2016年12月9日
ものづくりから得られる“モノ”って?
― 創造性が育まれる場づくりを
鳥取県立博物館美術振興課専門員 山本亮
「こういうのって,有りそうでなかなか無いですよね。」
子供と一緒にものづくりをしながら,保護者の方は楽しそうに話してくださいました。
この夏,鳥取県立博物館では,「素材まつりだ!なにつくる?」と題した造形ワークショップを開催しました。館内のあらゆるものをかき集め,それらを自由に使える場をセッティングし,思う存分ものづくりをしていただくという企画です。子供たちの「できたー!」や「またやりたい!」の声も多く,にぎやかな会場となりました。
ワークショップの会場の様子。
掲示を終えたポスター,のり付きパネルの切れ端,
廃棄するネジや釘などの金属類,過去のワークショップで残った材料など,
それぞれは少量ながら,バラエティに富んだ材料を揃えました。
当館では,「毎週土曜はアートの日!」と銘打ち,アートイベントを土曜日に集中させた事業を行っています。なかでも,ものをつくるワークショップは人気があり,企画展や時節にちなんだものなど,年に数回実施しています。このワークショップは,夏休み中ということから,できるだけ多くの方に気軽に参加できるものを,と企画しました。決して目新しい企画ではありませんが,“おまつりのような,見た目ににぎやかでワクワクするような場をつくりたい”という思いもあり,実施する運びとなりました。
もくもくと制作しています。
「ピタッとくっつけー」
ものづくり系のワークショップと言えば,完成形が決まっていて,その作業工程をスタッフが手助けする,といったものをよく見かけます。装飾や成形を参加者自身に委ねる要素もあり,達成感や満足感も得られることから,人気の事業の一つになっています。参加者からすると,迷わず取りかかれて途中で悩むこともないので,それほど苦にならない取組,といったところでしょうか。
一方で,材料をもとに完成形を参加者自身がイメージするところから始めるものづくりはどうでしょうか。私自身の経験を振り返ってもあまり多くはありませんし,どちらかといえば苦手な気さえします。とはいえ,じっくりと素材や道具との関わりを深められるような機会を少なくしてはならないと思うのです。素材を触って確かめ,不慣れな手つきで道具を使い,うまくいかなければ別の方法で試してみる・・・好奇心や探究心は,このような体験から生まれ,そして創造性を育むことにつながっていくのではないか,と考えています。
完成したら撮影専用の台を用いての撮影。
画像を見てひと言,「うん,いい感じ!」。
最後は,カメラの前でポーズ,「やったね!」。
アートな時間や空間を味わえるスポットが増えつつあるいま,そこに,“完成したもの”以上に得難い“モノ”があることで,より魅力的な場所になるのだろうと思います。当館がそのような場となることを目指して,今後も活動を続けていきたいと思います。
鳥取県立博物館
(住所)〒680-001 鳥取県鳥取市東町2-124
- 問合せ
- 0857-26-8042
- 交通
- 鳥取自動車道・鳥取ICより約15分
JR鳥取駅から約10分
・「100円バス くる梨」緑コースの「仁風閣・博物館」下車
・「ループ麒麟獅子」の「鳥取城跡」下車
鳥取砂丘コナン空港より鳥取駅行連絡バス「西町」下車400m - 開館時間
- 9:00~17:00(入館は16:30まで)
※19:00(入館は18:30まで)まで延長開館する場合あり - 休館日
- 毎週月曜日(祝日の場合は,翌平日が休館)
年末年始(12月29日~1月3日) - 観覧料
- 常設展/一般¥180(20名以上の団体は¥150)
企画展/別途料金
※次の方々は無料
〇大学生以下/70歳以上/学校教育活動での引率者/障がいのある方/要介護者及びその介護者 - ホームページ
- http://www.pref.tottori.jp/museum/