2015年10月9日
琳派誕生400年記念特別展覧会「琳派 京を彩る」
京都国立博物館教育室長 山川曉
2015年は,琳派誕生400年,尾形光琳没後300年という節目の年。それぞれを記念し,各地で琳派に関する展覧会が開催されていることを御存知ですか?この琳派イヤーの最後を飾るのが,京都国立博物館の琳派展です。
琳派とは,江戸時代に活躍した俵屋宗達・尾形光琳・酒井抱一という,三人の絵師によって代表される流派です。その芸術の特質は,純日本的,装飾的あるいはデザイン的と評されます。この流派名,実は,光琳の名の一部をとって近代の研究者が名づけたもの。三人に直接の師弟関係はありません。光琳は宗達を,抱一は光琳を,それぞれ作品を通して発見し,憧れ,摸写を通して自ら琳派の流れに加わったのです。名高い絵師たちによる絵画ばかりが注目されがちな琳派ですが,その芸術は,広く工芸にも及んでいます。琳派が本質的に共有するのは,暮らしを飾ろうとする美意識。このような琳派の骨格を作り上げたのが,書家であり漆芸や陶芸にも関わった本阿弥光悦です。
国宝 風神雷神図屏風
俵屋宗達筆
京都・建仁寺
(全期間展示)
本展の核となるのは,琳派の源泉となった二人の芸術家,光悦と宗達。刀剣の手入れや鑑定を生業とする京の上層町衆に生まれた光悦の抱いていた美意識と様々な芸術への関与,そして履歴がほとんど知られず謎の絵師とも称される宗達とその工房の画業を丁寧に紹介します。
重文 風神雷神図屏風
尾形光琳筆
東京国立博物館
(10月10日~11月8日展示)
それに続いて,同じく京の呉服商・雁金屋に生まれた芸術家兄弟,光琳と乾山について,それぞれの手になる名作の数々を披露するとともに,当館が所蔵する尾形光琳関連資料を織り交ぜ,両者の人物像や光琳の制作背景へと迫ります。
風神雷神図屏風
酒井抱一筆
東京・出光美術館
(10月27日~11月23日展示)
光琳・乾山は,共に晩年江戸へ下向しました。そのことにより,琳派の流れは江戸へも分岐します。そこへ加わったのが,酒井抱一です。姫路藩主酒井家の次男という身分にあった抱一は,琳派に傾倒し,作画を行うだけでなく,光琳百年忌を催すなど光琳の顕彰と研究を行い,現在の琳派研究の礎を築きました。
国宝 八橋蒔絵螺鈿硯箱
尾形光琳作
東京国立博物館
(11月3日~11月23日)
いまもそこここに琳派の面影を感じることができる京都。京都国立博物館の目の前には宗達の描く障壁画が堂内を飾る養源院,洛中に足を伸ばせば光琳・乾山兄弟の墓所がある妙顕寺,そして洛北には琳派400年の契機となった光悦拝領の地・鷹峯が所在します。
展覧会を楽しんだ後は,ぜひ琳派誕生の地・京都の街を歩き,現代に息づく琳派を探しに出かけてみてください。
京都国立博物館
(住所)〒605-0931 京都市東山区茶屋町527
- 問合せ
- 075-525-2473(テレホンサービス)
- 交通
- ◎JR京都駅下車,市バスD1のりばから100号,D2のりばから206・208号系統にて博物館・三十三間堂前下車,徒歩すぐ
◎京阪電車七条駅下車,東へ徒歩7分 - 開館時間
- 9:30~17:00(入館は16:30まで)
- 休館日
- 月曜日(月曜が祝日・休日の場合は開館,翌日休館)
また,下記の期間は全館休館
9月14(月)~10月9日(金)
11月24日(火)~12月14日(月)
12月26日(土)~2016年1月1日(金)
2016年3月22日(火)~4月11日(月)
琳派誕生400年記念特別展覧会「琳派 京を彩る」
- 開催期間
- 10月10日(土)~11月23日(月・祝)
月曜休館 (※ただし10月12日,11月23日は開館し,10月13日は休館) - 開催時間
- 午前9時30分~午後6時,金曜日は午後8時まで(入館は閉館の30分前まで)
- 観覧料
- 一般¥1500(1300),大学生¥1200(1000),高校生¥900(700),
※( )内は前売り及び団体料金(有料の方が20名以上の場合)。
※障がい者の方とその介護者1名の方は無料(障がい者手帳をご提示ください) - ホームページ
- 京都国立博物館ウェブサイト
http://www.kyohaku.go.jp/jp/index.html
琳派誕生400年記念特別展覧会「琳派 京を彩る」公式サイト
http://rinpa.exhn.jp/