2014年11月26日
ワークショップ「石見美術館の制服をデザインしよう!」
―デザイン・制作・ファッションショー―
島根県立石見美術館 主任学芸員 廣田理紗
子供たちに,ものづくりの楽しさや苦労を総合的に体験してほしい。そんな思いから,今年8月,ワークショップ「石見美術館の制服をデザインしよう!」を実施しました。
ワークショップのチラシ
これは,当館でチケット販売や展示室の監視業務にあたる職員の制服を参加者が自らデザインし,制作して,その上ファッションショーで発表するという盛りだくさんなもの。ボランティアスタッフ,学芸員実習の学生スタッフなど様々な人の助けを借りながら,約1か月にわたって実施しました。当館の収集方針の一つがファッションであることに加え,同時期に開催中の企画展(1950~60年代の優れた日本製品を展示し,そのデザインの美しさを紹介する内容)に,航空会社の制服が展示されることにちなみ企画したものです。参加したのは小学校3年生から6年生までの,6人の女の子達でした。
初日は,学芸員がデザインについての簡単なレクチャーをし,その後実際に制服を着用して働いている職員へインタビューする活動を行いました。参加者は,今の制服の好きなところ,改良を望むところ,仕事内容などを細かに聞き取り,また仕事現場を見学して働く際の身体の動きを確認したりしました。そして制服のデザインに取りかかると,「やっぱこの色のイメージなんだよね」と当館の壁や床材の赤茶色をテーマカラーとして取り入れたり,「しゃがむ作業が多いって聞いた」と上着の丈を長くして背中が出ない工夫をしたりするなど,レクチャーやインタビューで得た様々な情報をくみ取り,実に見事にデザインに活かしていました。
参加者の一人が書いたデザイン画
左のデザイン画を元に制作した制服
次に服の制作ですが,まずはそのための準備をスタッフが総出で行いました。デザイン画から出来上がりを想像して一つ一つ型紙をおこし,使う布地の柄や厚さの細かい指定を元に素材を発注して,デザインのイメージを可能な限り実現させるために力を尽くしました。その後,実際に制作する場面では,少し難しい作業も可能な限り参加者自身で行いました。本格的な裁縫の経験のない子がほとんどでしたので,ミシンの使い方の「いろは」から教え始めましたが,2日間の制作時間が終わる頃には返し縫いや糸の始末を難なくできるほどになりました。
制作風景
ファッションショー
最後はファッションショーです。参加者は自ら制作した制服を着て舞台に立ちました。劇団を主宰している演出家の先生,即興演奏の得意なピアニストの先生の力を借りて,歌あり踊りありのミュージカル仕立てのショーを作り上げ,発表しました。その中には,「作るの大変,難しい」「だけどもっとつくりたくなる」と参加者がこのワークショップで抱いた感想を歌詞にしたオリジナルの曲も含まれ,ショーはワークショップに携わったスタッフ全員にとっても,大変思い出深い時間となりました。
島根県立石見美術館
〒698-0022 島根県益田市有明町5-15 島根県芸術センター「グラントワ」内
- 問合せ
- 0856-31-1860(代表)
- 交通
- 萩・石見空港から約6km(連絡バスでJR益田駅まで約15分),
JR益田駅から徒歩15分 - 開館時間
- 10:00~18:30(展示室の入場は18:00まで)
- 休館日
- 毎週火曜日(祝日の場合開館,翌平日休館)/年末年始
- 観覧料
- 当日券/
一般:1,000(800)円,企画・コレクション展セット1,150(920)円
大学生:600(450)円,企画・コレクション展セット700(530)円
小中高生:300(250)円,企画・コレクション展セット300(250)円
※小中高生の学校利用は入場無料
※障害者手帳保持者および介助者は入場無料
- ホームページ
- http://www.grandtoit.jp/