2017年12月1日
組踊の約束事
国立劇場おきなわ事業課 池田 智子
組踊は,沖縄の古語のせりふ,琉球の音楽と踊りで構成され,約300年も演じられてきた沖縄が誇る伝統芸能です。能楽や歌舞伎,人形浄瑠璃文楽と同じように国指定重要無形文化財であり,ユネスコの「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」にも記載されています。伝統芸能である組踊には,いろいろな約束事がありますが,これらを理解するとより深く楽しむことができます。
組踊では,主に身分の高い男の役柄が入退場する際に,「手事」という音楽が演奏されます。手事は,楽器のみで演奏され,位によって曲が使い分けられます。若衆や子供,女の役柄には手事はなく,その場面にふさわしい曲が使われます。続いて,登場人物は自己紹介,物語の経緯や現在の状況,これからの行動などのせりふを唱えます。これを「名乗り」といいます。
組踊「二童敵討」七目付の場面
登場人物が舞台上を1周回るのは,長い距離を歩いていることを表し,場面転換の合図になっています。また,写実的な演技は抑えられ,相手に手をかざすだけで抱き合っていることを表現し,顔を下に傾けることで悲しんでいる様子を表します。その際,せりふは発さず,登場人物の心情は地謡による音楽で表現されます。
組踊「二童敵討」母との別離の場面
舞台での登場人物の立ち位置は,身分の高い役柄が上手(舞台に向かって右),低い役柄が下手(舞台に向かって左)です。男女が相対する場合は,男が上手,女は下手となります。また,身分の異なる役柄が舞台上の手前から奥へ並ぶ場合は,身分の高い役柄が手前に立ちます。
組踊「二童敵討」野遊びの場面
組踊の演目は,多くが忠孝の精神をテーマにしており,親子の再会や敵討ちの達成で終わります。
組踊「二童敵討」敵討ちの場面
組踊「二童敵討」終幕の場面
1月には,組踊の創始者玉城朝薫の作品で,1719年の尚敬王冊封儀礼の際に初演された組踊「二童敵討」が,国立劇場おきなわで上演されます。あまおへ(阿麻和利)の計略によって父を殺された兄弟が父の敵討ちを果たすという内容で,組踊史上,最初に演じられた作品です。舞台横に字幕が表示されるため,組踊で使われる言葉が分からない方でも安心して鑑賞できます。生の組踊を是非劇場でお楽しみください。
国立劇場おきなわ 1月公演 組踊 「二童敵討」
(住所)〒901-2122 沖縄県浦添市勢理客4丁目14番1号
国立劇場おきなわ 大劇場
- お問合せ
- 国立劇場おきなわチケットカウンター(10時~17時30分)
Tel:098-871-3350 - 交通
-
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- 国立劇場おきなわ(結の街)バス停下車 徒歩約1分
勢理客バス停下車 徒歩約10分 - 車:
- 那覇空港から約20分,モノレールおもろまち駅下車後車で約10分
- 公演日時
- 平成30年1月27日(土) 14時開演
- 御観劇料
- 一般:3,100円 大学生等:2,000円 高校生以下:1,000円
- ホームページ
- http://www.nt-okinawa.or.jp/