2014年8月19日
アンケートを通した利用者とのキャッチボール
那覇市立壺屋焼物博物館 学芸員 吉田健太
アンケート。博物館に必ずと言っていいほど置いてあるものです。来館者と博物館を結ぶ重要なツールでもあるのですが,なかなか書いてもらえず,アンケート用紙がさみしくポツンと置かれていることが多々ありました。
館内におかれたアンケート
書いてもらう数が少なければ,意見も当然集まらない。当初はアンケートの回収率をどのようにしてあげていくか,が課題でした。そこで学校授業の一環として博物館に来館することの多い小学生に絞って書いてもらうことにしました。学校側の協力のもと,博物館見学後アンケートを持ち帰っていただき,事後授業で子供たち及び担任の先生にアンケートを記入してもらい,博物館に送ってもらうこととしました。小学生3・4年生の利用が多いため,いろいろと書いてもらうことを期待して,アンケートの記入項目も簡単なものとしました。
改良したアンケート
結果としてアンケートの回収率は上がり,様々な意見を得ることができました。当館は沖縄の伝統工芸である「壺屋焼」を中心とした焼き物専門の博物館です。そのため壺屋焼の実物をさわってもらったり,窯跡を間近で見てもらったりしてもらい,沖縄の焼き物の歴史を身近に感じてもらうため,そうして触ってもらう「焼き物の違い」や手作り模型で説明した「窯の構造」は好評だったのに対し,「陶工って何?」「湯呑みって何?」という学芸員が疑問を持たずに使っていた言葉への質問や,「話すペースが速い」「メモする時間が欲しい」「○○の箇所がわかりづらい」などの説明全体へのハッとさせられる意見もありました。
現在ではアンケートが学校より届く毎に,アンケートの分析・反省のためのミーティングを行っております。そしてわからなかった言葉をかみ砕いて意味が通じやすくなるようして,わかりやすい説明,言葉づかい,話すリズムなどを工夫するようにしております。
違いが体感できる「やちむんセット」
これまでアンケートは来館者の任意で記入してもらいましたが,現在は学校案内の場合,見学に来た全員にアンケートを書いてもらっております。博物館に来ても質問ができる子というのはどうしても限られてきます。その場で質問するというのは,多数の小学生にとってハードルが高いことだと思います。学校に戻ってからリラックスした雰囲気で全員に書いてもらうことは,その場で聞くよりもはるかにハードルが低くなり,アンケートにいろいろと書いてくれたのだと思います。
回収したアンケートは職員に回覧され,ミーティングをもって利用者の声を反映させた行動に試行錯誤をして,日々の取り組みに生かしています。ただアンケートの活用はまだ試行段階です。書いてもらったアンケートには質問がたくさん書かれていました。今後はその質問に対して,何らかの返事ができるような体制を整えていき,アンケートを書いてくれた人たちと様々なキャッチボールができるようになればと考えております。
那覇市立壺屋焼物博物館 外観
那覇市立壺屋焼物博物館
〒902-0065 沖縄県那覇市壺屋1-9-32
- 問合せ
- 098-862-3761
- 交通
- 沖縄都市モノレール牧志駅から徒歩12分
- 開館時間
- 10:00~18:00(最終入館は17:30まで)
- 休館日
- 月曜日・年末年始
※ただし,月曜日が国民の祝日に当たる場合は開館します。
※その他,資料整理に伴う臨時休館日があります。 - 観覧料
- 一般315円,高校・大学生210円,中・小学生105円
※那覇市内の幼,小,中,高生は観覧料が無料で見学できます。
※各種割引もございます。詳しくはお問合せください。 - ホームページ
- http://www.edu.city.naha.okinawa.jp/tsuboya/