2014年6月26日
たくさんの「なんだろう?」と「なるほど!」に出会う
親と子のギャラリー「仏像のみかた 鎌倉時代編」
東京国立博物館 教育普及室アソシエイトフェロー 川岸瀬里
仏像って○○○!
あなたならどんな言葉をいれますか?難しい,古い,などでしょうか。
おそらく多くのひとが「仏像」を見たことがあると思います。お寺や美術館,博物館などで本物を見たひと,教科書やテレビなどを通じ画像を見たひと,様々だと思いますがそのときの印象を一言で表現すると,どんな言葉になりますか?
私なら迷うことなく,「仏像っておもしろい!」。
仏像の造形が魅力的だからです。
例えば,鎌倉時代の仏像をいろいろ見ていると,「生きているみたいにリアル!」という魅力に気づくはず。ではどうやってリアルに表現したのでしょうか?
例えばこの仏像の目。
[重要文化財] 十二神将立像(戍神)(部分)
鎌倉時代・13世紀
東京国立博物館 京都・浄瑠璃寺伝来
他の部分は木でできているのに,目だけはキラキラとしています。
人間の目のような潤いを表現するために,水晶を使った玉眼という技法が使われています。こうした工夫がリアルさを生み出しているのです。
このようにじっくり展示室を見ていると,ほかの疑問も次々に湧いてきます。
例えば,何をしている場面を表した仏像だろう,と不思議に思ったことはありませんか?
[重要文化財] 文殊菩薩騎獅像および侍者立像 康円作
鎌倉時代・文永10年(1273)
東京国立博物館
こちらの文殊菩薩は,海を渡っています。どうして海を渡るのでしょうか?
それは,文殊菩薩が中国の五台山という山に住んでいるから。
なるほど,中国と日本の間には海がありますから,文殊菩薩が人々を救いに日本にやってくるには海を渡らなければならないのですね。
また,美しい衣や冠,装飾品を身につけている仏像を見て,豪華だな,と思ったことはありませんか?
豪華なのは仏像の身なりだけではありません。
仏像を納める厨子にも非常に美しく飾られているものがあります。
[重要文化財]愛染明王坐像(上),厨子(下)
鎌倉時代・13~14世紀
この厨子の内側には様々な曼荼羅が描かれています。おそらく,いろいろな願いをこめたのでしょう。
まだまだ疑問は生まれてくるはずです。
仏像を造らせた注文主によって好みが違うことはなかったのでしょうか?
実際に仏像を造ったのはどんな人でしょう?
たくさんの「なんだろう?」を「なるほど!」にするのが,毎夏恒例の親と子のギャラリー。今年の親と子のギャラリーは「仏像のみかた 鎌倉時代編」です。
お子さんだけでなく,おとなの方も,いまさら聞けない疑問を解決する機会になるかもしれません。
「仏像っておもしろい!」,その理由をぜひ展示室で探してみてください。そのヒントに,お子さんにはワークシートもご用意しました。この夏は東京国立博物館にお越しいただき,仏像の魅力を感じ,楽しむ時間を過ごしてみませんか?
東京国立博物館
〒110-8712 東京都台東区上野公園13-9
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(12月までの特別展開催期間中の毎週金曜日は20:00まで,12月7日(日)までの土曜,日曜,祝日,休日は18:00まで開館。特別展による変動あり。) - 休館日
- 毎週月曜日(祝日の場合は翌火曜日に休館。特別展による変動あり)
- 観覧料
- 一般620円(520円),大学生410円(310円)
※( )内は20名以上の団体料金です。
※障害者とその介護者各1名は無料です。入館の際に障害者手帳等を御提示ください。
※満70歳以上,高校生以下および満18歳未満の方は無料です。入館の際に年齢のわかるものを御提示ください。 - ホームページ
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