2018年6月20日
テーマ別に所蔵作品を見る
国立国際美術館 美術室長 中西 博之
中原浩大《レゴ》1990-91年 国立国際美術館蔵
あらゆる領域において情報が氾濫し,グローバル化と多様化が進む今日では,美術館における収蔵品の展示方法も,時代別・地域別という正統な方法が十分には機能しなくなってきています。実際のところ,欧米の現代美術館には,テーマ別で所蔵作品展を開催するところも出てきています。この点でよく知られているのは,イギリスの美術館テート・モダンや,ニューヨーク近代美術館です。
「視覚芸術百態:19のテーマによる196の作品」展は,国立国際美術館の収蔵品を19のテーマに分けて御覧いただくものです。テーマとして選んだのは,いま改めて考えてみる意義が感じられるものです。具体的には,「点・線・面」,「色彩」,「素材と形態」,「空間」,「光」,「動き」,「スケール」,「視点」,「台座と支持体」,「タイトル」という10個の「作品の要素」であり,「人」,「動物」,「自然」,「物」,「文字」,「流用」,「ミュージアム」という7個の「描写の対象」に大別できます。また,現代美術で頻繁に用いられる手法である「反復」と「偶然」を,それらに加えています。このようなテーマは,近年盛んに論じられている,現代の美術作品を語るための今日的な視点と言えます。
展示作品は,テーマを象徴する典型的な作品から,意外に思えるような作品まで様々です。新収蔵作品も約50点含まれています。典型的な作品の中には,ピカソなどの歴史的な名品も含まれています。
本展の展示とカタログの大きな特徴は,そうした出品作品が,多種多様なつながりの感じとれる組み合わせになっている点です。人は日常生活のあらゆる場面において,類似性に基づいて推論を行なっていますが,本展では,この人の基本的な特性を踏まえて,類似をきっかけとして鑑賞者の思考がおのずと進んでいくことを狙っています。
この特別な所蔵作品展は,各自が持つ美術についての知識を再確認するにとどまらず,新たな発見があり,美術を見つめ直すきっかけにもなると考えています。
国立国際美術館
(住所)〒530-0005 大阪市北区中之島4-2-55
- お問合せ
- 06-6447-4680
- 交通
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Osaka Metro四つ橋線「肥後橋駅」(3番出口)から西へ徒歩約10分
JR「大阪駅」,阪急電車「梅田駅」から南西へ徒歩約20分
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阪神電車「福島駅」(3番出口)から南へ徒歩約10分
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大阪シティバス「大阪駅前」から,53号75号系統で,「田蓑橋」下車,南西へ徒歩約3分 - 開館時間
- 火曜日~木曜日,日曜日 10:00~17:00
金・土曜日は20:00閉館(入場は閉館30分前まで) - 休館日
- 月曜日
- 観覧料
- 一般900円(600円),大学生500円(250円),( )内は20名以上の団体料金
夜間割引料金(対象時間:金・土曜日の17:00~20:00):一般700円,大学生400円
高校生以下,18歳未満無料(要証明)
心身に障がいのある方とその付添い者1名無料(要証明) - ホームページ
- http://www.nmao.go.jp/