2018年3月6日
作品と参加者を結ぶ工芸館ガイドスタッフのあり方
東京国立近代美術館 工芸課研究補佐員 西岡梢
工芸館では,来館された方に工芸の鑑賞をより楽しんでいただくために様々なプログラムを行っております。例えば,ギャラリートークや,現役作家によるワークショップ,夏には子供向けの様々なワークショップも行っています。中でも今回御紹介したいのが,「タッチ&トーク」です。このプログラムは,展覧会会期中の水・土曜日の14:00~開催しているもので,工芸館ガイドスタッフと呼ばれるボランティアによって実施されています。タッチ&トークとは,人間国宝から若手作家まで様々な作家がつくった作品を実際に手にとって鑑賞できる〈さわってみようコーナー〉と会場で対話を通して鑑賞を深める〈会場トーク〉を組み合わせたプログラムです。作品を実際に手にとって,その手ざわりやにおい,音など,五感を最大限に活用しながら鑑賞していくと,ガラス越しでは分からなかった作品の重さ,質感,作られ方など,様々なことに気がつきます。
ただ作品をさわってみるという体験だけにとどまらないのがタッチ&トークであり,ここで重要なのが作品と参加者の橋渡し役であるガイドスタッフの役割です。ガイドスタッフは,参加者の発言を受け入れ,寄り添いながら作品の魅力を引き出し,一緒に楽しみながら鑑賞していきます。そして,一方的に情報提供をするのではなく,参加者自身が気づいたこと,感じたことなどにひも付けながら必要に応じて情報を提供し,鑑賞を深めていきます。
情報提供は必要最低限ですが,そのために多くの時間をかけて紹介したい作品について資料を調査し,ガイドプランを作成します。情報をたくさん得ると,ついたくさんのことを伝えたくなってしまいますが,参加者の発言にひも付けながら情報提供することで,参加者自身の見る力を引き出し,実感を持って鑑賞を深めることができると考えています。そのためにもまずはガイドスタッフ自身が作品とじっくり向き合い,様々な視点を持って鑑賞することが大切だと思っています。
現在工芸館では31名のガイドスタッフが活躍しています。毎回の担当者により取り扱う作品は異なりますので,初めての方にもリピーターの方にも様々な作品を楽しんでいただけることもこのプログラムの魅力の一つです。事前申込みは不要ですので,是非工芸館にいらした際には,水・土曜日14:00~のタッチ&トークで,いつもとは一味違った作品との出会いを楽しんでみてはいかがでしょうか。
東京国立近代美術館工芸館
(住所)〒102-0091 東京都千代田区北の丸公園1-1
- お問合せ
- 03-5777-8600(ハローダイヤル)
- 交通
- 東京メトロ東西線「竹橋駅」1b出口徒歩8分
東京メトロ東西線・半蔵門線・都営新宿線「九段下駅」2番出口徒歩12分 - 開館時間
- 10:00~17:00(入場は閉館30分前まで)
- 休館日
- 毎週月曜日(祝日の場合は開館,翌平日休),展示替え期間,年末年始
- 観覧料
- (所蔵作品展)一般\250, 大学生\130
高校生以下及び18歳未満,65歳以上,障害者手帳をお持ちの方とその付添い者(1名)は無料。
※特別展は展覧会により異なる。 - ホームページ
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