2016年8月1日
親と子のギャラリー「美術のうら側探検隊」
東京国立博物館 学芸企画部 博物館教育課 教育普及室研究員
三田 覚之
東京国立博物館では,年2回のペースで特集展示「親と子のギャラリー」を行っています。これは子供たちに文化財のすばらしさをより分かりやすく伝える取り組みなのですが,大人のみなさんからも「分かりやすい」「博物館に親しみがわいた」と好評を頂いている名物展示です。
今年は「あつまれ!トラのなかまたち」(4月12日 ~ 5月22日)に引き続き,夏休み企画として「美術のうら側探検隊」(7月5日 ~ 8月28日)を開催します。博物館では調査の一環として,時には作品を裏返したり,中を覗いたりしながら,構造や技法などを調べています。そうした特殊な機会でしか知ることのできない,いわば「作品の秘密」を新しい鑑賞体験として提示する企画。普段の博物館では見ることのできない「うら側」からの視点で,作品の持つ隠された情報や魅力に迫ってもらえたらと思います。
会場では懐中電灯や作品模型を使ったハンズオンも盛り込み,自分で体験し発見をうながす展示を目指します。その成果は子供たちに会場で配布する「美術のうら側探検報告書」というワークシートに書き込むことができ,夏休みの宿題としても最適です。
それでは,ここでいくつか注目の作品を紹介しましょう。
「埴輪 盾持人」茨城県つくば市下横場字塚原出土
古墳時代・6世紀
墳墓を守るため,楯を持った姿の埴輪です。みなさん埴輪の中って覗いたことがありますか?中を覗くと,粘土ヒモを積み重ねて造形していった痕跡を見ることができます。
「難波屋おきた」喜多川歌麿筆
江戸時代・18世紀
両面ずりという特殊な技法で,一枚の紙に「おもて」と「うら」の姿を表した珍しい作品です。「おきた」は江戸三美人に数えられた,江戸時代の「会いに行けるアイドル」です。
「魔鏡」 江戸時代・18世紀
反射した光の中に文字や模様が浮かび上がる特殊な鏡。この作品の場合は「南无阿弥陁佛」の文字が現れます。秘密は鏡背に鋳造された文字にあり。表面を磨いていくと,うら側の凹凸にしたがって微妙な「ひずみ」が生まれ,光を当てると不思議な現象をおこします。
東京国立博物館
(住所)〒110-8712
東京都台東区上野公園13-9
- 問合せ
- 03-5777-8600(ハローダイヤル)
- 交通
- JR上野駅公園口,鶯谷駅南口より徒歩10分 東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅,東京メトロ千代田線根津駅,京成電鉄京成上野駅より徒歩15分
- 開館時間
- 開館時間:9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで)
・12月までの特別展開催期間中の金曜日は20:00まで
・7月・8月の水曜日は20:00まで
・9月までの土・日曜,祝日は18:00まで
・黒田記念館は17:00まで - 休館日
- 月曜日(月曜日が祝日・休日の場合は開館,翌日休館) ※8月15日(月)は開館
年末年始
*特別展等の開催に伴い,開館時間及び休館日は変更になることがあります。 - 観覧料
- 総合文化展観覧料金:
一般=620(520)円 大学生=410(310)円
・( )内は20名以上の団体料金
・障がい者とその介護者1名は無料(入館の際に障害者手帳等を御提示ください。)
・満70歳以上,高校生以下及び18歳未満の方は無料(入館の際に年齢のわかるもの(生徒手帳,健康保険証,運転免許証など)を御提示ください。)
・敬老の日(9月19日〈月・祝〉)は,総合文化展のみ無料
親と子のギャラリー「美術のうら側探検隊」
- 開催期間
- 7月5日(火)~8月28日(日)
- 開催場所
- 東京国立博物館 本館特別2室
- ホームページ
- 東京国立博物館ウェブサイト
http://www.tnm.jp/