2017年5月19日
景色
映画監督 飯塚俊光
「景色を変えてみないか?」
「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト2014」で監督した『チキンズダイナマイト』の台詞です。好きな台詞です。この言葉に私は突き動かされてきた気がします。

「チキンズダイナマイト」©2015 VIPO
10年前,私は映画とはかけ離れた生活をしていました。何か分からないけれどぽっかり心に穴が空いたような気持ちで生活していました。このままの生活を続けたくない,本当に自分の好きなことをやろうと,憧れの映画監督を目指すことを心に決め,ニューシネマワークショップという映画学校に通いました。卒業後も,精力的に自主映画制作を続け,映画祭で賞をいくつか頂けるようになりました。

©「独裁者、古賀。」製作委員会
賞を頂いても心の穴が埋まることはありませんでした。自分が目指したのは多くの劇場で映画を上映できることができる映画監督であり,このまま自主映画を撮り続けてもそこには到達できないだろう,と思ったからです。そこで,自分の制作体制を変えようと,プロの現場が経験できるndjcに応募することにしました。そして,監督として選出していただき,今があります。映画学校に通ったこと,ndjcに応募したこと,すべて自分の景色を変えようとしてとった行動です。

「ポエトリーエンジェル」
©2017 田辺・弁慶映画祭 第10回記念映画プロジェクト
5月20日(土)よりテアトル新宿にて,新作『ポエトリーエンジェル』が公開されます。和歌山県田辺市で毎年開催される田辺・弁慶映画祭の第10回記念映画として制作された映画です。田辺市を舞台に「詩のボクシング」というスポーツを通して成長していく人々のお話です。笑って泣けるエンタテインメント作品です。

「ポエトリーエンジェル」
©2017 田辺・弁慶映画祭 第10回記念映画プロジェクト
『ポエトリーエンジェル』の主演は『チキンズダイナマイト』に出演していただいた岡山天音さん,武田玲奈さんです。スタッフもndjcで出会った人がいます。この作品があるのも,景色を変えてきた結果です。これから先,どうなるか,私自身わかりません。ただ,自分が悩んだり,迷ったりしたときは,「景色を変えてみないか?」この台詞が頭をよぎるはずです。
【プロフィール】
1981年神奈川県生まれ。ニューシネマワークショップで映画制作を学ぶ。
2012年,伊参スタジオ映画祭にて『独裁者、古賀。』がシナリオ大賞を受賞。同作を映画化し,福岡インディペンデント映画祭2014,PFFアワード2014,第8回田辺・弁慶映画祭など様々な映画祭で高く評価され,2015年7月より劇場公開される。2016年には,ndjc2014監督が再集結したオムニバス映画『スクラップスクラッパー』が公開,2017年5月20日(土)からは,田辺・弁慶映画祭第10回記念映画『ポエトリーエンジェル』が公開される。