託する場合は,見本を頂いて,弊社の開発担当者と一緒に確認をした上で,最終的な形を作っていくような方法で進めています。

海外でゲームを販売する際,海外での販路や各国のゲームの嗜好(しこう),ローカライズ等の観点から特に注力されている点や難しい点があれば教えてください。

保田:企画段階でも,海外展開を予定しているタイトルは,現地の子会社のスタッフの意見を聞いたり,マーケティング調査などをしています。また,知らないうちに権利侵害をしている可能性もありますので,我々でゲームの内容を知的財産権の観点からチェックをしています。場合によっては,北米,欧州や,アジアの子会社のスタッフにも意見を聞くこともあります。その中で,気が付いていなかった宗教上の話をされるようなケース等,貴重な意見が出てきたりします。
山田:ゲーム内に出てくる言葉が海外では,とんでもないスラングだったこともありました。
保田:設定のリアリティにも気を付けています。『ストリートファイターIV』(※4)を例に挙げると,ゲーム内にいろいろな国のステージがあり,韓国ステージを制作する際に,街中の特徴を表現する(ため),看板をステージ内に配置しました。その時,最初に作っていた街の風景が,韓国人の方から見たらあり得ないような看板ばかり,ということがありました。その後,現地スタッフが送ってくれた写真を参考にしたり,ネットカフェは1階にはないので必ず2階以上にしてくださいとか,細かいアドバイスを頂いて制作をしました。そういう細かい違いも興味深いなと思いました。また,販路は,子会社の営業が頑張って行っていますね。

SUPER STREET FIGHTER 4 ARCADE EDITION (C)CAPCOM U.S.A., INC. 2010, 2011 ALL RIGHTS RESERVED.

SUPER STREET FIGHTER 4 ARCADE EDITION
(C)CAPCOM U.S.A., INC. 2010, 2011 ALL RIGHTS RESERVED.

※4『ストリートファイター』シリーズ:1987年にアーケードゲームとして発売されて以来,シリーズ化されている対戦型格闘ゲーム。海外でも人気が高く,全世界でシリーズ累計3,500万本以上(2013年9月30日現在)を売り上げている。実写映画化や漫画化など様々なメディアミックスが展開されている。

ゲームについても,海外現地での開発はありますか。

保田:そうですね。多数あります。また逆に,現地開発のゲームを日本でも販売するかどうかというのは,我々日本人から見て,ローカライズしても受け入れられないだろうという作品は,海外だけ販売するケースもあります。

2013年1月に発売された『DmC Devil May Cry』(※5)なども海外で開発のタイトルですか。

保田:そうです。『DmC Devil May Cry』は,イギリスの開発会社で開発しました。海外では,日本のゲームファンのお客様も多く,海外のゲーム会社から,弊社とこのゲームを作りたいという熱烈なオファーしてくださるケースもあります。それがきっかけで,海外で開発が始まることもあります。

DmC Devil May Cry (C)CAPCOM CO., LTD. 2013 ALL RIGHTS RESERVED.

DmC Devil May Cry
(C)CAPCOM CO., LTD. 2013 ALL RIGHTS RESERVED.

※5『Devil May Cry』シリーズ:2001年にプレイステーション2で発売されて以来,シリーズ化されている。主人公ダンテを操り,様々な武器や銃火器を使ってコンボを繰り出し,敵を倒すアクションゲーム。アニメ化やパチスロ機など様々なメディアミックスが展開されている。

『カプコン』という社名の由来でもある「カプセルコンピュータ」の「カプセル」には“ゲームコンテンツを,違法なコピー品・粗悪な模造品から守り抜く硬い外殻で保護したい”という思いがこめられていると伺っておりますが,著作権保護の観点で特に力を入れている点を教えてください。

伊達:1社だけで,著作権侵害に対して立ち向かうのは,難しい場合があると思います。ACCS(一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会)を経由して関係する会社と協力して著作侵害対策を行っています。また,弊社単独でも対策を行うケースもあります。例えば,中国ではゲームセンターに置いている筐体(きょうたい)などの偽物が出回っているため,中国の偽物に対して侵害対策手続を行いました。

海賊版等の影響でパッケージソフトの販売が伸びにくい新興国向けには,モバイルコンテンツやPCオンライン等を積極的に販売している等の具体的な実例がございましたら教えてください。

伊達:アジア戦略においては,特に推進しています。アジアでは,海賊版の影響でパッケージが余り売れません。そのため,オンラインゲームの方にシフトしていくというようなことにならざるを得ないと思います。
保田:昔は,ゲームソフトのコピー品を露店で販売しているというのが非常に多かったのですが,最近はインターネットからダウンロードしてくるというケースがほとんどです。弊社も,昔は現地に行って調査したり,探偵を雇って調査した上で摘発する等の対応をしていましたが,今はインターネット上でワールドワイドを対象に検索をかけて警告文を送ったり,削除対応するといった活動をしています。App Storeや,Google Playを調べれば偽物のゲームがたくさんあります。例えば,弊社のキャラクターを無断で使用しているものもありますし,当社のゲームをデッドコピーしたようなゲームもあります。そういう偽物のゲームはマメにチェックしてこちらから削除要請を行っています。

最後の質問になりますが,いわゆるファンアート,例えばコスプレの衣装や,ゲームのプレイ動画のアップロードについては,どのようにお考えでしょうか。

保田:ファンの方が自分で作製されているコスプレの衣装等は,そこまで目くじらを立てるつもりはありません。ただ,最近多いのが,海外の会社がインターネット上でコスプレの衣装を大量販売する等,明らかな営利目的で悪意のあるケースは,警告を送ることもあります。ビジネスとして正規ライセンスを与えてコスプレ衣装を作っていただくこともありますので,営利目的での侵害か,個人の趣味なのかというところで線引きをします。一概に著作権侵害の疑いがあるもの全てに対して対応するわけではなく,我々のビジネスに弊害を与えるような,問題になる可能性のあるようなものだけに対応するようにしています。
 ゲームのプレイ動画については,著作権侵害の問題がある一方で,広告宣伝効果もあると思います。タイトルによっては,あえて静観する場合もあります。ただし,プレイ動画を見ることで,ゲームの結論が分かってしまうような悪質な動画は,削除する場合があります。その他の事例で言うと,数日の違いですが,日本の発売日より前に海外で発売された場合,海外でゲームのプレイ動画がアップされ,日本のお客様がその動画を見てゲームの購入をやめてしまったり,ネタバレによってゲームの楽しみを奪ってしまうようなこともありえますので,そのような動画は削除する場合もあります。ただ,そのプレイ動画の削除も都度選定しています。

インタビュアー 文化庁長官官房著作権課企画審議係主任 横尾 由美子

伊達裕成
 株式会社カプコン 総務・法務統括 法務部長
 2007年2月 株式会社カプコン入社
 2013年12月現在 法務部長

保田祐子
 株式会社カプコン 総務・法務統括 法務部商標著作権チーム長
 1997年4月 株式会社カプコン入社
 2013年12月現在 法務部 商標著作権チーム長

山田健司
 株式会社カプコン 総務・法務統括 法務部商標著作権チーム
 2006年4月 株式会社カプコン入社
 2013年12月現在 法務部 商標著作権チーム 知的財産権担当

中井えみ
 株式会社カプコン 総務・法務統括 法務部商標著作権チーム
 2007年4月 株式会社カプコン入社
 2013年12月現在 法務部 商標著作権チーム 知的財産権担当

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