2022年5月25日
ワークシートの見直しでつながる展示と人
学芸員 木村(ヴァルテルスピレール)宏美
きっかけはミュージアム・エデュケーション研修
「展示室に出て展示・来館者みてますか?」文化庁の研修中に出されたこの問いかけにものすごくドキッとしたのを今も思い出されます。当館の目玉はやはり間近で見られる巨大な航空機資料ですが、それをどのように来館者へ伝えることが出来ているか・・・
自分への課題と目標がはっきり見えたのが、このME研修への参加でした。
現場スタッフ向けのワークシート体験時の様子
私たちの課題と利用者目線
展示室に入ってまず目に飛び込んでくる飛行機を見て「わぁ~大きい!」「かっこいいね~」といった第一印象の感動を大切にして頂きながらも、航空機の技術や工夫を知って頂ければ、もっと楽しく、満足をしてもらえるのではないか。という思いから、今あるワークシートを、来館者の視線を自然と「展示機の細部まで見る」よう促し、不思議の発見・より深い学びを目指しました。あわせて館全体で教育事業への取組みが不足している自館の課題の発見と解決のため、改編した新ワークシートを職員自身が参加者目線で体験してみました。
「答えを書かなきゃいけない!というプレッシャーが無いので気軽に参加できた」
「見る、考えるに集中できた」
「探す過程で色々な角度や視点で展示を見ることが出来た。今まで展示見れてなかったな・・・」
という私たち自身の反省にもつながる意見や、目的を理解してもらえる回答の他、
「A4サイズのコピー用紙は大人でも見学しながらだと見にくいし、書きにくい」
「子供目線で平仮名が多いが、小学生以上になると逆に読み辛い気がする」
といった声から、ただ内容を改めるだけではなく、来館者が手に取った時の事をもう少し具体的にイメージする必要性がみえてきました。
「見る」をテーマにしたワークシート案
利用者のつぶやき
並行して一般の来館者とみなで作成した新ワークシートを手に持ち一緒に館内を歩かせてもらうと、子供達の新しい発見に「あっ、本当だ!下の方は見てなかった!」と大人が刺激を受けていたり、別の機体を見て、「ピトー管(※航空機の速度を測る装置)別の飛行機にもついてるよ!」と、航空機の構造や機能に関する発見があったりと、見学の変化を利用者のつぶやきから感じられ、展示機達がいつもより堂々とそして誇らしく見えてきました。
お子様の視点で答えを発見!
ワークシートの改善+大切にした事=つながる人
職員、そして利用者の声を集め、見学の邪魔にならない、子供が手にもっても使いやすい大きさ、紙質で、所沢の航空の歴史を感じられるイラストに、大人もつい取っておきたくなる、来館の記念になるようなものとしてデザインを2022年6月から変更します。イラストは、デザインを本業としながら、当館に小学生の頃から通い続け、この取り組みに共感し協力を申し出てくれた方に描いて頂きました。
新デザイン歴史編、実機編のラフ画6月完成予定!
ワークシートの見直しをきっかけに、職員全体で意見を出し合い、記念館をずっと好きでいてくれている方に協力を頂き、それが利用者の手に渡る。人と人、そして展示と人が繋がっていくように感じました。興味関心への呼びかけ、学びのきっかけとして、また記念館体験が「楽しかった」と記憶に残るよう、これからも来館者のつぶやきを拾い、職員間での見直しを重ねていきたいと思います。
所沢航空発祥記念館
(住所)〒359-0042
埼玉県所沢市並木1-13(所沢航空記念公園内)
- 問合せ
- 04-2996-2225
- 交通
- 電車をご利用の場合:西武新宿線「航空公園駅」下車東口より徒歩約8分車でお越しの場合:関越自動車道所沢ICから国道463号線所沢方面へ約6㎞
- 開館時間
- 9:30~17:00(最終入館は16:30)※1当面の間
- 休館日
- 毎週月曜日(祝日と重なる日はその翌平日)・年末年始
- その他、展示の保守点検等により臨時休館する場合があります。
- 観覧料
- 大人¥520、小中学生¥100、(展示館)
- 大人¥630、小中学生¥260、(大型映像館)
- 大人¥840、小中学生¥320、(展示館・映像館セット券)
- ホームページ
- https://tam-web.jsf.or.jp/
- ※1新型コロナウィルス感染症対策のため、開館時間等を変更する場合があります。お出かけの際はホームページをご確認ください。