2015年1月6日
奈良の伝統行事はすごい
奈良国立博物館 学芸部 情報サービス室長・吉澤 悟
奈良は冬がイイです。およそ1,000年前から続く伝統行事が見られるのですから。
12月17日は春日大社の「おん祭」,2月下旬から3月上旬は東大寺二月堂の「お水取り」。どちらの伝統行事も,気が遠くなるほど古いお祭りが,今も絶えずに続けられているのです。お祭りと言っても,お神輿をかつぐような騒がしいものではなく,五穀豊穣や天下泰平を願って,神様や仏様を前につつしみ深く行われる儀式が中心です。これを行う人も,見守る人たちも,みんな真剣。神聖な場で冷たい空気を吸い,歴史的瞬間に立ち会い,身の引き締まるような思いをする。奈良国立博物館では,そんな奈良の伝統行事を紹介する展覧会を開催します。
春日若宮御祭礼絵巻 中巻(奈良・春日大社)
「おん祭と春日信仰の美術」(会期:12月9日~平成27年1月18日)は,春日大社の若宮神をまつる「おん祭」にかかわる展覧会です。春日大社の若宮神は,12月17日の深夜0時に社殿をはなれて,「御旅所」という仮の御殿に移動します。そして翌日の18日の深夜0時前には元の社殿に戻るという,わずか1日だけの「お渡り」をします。「御旅所」では舞楽や田楽,競馬,流鏑馬などが奉納され,これに奉仕する奈良の町中の人々は,時代行列のような姿で神前に向かいます。「おん祭」が始まったのは平安時代,保延2年(1136)からと言いますから,今から約880年前です。展覧会では,お祭りの様子を描いた絵巻や,儀式の場に置かれる「威儀物」という飾りを紹介しています。
一里塚(奈良・春日大社)
「お水取り」(会期:平成27年2月7日~3月15日)は,東大寺二月堂で行われる謎の多い儀式「お水取り」を紹介する展覧会です。二月堂本尊の十一面観音(秘仏)を前に,お坊さんたちが呪文のような「声聞」をとなえ,「五体投地」をはじめとする様々な所作を行います。この始まりは天平勝宝4年(752)と言われ,約1,260年も前から続いています。展覧会では,儀式で使われた法具や法衣,そして二月堂に寄せる信仰を表した絵画作品などを展示いたします。
こうした桁違いに古い伝統行事は世界にも例がありません。冬の奈良で,悠久の歴史にふれてみてはいかがでしょうか。
二月堂縁起絵巻 下巻(奈良・東大寺)
奈良国立博物館
〒630-8213 奈良県奈良市登大路町50番地
- 問合せ
- 050-5542-8600(NTTハローダイヤル)
- 交通
- 近鉄奈良駅下車 登大路町を東へ徒歩約15分
JR奈良駅又は近鉄奈良駅から市内循環バス外回り(2番)「氷室神社・国立博物館」バス停下車すぐ - 開館時間
- 午前9時30分~午後5時まで(入館は各閉館の30分前まで)
- 休館日
- 毎週月曜日(休日の場合はその翌日。連休の場合は終了後の翌日)
- 観覧料
- 一般520円(410円),大学生260円(210円)
※( )内は20名以上の団体料金
※高校生以下及び満18歳未満,満70歳以上の方は無料です(年齢のわかるものが必要です)。
※障害者の方とその介護者各1名の方は無料となります(障害者手帳が必要です)。 - ホームページ
- http://www.narahaku.go.jp/
特別陳列「おん祭と春日信仰の美術」
- 開催期間
- 平成26年12月9日(火)~平成27年1月18日(日)
- 開催時間
- 午前9時~午後5時
※入館は閉館の30分前まで - 休館日
- 毎週月曜日(休日の場合はその翌日。連休の場合は終了後の翌日),1/1
- 観覧料
- 一般520円(410円),大学生260円(210円)
※( )内は責任者が引率する20名以上の団体料金です。
※高校生以下及び18歳未満の方,満70歳以上の方,障害者手帳をお持ちの方(介護者1名を含む)は無料です。
※子供(中学生以下)と一緒に観覧される方[子どもといっしょ割引]は,団体料金が適用になります。
※上記料金で,西新館の名品展「珠玉の仏教美術」(12月9日~)も御観覧いただけます。
※成人の日〔1月12日〕は,今年度に成人を迎えられた方の観覧料が無料となります。
※平成27年1月2日~4日の間に,春日大社境内で配布される小型チラシを御持参の方はこの3日間に限り無料で御観覧いただけます。
※なお,なら仏像館は改修工事のため休館中です。 - 展覧会ページ
- http://www.narahaku.go.jp/exhibition/2014toku/on-matsuri/2014on-matsuri_index.html
特別陳列「お水取り」
- 開催期間
- 平成27年2月7日(土)~3月15日(日)
- 開催時間
- 午前9時~午後5時
※2月8日(日)~2月14日(土)は午後8時30分まで開館(「なら瑠璃絵」開催期間中)
※3月1日(日)~11日(水)・13日(金)・14日(土)は午後6時まで開館(二月堂 お松明の期間)
※3月12日(木)は午後7時まで開館(二月堂 籠松明の日)
※入館は閉館の30分前まで - 休館日
- 2月16日(月),23日(月)
※2月9日(月),3月2日(月)・9日(月)は開館 - 観覧料
- 一般520円(410円),大学生260円(210円)
※( )内は責任者が引率する20名以上の団体料金です。
※高校生以下および18歳未満の方,満70歳以上の方,
障害者手帳をお持ちの方(介護者1名を含む)は無料です。
※中学生以下の子供と一緒に観覧される方は,団体料金が適用になります。
[子どもといっしょ割引]
※2月22日(日)に御夫婦で観覧される方は,一般料金の半額になります。
(毎月22日を[夫婦の日]としています)
※上記料金で,西新館の名品展「珠玉の仏教美術」も御観覧いただけます。
※なお,なら仏像館は改修工事のため休館中です。 - 展覧会ページ
- http://www.narahaku.go.jp/exhibition/2015toku/omizutori/2015omizutori_index.html