2018年10月1日
今よりも,もっと先に
映画監督 松永大司
映画監督のデビュー作品である「ピュ〜ぴる」の時から作品を観てくれている映画ライターの方から, 「松永の映画作りに挑戦する姿勢が感じられなくなったときは取材はしなくなるから」とデビュー当時言われた言葉をいつも忘れずにいる。
毎回,作品の内容とは別に,映画を作る上での自分のテーマを決めて作品作りに臨んでいる。 そんな中,今年2018年に発表する2作品は,ハワイとミャンマーで撮影したという意味では自分にとっては大きな挑戦だった。
海外のスタッフとの撮影は大変なことも当然あるのだが,刺激もたくさんある。 この文章を書いている今も,マレーシアのPinewood Studioでダビング作業をさせてもらっている。

©2018『ハナレイ・ベイ』製作委員会
日本の映画産業の状況はとても特殊であると感じる。良くも悪くも。
これから先,自分はどのようなものを目指して映画を作っていくのか?「トイレのピエタ」という作品を公開して以降,そのことを強く意識するようになった。
商業性と作家性。両立は難しいと多くの人から言われる。
でも,そこを目指してみたい。
数年前の自分では想像もつかないような経験をさせてもらっている。
でも全然満足もしていない。もっともっと見てみたい景色がある。
どこまで実現できるだろうか? 大変だが,楽しみで仕方ない。

©2018『ハナレイ・ベイ』製作委員会

【プロフィール】
1974年生まれ。11年,現代アーティスト・ピュ~ぴるのドキュメンタリー映画『ピュ~ぴる』で監督デビュー。15年,初の長編劇映画『トイレのピエタ』(出演 野田洋次郎,杉咲花)が全国公開,第56回日本映画監督協会新人賞などを受賞。17年,ロックバンドTHE YELLOW MONKEYのドキュメンタリー映画『オトトキ』が公開。18年,EXILE TRIBE × SSFF「CINEMA FIGHTERS/シネマ・ファイターズ」企画『ウタモノガタリ』に参加,TAKAHIRO主演『カナリア』を監督。 最新長編作品は,村上春樹原作『ハナレイ・ベイ』(吉田羊,佐野玲於出演),10月19日公開予定。