2015年5月13日
驚異資料館のつくりかた
大東市立歴史民俗資料館副館長 武井二葉
ちいさい手のひらには「驚異」であふれています。私たちは年齢を重ねても、自分の好奇心を刺激する「驚異」と出会う機会を待っています。ミュージアムの展示は、その名が何であるかを教えてくれますが、「驚異」を見つけることはできるのでしょうか。
1.学芸員体験講座-カルチャーセンターではありません、実学です-
「初日の館長挨拶はよく覚えています。『今日から市民学芸員としての勉強が始まります。ここでは、それを実地に生かしていただくための勉強です。勉強だけでいい方は今からでも遅くありません。(よその講座)に行っていただいて結構です。』」
『市民学芸員REPORT創刊号』より抜粋※1
「市民学芸員講座」(現「学芸員体験講座」)の1回目は、まずこの館長挨拶から始まります。それから「文献・考古・民俗・美術資料の見方・扱い方」や「市内の文化財見学」「近隣の博物館」など、実習と講義をセットにした年12回の講座が実施されていきます。
「“四つ目綴”の実習が面白かったです。昔の書籍はこのようになっていたのですね。」
「土器の種類の勉強をさせてもらい、面白かった。土器クイズとても難しかった。」
「屏風についての説明の後、実際につくってみたことで、仕組みがよくわかった。」
「道具ひとつひとつに意味があることを実際に見ることができて、理論立てて考えられるのが面白かったです」
10回以上の出席で、修了書が手渡されます。さあ、これで市民学芸員になる準備はできました。
2.市民学芸員活動-ミュージアムは様々な世界を知る方法の一つ-
市民学芸員は、資料館学芸員とともに大東市内の神社に奉納された「絵馬」や、秋祭りで曳行される「だんじり」の調査・研究・展示をしてきました。ここで対象となる「絵馬」や「だんじり」は、市民学芸員にとってまったくの未見資料ではないでしょう。ところが、展示のために調査や解説パネルを執筆する過程で、モノをよく見て、新しい「驚異」と出会います。
「何げなく通り過ごしてしまうようなことでも、テーマをもって見るということの大切さを(感じた)。」
『「だんじりを活かした地域共働事業」報告書』より抜粋
年齢とともに未見のものは減り、なんとなく知っているものが増えていきますが、私たちはそれについて、実は何も知らないのです。ミュージアムが、そのようなモノを「よりよく見る機会」を用意することで、そこから市民学芸員それぞれに「驚異」が見つかるものと考えます。
※1 以下、「 」内の言葉は、市民学芸員・講座受講者の感想。なお、『市民学芸員REPORT』『「だんじりを活かした地域共
働事業」報告書』から抜粋した記事の全文は、下記のURL参照。
『市民学芸員REPORT』
http://www.rekisupo.com/report.html
平成26年度文化庁地域と共働した美術館・歴史博物館創造活動支援事業『「だんじりを活かした地域共働事業」報告書』
http://www.rekisupo.com/rekikakoevent/pdf/danjirireport.pdf
大東市立歴史民俗資料館
(住所)〒574-0015
大阪府大東市野崎三丁目6番1号 大東市立歴史とスポーツふれあいセンター内
- 問合せ
- 072-876-7011(代表)
- 交通
- JR学研都市線「野崎」駅より約800m
- 開館時間
- 10:00~20:00
- 休館日
- 第1・3火曜日/年始年末
- 観覧料
- 入館無料
- ホームページ
- http://www.rekisupo.com/