2015年7月9日
いっしょにきてね,はじめてのびじゅつかん
島根県立美術館 専門学芸員 上野小麻里
島根県立美術館では「かぞくの時間 ― いっしょにきてね,はじめてのびじゅつかん ―」を実施しています。毎週木曜日の午前中は「こどもといっしょの鑑賞優先時間」とし,併せて「ミニミニアート体験」,観覧料割引,ショップでのプレゼントなど各種サービスを行っています。
「かぞくの時間」に鑑賞する家族のようす
ミニミニアート体験で缶バッジづくりをする家族のようす
子供たちにもっと美術館に親しんでもらいたいとの思いから,「ささやかでも,何かできることから始めよう」と,この企画の検討は始まりました。
館内レストランでは地元食材を使ったキッズプレートを用意
キッズプレート
子供のための創作活動は人気がありますが,一度に多人数の受入れはスペース的にも安全管理上からも難しく,開催回数を増やすにも限界があるのが実状です。また一方で,そのような単発型の行事は,開催情報の入手や事前申込みなど,日々多忙な保護者にとって実はかなりハードルが高いのではないかとも思われます。イベント参加だけでなく,鑑賞目的でもっと気軽に来館してもらうためにはどうしたらよいだろう―。学芸員と受付・監視業務のマネージャーらが様々に意見を交わす中で,「当館の展示室は,他館に比べてとても静かだと感じる。」「静かな鑑賞環境を望む声が高く,他のお客様への御迷惑となるような話し声についてはその場でお声掛けをしている。」「子供が騒ぐと迷惑がられるからと,来館を控える人は多い。鑑賞者の間に(声や音に関して)寛容な雰囲気が自然に生まれるといい。」など,子供と一緒に展示室に入る際の障壁を幾らかでも緩和できないかという議論が進みました。そこで,監視業務マニュアルを総点検して展示室内での注意事項をあらかじめ伝えるパネルを見やすく変更し,現場スタッフの研修では,話し声の大きさに関し過度に厳格とならないよう,考え方の再確認も行いました。
「こどもといっしょの鑑賞優先時間」では,子供が少し大きな声を出しても気にせず,安心して作品鑑賞をお楽しみいただくようお伝えするとともに,自立歩行が可能なら,場内では大人と手をつなぐなどのお願いをしています。またその間,一般のお客様には御理解と御協力をお願いするパネルを展示室入り口に掲出の上,ガードスタッフは「危険行為以外見守り」としています。
展示室入り口に掲出しているパネル
お渡ししているカード(中面/授乳室やトイレ等施設案内)
この取り組みは平成25年7月から開始してもうすぐ3年目を迎えます。企画展のチラシを作成するごとに紙面に小さく案内を刷り込んでおり,少しずつながら認知度も上がって,木曜日には館内で子供の姿を見かけるようになりました。
先日,何度も御利用の方からとてもうれしい感想を頂きましたのでここで御紹介いたします。「ロビーから展示室に入ると,子供が静かにして走らなくなります。美術館のマナーを守れるようになりました。子供が成長するとても良い機会です。 」
美術館で子供たちの豊かな学びが生まれること―それをほんの少しでもお手伝いできたらと願いながら,まだまだ課題も抱えつつ,スタッフ一同継続していくことの大切さを実感しています。
島根県立美術館
(住所)〒690-0049 島根県松江市袖師町1-5
- 問合せ
- TEL:0852-55-4700(代表)
- 交通
- ・JR松江駅から徒歩約15分
・JR松江駅から松江市営バス(南循環線内回り)6分→「県立美術館前」下車
・観光ループバス(レイクライン)→「県立美術館前」下車
・山陰道→松江西ランプ→車で約5分 - 開館時間
- 「日本の夕陽百選」にも選ばれた,当館から望む宍道湖の夕日をゆっくりと御観賞いただけるよう,3月から9月は日没後30分まで開館しています。
【 3月~9月】 10:00~日没後30分(展示室への入場は日没時刻まで)
【10月~2月】 10:00~18:30(展示室への入場は18:00まで) - 休館日
- 毎週火曜日及び12月28日~1月1日(ただし,企画展の開催日程等に併せて休館日を変更する場合があります。)
- 観覧料
-
企画展 コレクション展 企画展・
コレ展セット年間パスポート 一 般 1,000
(800)円300
(240)円1,150
(920)円3,000円 大学生 600
(450)円200
(160)円700
(530)円1,800円 小中高生 300
(250)円無料 300
(250)円900円 - ホームページ
- http://www1.pref.shimane.lg.jp/contents/sam/