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文化庁月報
平成26年1月号(No.544)
連載 「いきいきミュージアム 〜エデュケーションの視点から〜」
文学館はむずかしい!?
文学館は多くの人が「むずかしそう・・・」という印象を持っているらしく,若い人も含めたくさんの人に来てもらうのは,なかなかハードルが高いようです。なぜ,「文学館はむずかしそう・・・」なのでしょうか?
それは,展示で紹介される作家のことや本のことを,ある程度読んで知っていなければ,それらがちっとも面白く感じられないからです。ぜんぜん知らない人の生涯や作品の原稿を見ても,何だか取り残されてしまったような気がして,「あ〜あ,来なければよかったなあ」なんて悲しい思いをした経験は,もしかしたら意外と多くの大人が持っているのではないでしょうか?
文学はむずかしくない!
授業でパネルに投票(山梨県立身延高校H24)
啄木と記念撮影(身延町立中富中学校H24)
山梨県立文学館は,県のちょうど真ん中あたりに位置していますが,こんな小さな県でも遠くの学校から足を運んでもらえる機会は多くはありません。交通の便がなく,子供たちが自力で来られないこと,そしてやはり文学館には「勉強」のイメージが根強いためだと思います。
そこで私たちは,「文学館はそんなに難しいところじゃないよ!」「文学は楽しいよ!」というメッセージとともに,多くの学校の児童・生徒のもとへ文学館の展示を届けたいと考え,「移動文学館」を始めました。展示の内容をコンパクトに,そして少しの親しみやすさを加えてパネルなどにまとめ,学校へ貸し出す事業です。
「移動文学館」の第1弾は「石川啄木※セット」。平成24年度の春の企画展の内容をイラスト入りのパネル3枚にまとめ,小柄でかわいらしかったという啄木※に触れてもらうために,等身大パネルも作りました。また,ただ見るだけではなく啄木※の短歌の魅力を知ってもらおうと,10首の短歌パネルを用意し,好きな歌へ投票することができる参加型展示も試みました。
啄木※セットの展開
啄木※の短歌は小中高校のどの教科書にも取り上げられていることから,特に中学校では歓迎され,国語の授業や図書集会などで啄木※セットを使ってもらえる例が出てきました。短歌の授業で啄木※を学んだ後,クラス全員で歌のパネルに投票してくれたり,図書集会で図書委員さんが啄木※の短歌のパネルを使って歌の解説をしてくれたり,その活用の仕方も様々です。文学館の職員が,直接生徒さんたちへ啄木※のお話をさせてもらったこともありました。
先生たちからは「啄木※さん(等身大パネル)が来てびっくりしたけど,生徒がいろんな発見をすることができて親しみが持てた」とか,「授業で活用できたのは今までにない試みでよかった」などの御意見を頂くとともに,生徒さんたちの「かわいい!」とか「ちっちゃい!!」と言ったダイレクトな反応には,私たちも励まされました。
文学館と学校をつなぐ
「移動文学館」を実施してよかったことは,それだけではありません。啄木※セットは,1セットずつ車で直接学校へ届けます。一見,手間がかかるようですが,その時間が学校の先生たちとの対話を生んでくれました。「こんな風に使いましたよ」とか「別にこんなセットがあると有り難いのですが」と言った,学校での啄木※への反応や,新たな貸出セットへの潜在的な需要についても,貴重なお話として伺うことができたのです。いままでとは少し違った新たな距離感で,学校と文学館が近づいてきたような気がします。今年度は学校との対話をヒントに,新しい移動文学館セット「飯田蛇笏・龍太」(ちまちま人形部分はこちら
)を作成しています。郷土の生んだ俳人,蛇笏・龍太親子は子供たちにはちょっとむずかしくて近寄り難い存在ですが,小さくて愛らしい蛇笏と龍太のちまちま人形によって,親しみを感じてもらえたり,興味を持ってもらえるのではと期待しています。
山梨県立文学館
〒400-0065甲府市貢川1-5-35
- 問合せ
- TEL055-235-8080 FAX055-226-9032
- 開館時間
- 【展示室】午前9:00〜午後5:00(入室は午後4:30まで)
【閲覧室・研究室】午前9:00〜午後7:00(土・日・祝日は午後6:00まで) - 休館日
- 月曜日(祝日の場合はその翌日)祝日の翌日(日曜日の場合を除く)
- 観覧料
- 一般310円,大・高生210円,中・小生100円
※65歳以上の方,障害者及び介護者,並びに土曜日の小・中・高・特別支援学校生の観覧は無料です。 - ホームページ
- http://www.bungakukan.pref.yamanashi.jp/


