2018年4月6日
国立映画アーカイブ開館記念
映画を残す,映画を活かす。
国立映画アーカイブ 主任研究員 冨田 美香
2018年4月1日,日本で6番目の国立美術館が誕生しました。日本では初めての国立の映画専門機関,「国立映画アーカイブ」です。私たち国立映画アーカイブの歴史は,1952年に設置された東京国立近代美術館(当時は国立近代美術館)のフィルム・ライブラリー事業から始まり,この東京・京橋の地を拠点に,映画及び映画関連資料を収集・保存し公開していくアーカイブ活動を,多くの映画人・関係者,映画批評家・研究者,そして映画を愛する人々の協力をいただきながら,行ってきました。
その国立映画アーカイブ開館記念の企画上映第一弾は,私たちが掲げるモットーの「映画を残す,映画を活かす。」をタイトルにしています。多くの映画人と関係者,フィルム所有者の協力を得て映画アーカイブに収集・保存された8万本を超えるフィルムの中から,日本映画史上の代表的な映画人,トピックをおさめた映像を厳選し,その映画人の代表作や近年の復元作と併せて紹介します。
生きものの記録
小津安二郎,黒澤明,衣笠貞之助,稲垣浩といった世界的にも高く評価されている映画史上の監督たちの演出風景や,成瀬巳喜男,五所平之助,マキノ雅弘監督たちのプライベート映像,そして日本初の映画スター・尾上松之助や,阪東妻三郎など,日本映画の歴史を築いた映画人たちの姿があざやかによみがえります。また,黒澤明監督の『生きものの記録』(1955年)と五所平之助監督の『煙突の見える場所』(1953年)は,1950年代のほとんどの日本映画が失ってしまった可燃性のオリジナルネガが現存しており,そこから新たにニュープリントを作製して上映します。現在のフィルムラボが,そのもてる技術を駆使して作製したこの2作のニュープリントからは,映画が公開された当時の驚くほど豊かな階調とシャープでつややかな白黒の映像の魅力を,御堪能いただけます。
煙突の見える場所
「映画を残す,映画を活かす。」は,映画の魅力,フィルムの特質に深く触れられる機会であり,映画アーカイブの活動を支えるラボの技術と,貴重なフィルムを託した映画人・関係者の功績に思いをはせる機会となるでしょう。映画を,芸術として,歴史的文化資産として大切に保存すると同時に,来るべき世代も今と同じように作品本来の表現を鑑賞できるようにする,その意義と必要性を感じていただけることを願っています。皆様の御来場をお待ちしています。
国立映画アーカイブ開館記念 映画を残す,映画を活かす。
(住所)〒104-0031 東京都中央区京橋 3-7-6
- お問合せ
- 03-5777-8600(ハローダイヤル)
- 交通
- 東京メトロ銀座線京橋駅下車,出口1から昭和通り方向へ徒歩1分
都営地下鉄浅草線宝町駅下車,出口A4から中央通り方向へ徒歩1分
東京メトロ有楽町線銀座一丁目駅下車,出口7より徒歩5分
JR東京駅下車,八重洲南口より徒歩10分 - 開館時間
- 会期:2018年4月10日(火)~4月22日(日)※開館は11:00からです。
- 休館日
- 毎週月曜日
- 観覧料
- 一般520円/高校・大学生・シニア310円/小・中学生100円/
障害者(付添い者は原則1名まで),キャンパスメンバーズは無料
前売り券等,詳細についてはホームページを御覧ください。 - ホームページ
- 国立映画アーカイブ