2015年12月2日
民俗芸能を観てみよう
沖縄のお祭りで演じられる組踊
国立劇場制作部伝統芸能課 渡貫一志
賑やかな太鼓や笛の響きや,色鮮やかに着飾った姿で,唄い,踊る人々の姿。お祭りの様子を伝えるニュースを見ると,不思議と気持ちが高鳴る,そのような経験はありませんか。
お祭りを通して,人々は祖先や神様へ感謝し,無事に暮らせるようお願いをしています。唄や踊りなどの芸能が華やかに演じられるのは,祖先や神様に楽しんでもらいたいという,思いの表れとも言えるでしょう。
こうした唄や踊り,楽器を演奏するのは,いわゆるプロの人ではなく,そのほとんどが地域に住む人々です。地域で受け継がれ,育まれる芸能を民俗芸能といいます。その土地の生活に深く結びついているので,地域によって特色があります。例えば平地であれば田や畑といった農作,海が近ければ漁,山深ければ狩猟というように人々の生活を反映した芸能,また北や南といった地域によってもそれぞれ特色のある独自の芸能が伝わります。
さて,日本最南端,沖縄にはどのような芸能が伝わっているのでしょうか。沖縄は,位置的に中国大陸に近く,かつて琉球王国時代には中国との深い結びつきがあったことから,日本だけでなく,中国の影響を受けた独自の文化を伝えています。
唄や踊り,獅子舞など,数多くの芸能が伝わるなかで,沖縄の音楽や舞踊だけでなく,文学や歴史的要素も盛り込まれた沖縄の伝統芸能の精髄とも言われるのが組踊です。1719年に王府の命により踊奉行(中国皇帝の使者をもてなす宴で音楽や舞踊などを担当する役職)・玉城朝薫が創作しました。それまでの琉球の芸能は,音楽があって,踊りがあるというものでしたが,組踊はさらに踊り手がセリフを唱えるという新しい手法で構成されています。
そして時間が経つにつれ,組踊は宮廷で演じられるだけでなく,地方に行った役人が教え,また明治中期以降に登場した芝居役者が公演を行うことで一般に広まっていき,各村の祭りで演じられるようになったのです。こうして村々の祭りで演じられる組踊は現在まで受け継がれ,祭りを彩り,また人々を楽しませています。
来年1月23日の国立劇場民俗芸能公演では,このような祭りを彩り,人々の楽しみとして広く親しまれるようになった村の組踊を特集します。1時の部では,本島南部の南城市知念久手堅の祭り「久手堅ヌーバレー」で演じられる,この地区にだけ伝わる,母子の再会をテーマにした『鏡の割』,4時の部では本島北部の国頭郡宜野座村宜野座の祭り「宜野座の八月あしび」で演じられる,人気の高い『伏山敵討』を上演します。どうぞ沖縄の人々が大切に受け継ぐ,村の組踊をお楽しみください。
『伏山敵討』
国立劇場 1月民俗芸能公演 『村の組踊 沖縄 久手堅と宜野座の祭礼より』
(住所)〒102-8656 東京都千代田区隼町4-1
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- 平成28年1月23日(土) 13時開演・16時開演
- 御観劇料
- ・一般:3,700円
・学生:2,600円
・13時の部・16時の部セット料金6,700円(同時購入の場合のみ) - ホームページ
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【インターネット予約・一般券のみ】
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