2015年5月14日
マグリット展
国立新美術館副館長 南雄介
ルネ・マグリット(1898-1967)は,20世紀ベルギー美術を代表する芸術家として,またシュルレアリスム運動にかかわった最も重要な画家の一人としても知られています。シュルレアリスムは,1924年にパリでアンドレ・ブルトンによって創始された芸術運動で,フロイトの精神分析理論の影響を受け,人間の無意識の中に生や芸術の根源を探ろうとしました。これに対して,生涯のほとんどをベルギーの首都ブリュッセルで過ごしたマグリットのシュルレアリスムは,日常的なオブジェ(モノ,事物)とそのイメージ,そしてそれを指し示す言葉との関係を再検討することによって,現実に対する人間の態度や認識の枠組みを変革しようと試みます。
マグリットが描いた世界では,見慣れた日常世界の現実的な光景のなかに,普通ではない不思議な要素が挿入されています。この不思議さには,誰もが新鮮な驚きを感じるのではないでしょうか。科学がいかに進んでも,なぜ世界がこのような形でそこにあるのかという疑問は,永遠に消えることがありません。マグリットの作品は,この神秘と謎を表現しているので,今なお多くの人たちをひきつけているのではないかと思います。
今回の「マグリット展」は,日本では13年ぶりに開催される大回顧展で,ブリュッセルのベルギー王立美術館とマグリット財団との協力を得て,画家の祖国ベルギーをはじめ,10か国以上の美術館や個人コレクションから,約130点もの絵画作品が出品され,その中には画家の代表作も多数含まれています。また,画家としての活動のほかにも,商業デザインの仕事,貴重な雑誌やカタログなどの参考資料,そして余技的に制作した8ミリ映画や写真も,紹介しています。質量ともに,現在望みうる最高レベルのマグリット展であるといえましょう。
国立新美術館
(住所)〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2
- 問合せ
- 03-5777-8600(ハローダイヤル)
- 交通
- 東京メトロ千代田線 乃木坂駅 青山霊園方面改札6出口(美術館直結)
東京メトロ日比谷線 六本木駅 4a出口から徒歩約5分
都営地下鉄大江戸線 六本木駅 7出口から徒歩約4分 - 開館時間
- 10:00~18:00 金曜日は20:00まで
4月25日(土)は22:00まで
5月23日(土),24日(日),30日(土),31日(日)は20:00まで
入場は閉館の30分前まで - 休館日
- 毎週火曜日休館 ただし,5月5日(火),5月26日(火)は開館
- 観覧料
- 当日 1,600円(一般) 1,200円(大学生) 800円(高校生)
団体(20名以上) 1,400円(一般) 1,000円(大学生) 600円(高校生)
※中学生以下および障害者手帳をご持参の方(付添の方1名を含む)は入場無料
※3月25日(水)~4月13日(月)は高校生無料観覧日(学生証の提示が必要) - ホームページ
- http://magritte2015.jp/