2018年1月25日
「あなた」と「だれか」を結ぶ いにし絵てがみ
大阪府立弥生文化博物館 総括学芸員 中尾智行
ある日,「あなた」の家の郵便受けに,見知らぬ「だれか」から絵てがみが届く・・・。
そんな不思議な出会いが体験できるのが,当館を中核館とする,つらなる・つながる歴史ミュージアム実行委員会が実施している「いにし絵てがみ」です。
郵便受けに届く不思議な出会い
遺跡はもちろん,伝統的な町並みや風景,博物館の展示資料など,古代をテーマにした絵てがみを描いて,当館内に設置した「いにし絵ポスト」に送れば,ほどなくして「だれか」からの絵てがみが届きます。
美しく彩られたスケッチや,意外な視点,くすりと笑えるような言葉。「だれか」と共有するいにしえは,驚くような魅力と感動に満ちています。
同じモノを描いても人それぞれの作品になります。
いにし絵てがみは,1.博物館を核とした新しいコミュニケーションを形成すること,2.絵てがみの製作を通じて展示資料の魅力や視点を再発見したり,観覧体験を捉え直したり(自分化)すること,3.来館者自身が発信者となること,の3つをねらいとして企画しました。博物館はただ「知る」ためだけの場所ではなく,思いもよらない「自分」に気付き,驚きに満ちた「他者という世界」に出会える場所であることも体感してほしかったのです。
7月から事業を開始し,幼児から高齢者まで幅広い年齢層から魅力的な絵てがみを頂きました。その範囲は関東地方から沖縄にかけて広がっています。
館内でのスケッチ。モノをじっくり観て伝えたいことを考える。
参加者からは「どんな人が描いたの想像するのが楽しい」,「手紙のやり取りが減っている中で,想いのこもった絵てがみに懐かしくも新鮮な感動を覚えた」,「知らない人に出すからこそ照れるような言葉も書ける」,「高齢の私に小学生から絵てがみが届いたことがうれしかった」,「(絵てがみの)言葉を考えようとモノを見たとき,いままでと違った見方をしてる自分がいた」,「絵なんて子供の頃から描いていなかったが,(絵てがみを)描いているうちに愛着が湧いて,出したくなくなった(笑)」などの感想が聞かれ,新しい発見や気付きへの驚きと愛着,そして「だれか」との出会いの楽しさが伝わってきます。
十人十色の作品たち。絵てがみの数だけ出会いがあります。
いにし絵てがみは,平成30年2月28日までの受付です。必要なのは切手代と出会いを楽しむ心だけ。みなさまも是非御参加ください。
詳しい参加方法は特設サイトにて
(http://www.kanku-city.or.jp/yayoi/inishietegami/)。
また,当館の公式FBでも「#つらなるつながる歴史ミュージアム」又は「#いにし絵てがみ」のハッシュタグで情報発信中です。
大阪府立弥生文化博物館
(住所)〒594-0083 大阪府和泉市池上町4-8-27
- 問合せ
- 0725-46-2162
- 交通
- JR阪和線「信太山」駅下車 西へ600m
- 開館時間
- 火曜日~日曜日 9:00~17:00(入場は閉館30分前まで)
- 休館日
- 毎週月曜日(ただし月曜日が休日の場合は開館し,翌日が休館)
- 観覧料
- 一般\310,大学生,高校生,65歳以上は\210,中・小学生は無料
※障がい者手帳を持つ方とその介助者1名は無料,20名以上の団体には割引があります。
※特別展・企画展期間中は入館料が変わります。 - ホームページ
- http://www.kanku-city.or.jp/yayoi/