2017年2月8日
冬期企画展 飛鳥の考古学2016
飛鳥むかしむかし 早川和子原画展
奈良文化財研究所 飛鳥資料館 アソシエイトフェロー 小沼美結
飛鳥資料館では,飛鳥地域での発掘調査の速報や,研究成果などを伝える企画展を「飛鳥の考古学」と題して毎年開催しています。11回目となる今回は,朝日新聞奈良版の連載「飛鳥むかしむかし」の挿絵に使われたイラスト原画を通して,古代飛鳥の歴史を御紹介します。
7世紀後半頃に甘樫丘から眺めた飛鳥の風景
「飛鳥むかしむかし」は,飛鳥・藤原を舞台にした日本国誕生の歴史を研究者がわかりやすく解説した連載で,2013年4月から約3年間,116回にわたって好評を博しました。そして,その記事の挿絵をすべて担当したのが,復元画家の早川和子さんです。早川さんは,かつて多くの人やものが行き交い,異国情緒あふれる華やかな文化が栄えた飛鳥の情景を,美しく描き出してくれました。
早川さんの復元画は,単なる想像図ではありません。「飛鳥むかしむかし」では,記事の執筆担当者と早川さんが,何度も打合せを重ねてイラストを作り上げました。発掘調査の成果や出土遺物,文献資料などから可能な限り復元の根拠を探し出し,それをイラストに盛りこむことで,飛鳥のすがたを忠実に再現しました。もちろん構図やシチュエーション,人々の表情や動作には,早川さんの遊び心が満ちあふれ,そのイラストからは,人々の笑い声や,飛鳥に吹きわたる風の音まで聞こえてきそうです。
瀬田橋を突破して近江朝廷軍に迫る大海人軍の勇士
例えば,このイラストでは,登場人物の動いた瞬間を切り取ることで,臨場感の伝わるシーンが描かれています。このように,構図や登場人物の配置にも早川さんの工夫が見られます。
飛鳥時代後半の下級役人の食事風景
このイラストの一番左にいる役人は記事の執筆担当者をモデルに描かれました。ユーモアを交えながら,生き生きと描かれる昔の人々の様子も早川さんのイラストの魅力です。
本企画展の会場には,「飛鳥むかしむかし」の挿絵に使われたイラストの原画に加え,新たに描かれたイラスト原画,復元画制作の舞台裏のようすを展示します。飛鳥の歴史をふりかえりながら,原画の持つ色合いの美しさや温かみも感じていただける機会となっています。この冬は,飛鳥資料館で,早川和子さんの復元画の世界をお楽しみください。
飛鳥むかしむかしに登場したみなさん
奈良文化財研究所 飛鳥資料館
(住所)〒634-0102 奈良県高市郡明日香村奥山601
- 問合せ
- 0744-54-3561
- 交通
- 近鉄橿原神宮前駅・飛鳥駅から
かめバス(周遊)「飛鳥資料館」下車
近鉄・JR桜井駅から
石舞台行きバスで「飛鳥資料館」下車
近鉄大和八木駅から(土・日・祝日のみ)
橿原市コミュニティバスで「飛鳥資料館」下車
駐車場は無料(普通車11台) 近くに有料駐車場あり - 開館時間
- 9:00~16:30(入館は16:00まで)
- 休館日
- 月曜休館 ただし3月20日(月)は開館
- 観覧料
- 一般270円(170円)・大学生130円(60円) ( )内は団体料金
高校生及び18歳未満,65歳以上(年齢のわかるものが必要)は無料 - 開催期間
- 1月24日(火)~3月20日(月・祝)
- ギャラリートーク
- 早川和子さんによる生解説!(事前申込み不要)
第1回 3月12日(日)午前の部 10:30~ / 午後の部 13:30~
第2回 3月18日(土)午前の部 10:30~ / 午後の部 13:30~ - ホームページ
- 奈良文化財研究所 飛鳥資料館公式サイト