2016年1月5日
多彩なバレエの世界へようこそ
新国立劇場制作部舞踊(広報担当) 中尾久美子
皆さんは,「バレエ」と聞いて,何を思い浮かべますか?クラシック音楽にのせて,綺麗なフリル付き衣裳の女性ダンサーが優雅に踊っている様子でしょうか?確かにそれもバレエの世界ですが,バレエはもっといろいろな顔を持っているのです。
バレエは,ルネッサンス期(14世紀末~16世紀)にイタリアで誕生したと言われており,世界史でも有名なフランスのルイ14世はバレエの名手として名を馳せました。バレエの誕生当時,実は男性がバレエを踊っていたのです。ルイ14世はバレエをあつく保護しその発展に大きく貢献しました。バレエといえば「トゥ・シューズを履いてつま先で立つ」動きを思い浮かべる方が多いと思いますが,1832年に女性ダンサーがつま先で立って初めて踊ったと言われるバレエ『ラ・シルフィード』が上演されました。この作品を,新国立劇場では2016年2月に上演します。ロマンティック・チュチュ(純白の薄地の紗を何枚も重ねてつくった釣鐘型のスカート)を身に着けて踊る女性ダンサー達の姿は,息を呑むほど美しく幻想的です。
バレエ『ラ・シルフィード』 2003年公演より(撮影:瀬戸秀美)
19世紀後半になると振付家のプティパが作曲家チャイコフスキーの音楽に振り付けして『白鳥の湖』『くるみ割り人形』『眠れる森の美女』の三大バレエほか名作を次々と生み出し,クラシックバレエの全盛期を築きました。また,水平に張り出した短いスカートのクラシック・チュチュはこの時代から用いられるようになりました。
バレエ『白鳥の湖』 2015年公演より(撮影:瀬戸秀美)
20世紀に入るとバレエ・リュス(ロシア・バレエ団)がファッションや美術の芸術家達とコラボレーションを行い,それまでのバレエの型にはまらない,新たな作品を次々と発表し,一世を風靡しました。代表作の『火の鳥』『春の祭典』などは,現在でも踊り継がれています。
バレエ『火の鳥』 2013年公演より(撮影:鹿摩隆司)
芸術は常にその時代ごとに新しいものが生まれ,バレエもその例外ではありません。『Men Y Men』は,2009年に誕生したバレエです。古典の名作『ラ・シルフィード』と同時に新国立劇場では2016年2月に上演します。この作品は男性ダンサーのみで構成され,ダイナミックな動きや跳躍も見どころですが,彼らが見せる繊細な表現も大きな魅力です。バレエで活躍するのは女性ダンサーという固定観念を覆す舞台を楽しんでいただけるはずです。
バレエ『Men Y Men』 イングリッシュ・ナショナル・バレエでの2009年公演より
(撮影:Richard Haughton)
バレエには言葉の壁が存在しないため,世界中の人々が等しく楽しめる芸術と言えます。また,衣裳や装置,音楽と踊りが一体となった総合芸術であり,その全てを楽しめるのはもちろんのこと,1つだけでも興味を持つことができれば十分に舞台を楽しめるのです。難しいことは考えず,是非劇場に足を運んでみてください。そこには,多彩で魅力的な世界が広がっています。
新国立劇場バレエ 2月公演 『ラ・シルフィード/Men Y Men』
(住所)〒151-0071 東京都渋谷区本町1-1-1
- お問合せ
- 【ボックスオフィス】(10:00~18:00)03-5352-9999
- 交通
- 京王新線(都営新宿線乗入)新宿駅より1駅,初台駅中央口直結
- 公演日時
- 2月6日(土)13:00/18:00, 7日(日)14:00, 11日(木・祝)14:00
- 御観劇料
- S席10,800円 A席8,640円 B席6,480円 C席4,320円 D席3,240円
- ホームページ
-
http://www.nntt.jac.go.jp/ballet/performance/150109_006130.html