2017年9月14日
開館120周年記念特別展覧会「国宝」
展示品すべてが国宝!
京都国立博物館 学芸部工芸室 降矢哲男
今年,京都国立博物館(京博)は開館して120年を迎えます。また,日本の法令上「国宝」という言葉が初めて使われた「古社寺保存法」の制定から,ちょうど120年に当たる年でもあり,こうした節目の年に,関西では41年ぶりとなる「国宝」展を開催することになりました。
国宝 深鉢型土器(火焔型土器) 新潟県笹山遺跡出土 十日町市(十日町市博物館保管)
【10月3日~29日展示】撮影;小川忠博
今回で3度目となる京博の国宝展では,200件以上の国宝を大きく4期に分け,一挙公開します。2017年までに指定されている国宝のうち,建造物を除く美術工芸品は885件にのぼりますが,そのうちの約4分の1が展示されることになります。数年,数十年に一度,出会えるかどうかわからない作品たちが,これほどの件数で一堂に会することはめったにありません。国宝を充分に堪能できる貴重な機会といえるでしょう。
また,本展覧会では,四つの主題を設定し,展示構成を行います。一つ目は京博が所在する京都を中心とした,関西地域にゆかりのある作品。二つ目は縄文土器などに代表されるように日本独自の文化を示す作品。三つ目は,日本文化が大きく影響を受けてきた中国や朝鮮半島の作品を展示します。
国宝 天橋立 雪舟筆 京都国立博物館
【10月3日~29日展示】
また,京博の展示作品は,考古,彫刻,絵画(仏画,絵巻物・肖像画,中世絵画,近世絵画,中国絵画),書跡,染織,金工,漆工,陶磁という12のジャンルで構成されており,専門の研究員によってそれぞれが担当されています。その各分野の強みを活かし,四つ目の主題として,日々の調査・研究内容,これまで開催してきた数多くの展覧会での成果をもとに展示を行います。例えば,「画聖雪舟,全六件の国宝を1室で公開」,「長谷川等伯・久蔵,奇跡の親子共演」,「火焔型土器ナンバーワン,16年ぶりの県外公開」など,国宝を将来に伝えるための研究員の活動成果を発表する場であることも見どころの一つであります。
国宝 桜図壁貼付 長谷川久蔵筆 京都・智積院
【10月24日~11月12日展示】
国宝 松林図屏風 左隻 長谷川等伯筆
東京国立博物館
【10月31日~11月12日展示】
我々の先人たちは,外来文化を柔軟に取り入れながら,独自の美意識をもって,世界に類をみない固有の文化を育んできました。そこには何百年,何千年という時を超えてきたドラマがあり,国宝はその結晶ともいえます。是非,会場にお越しいただき,実際に作品を目にし,みなさん一人ひとりの「国宝物語」を見つけてもらえれば幸いです。
京都国立博物館
(住所)〒605-0931 京都府京都市東山区茶屋町527
- 問合せ
- 075-525-2473(テレホンサービス)
- 交通
- JR京都駅下車 市バスD1のりばから100号,D2のりばから206・208号系統にて「博物館・三十三間堂前」下車,徒歩すぐ
京阪七条駅下車 徒歩7分 - 開館時間
- 午前9時30分~午後6時まで
※毎週金,土曜日は午後8時まで
(入館は閉館の30分前まで) - 休館日
- 毎週月曜日(休日の場合は開館し,翌火曜日休館)
- 観覧料
- 一般\1,500(1,300), 大学生\1,200(1,000), 高校生\900(700)
- ※()内は20名以上の団体料金
- ※中学生以下,障がい者とその介護者1名は無料となります(要証明)
- ※キャンパスメンバーズは,学生証を御提示いただくと団体料金になります。
- ※前売り券の販売期間は7月7日(金)~10月2日(月)
- ホームページ
- http://kyoto-kokuhou2017.jp/